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青年期
【過去】筋肉・・・
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護衛を振り切り、道を外れた二人は、森の中をゆっくり馬に跨り進んでいた。
前回会った時に、『どうしても二人っきりで行きたい場所があるんです。』と言われ、今日の逃走となったのだが・・・
「簡単でしたね。」
先を行くブライアンに、思わず言ってしまうほど簡単だった。
「ん?何がですか?」
「護衛の人達を振り切るのが、です。」
「急に走り出したので、驚いたのでしょう。」
前を進むブライアンの顔を見る事は出来ないが、特に気にしている様子は感じられない。
しかしエレノアは、そんな姿に首を傾げていた。護衛が護衛対象を見失って良いのだろうか?しかもこんなにもあっさりと・・・
「怒らないのですか?」
「怒る? 何故ですか??」
『何故?』なんて言葉が返ってくるとは思っておらず、もしかして、自分の考えが間違っているのだろうかと、少し不安になる。
「護衛対象に簡単に逃げられたので?」
「何故、私が怒るのです?」
ブライアンは彼等の上司のはず・・・
彼が怒らないで、誰が怒るのだろう?
「え?部下なんですよね?」
「・・・・ああ、そうですよね。大丈夫です。彼等には後日特別訓練を受けさせるつもりですから。」
ブライアンの声が動揺している気がするが、ブライアンがそう言うのなら、そうなのだろうと、微かな違和感を感じながらも、その時はそれ以上深くは考える事無く、心地良い草木の香りを胸いっぱいに吸い込み、森の景色に目を向けているうちに、気にならなくなっていた。
二人は静かな森の中をゆったりと、馬の背に揺られて進む。
鳥達の鳴き声、草木が風で揺れる音、ゆったりと吹き抜ける柔らかな風。
それらに包まれながら、たどり着いたのは、不思議な場所だった。
先程まで見渡す限り草木や苔の生い茂る森だったはずなのに、突然 草木が避けているかの様に、木の一本どころか草の一本すら生えていない場所。
そこにあるのは、丸くつるりとした無数の砂利と、その中心に広がる青く澄んだ大きな泉。
地下から水が湧き出しているのだろう、流れ入る川は見当たらず、その底からは、時折ポコリと空気の泡が上って来ている。
その水は何処までも澄んでいて、青が濃く、深い泉の底にあるはずの石までもが、はっきりと見えた。
「・・・ここは?」
出てきた声は吐息交じりの、掠れた小さな声だった。
一言で言うなら、美しい。
しかし、一言で言い表すには勿体無いほど、幻想的で神聖な場所。
「ここは、この国でも限られた者しか入る事が出来ない場所なんですよ。だからほら・・」
そう言いながら、ブライアンは先程馬から降りた場所に視線を向ける。それにつられてエレノアも振り返れば、乗ってきた馬達が、手綱を木に繋いでいるわけでも無いのに、森と砂利との境界線の前で足踏みをしていて、それ以上こちらに来る気配が無い。
「入って来ない。」
「何故、その様な場所に?」
ブライアンは、エレノアの疑問には答えず、ニッコリと笑うと、そっとエレノアの手を取り歩き出す。
大きくてゴツゴツとしていて、優しく温かく、包み込んでくれるブライアンの手。今まで、段差や馬車から降りる時など、一瞬、そっと触れる事しか無かった手が、今はしっかりと力強くエレノアの手を握り込んでいる。
「あの・・・手・・。」
手を握られているだけ・・・それなのに、エレノアの心臓は痛いほどに激しく鳴り響き、必死に絞り出した声は、小さくかすれていた。
それでも、ブライアンには聞こえたのだろう。チラリと振り返り小さく笑っていた。しかし、何か言うでも無く先を急ぐ様にエレノアの手を引き歩いていく。
多分、ブライアンの目には、顔を真っ赤に染めたエレノアの姿が映っていたはずだ。
ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ
砂利を踏む一定のリズムと、風に揺れる木々の葉音。そして、時折聞こえる鳥達の鳴き声。
普段であれば、無意識に感じているはずの、メイドや護衛の気配は無い。
本当に二人っきり・・・
普段であれば、皮肉を込めた物言いをしつつ、この場を茶化す事が出来たのに、今は何の言葉も出て来ず、ただ手を引かれたまま泉の方へと歩き続けた。
そうして水際まで来ると、ブライアンはようやくエレノアの手を放し
ゆっくりと上着のジャケットを脱ぎ
「え?」
続いて乗馬用のブーツを脱ぎ
ジャケットの下に着ていたシャツに手を・・・
「ちょっと待ってください、何をしているのですか!!!」
先程まで、手を繋いで歩く事すら無かった相手が、突然服を脱ぎ出したのだから、思わず声を張り上げてしまうのは、当然の事だ。
それなのに、ブライアンは何故そんな事を聞くのか、分からないとばかりにキョトンとした顔をしている。
「服を脱いでいますが?」
「それは、見れば分かります。そうでは無くて、何故脱いでいるの!」
「そのまま入ると、服が濡れてしまいます。」
「泉に入るつもり?」
「はい。だって、ほら。」
そう言って、ブライアンは泉の底を指差した。
その先に視線を向けてみれば、何処までも澄んだ泉があるだけで、特に何も見当たら・・・・
そう言って、ブライアンは泉の底を指差した。
その先に視線を向けてみれば、何処までも澄んだ泉があるだけで、特に何も見当たら・・・・
それは、泉の中心にある、澄んだ濃い青色をした、泉の一番深い場所・・・
そこには、小さな花畑があった。
「嘘・・・何故あんな所に・・?」
水中だというのに、その花々は、野原に咲いているかの様に凛と咲き誇っている。
しかし、今まで水中に咲く花など聞いた事も、見た事も無い。あれは本当に咲いているのだろうかと、膝をつき、身を乗り出して目を凝らし、泉の底を覗き込んでいると、エレノアの横からパシャンという大きな水音が響いた。慌てて、音のする方を見てみれば、そこには・・・
「筋肉・・・。」
・・・では無く、泉の底へと潜っていく、ブライアンの姿があった。
下は膝上までの男性用の下着一枚。そして上は・・・
スラリとした身体に鍛え上げられた筋肉、日々の鍛錬の為か、適度に日焼けをした張りのある肌・・・つまりは裸である。
異性の裸など数えるほどしか見た事が無い。しかも、その数回も父と兄だけ、身内以外の異性の裸は産まれて初めてで、気恥ずかしさのあまり逃げ出したい衝動に駆られたが、今はそれどころでは無い。
一見すると、それほど深そうには見えないが、ブライアンの潜ってゆく姿を見れば、相当な深さだと分かる。それに、ブライアンが水中へと飛び込んだ時に飛び散った水は、氷の様に冷たく、泳げているのが不思議なほどだった。
「何を考えているの!!ブライアン!!」
何時もの言葉使いも、澄ました様な態度も投げ捨てて全力で叫ぶ。しかし、水中にいるブライアンには聞こえていないのだろう。振り返る事無くどんどん深く潜っていく。
「ブライアン!!ブライアン!!」
声の限り叫んでみても、ブライアンは深く潜って行く。
ブライアンが潜るのを止めたのは、泉の一番深い場所、小さな花畑の中。
「もしかして・・・。」
ブライアンは出発前に言っていた。『その花を贈られた相手は、幸せになれる。』
「まさか、あの花がハルデス?・・・あの花を取るために・・?」
それだけの為に、こんな冷たい水の中へと潜って行ったというのだろうか。
驚きと、戸惑いと、不安と・・・怒りで、身体が震える。
前回会った時に、『どうしても二人っきりで行きたい場所があるんです。』と言われ、今日の逃走となったのだが・・・
「簡単でしたね。」
先を行くブライアンに、思わず言ってしまうほど簡単だった。
「ん?何がですか?」
「護衛の人達を振り切るのが、です。」
「急に走り出したので、驚いたのでしょう。」
前を進むブライアンの顔を見る事は出来ないが、特に気にしている様子は感じられない。
しかしエレノアは、そんな姿に首を傾げていた。護衛が護衛対象を見失って良いのだろうか?しかもこんなにもあっさりと・・・
「怒らないのですか?」
「怒る? 何故ですか??」
『何故?』なんて言葉が返ってくるとは思っておらず、もしかして、自分の考えが間違っているのだろうかと、少し不安になる。
「護衛対象に簡単に逃げられたので?」
「何故、私が怒るのです?」
ブライアンは彼等の上司のはず・・・
彼が怒らないで、誰が怒るのだろう?
「え?部下なんですよね?」
「・・・・ああ、そうですよね。大丈夫です。彼等には後日特別訓練を受けさせるつもりですから。」
ブライアンの声が動揺している気がするが、ブライアンがそう言うのなら、そうなのだろうと、微かな違和感を感じながらも、その時はそれ以上深くは考える事無く、心地良い草木の香りを胸いっぱいに吸い込み、森の景色に目を向けているうちに、気にならなくなっていた。
二人は静かな森の中をゆったりと、馬の背に揺られて進む。
鳥達の鳴き声、草木が風で揺れる音、ゆったりと吹き抜ける柔らかな風。
それらに包まれながら、たどり着いたのは、不思議な場所だった。
先程まで見渡す限り草木や苔の生い茂る森だったはずなのに、突然 草木が避けているかの様に、木の一本どころか草の一本すら生えていない場所。
そこにあるのは、丸くつるりとした無数の砂利と、その中心に広がる青く澄んだ大きな泉。
地下から水が湧き出しているのだろう、流れ入る川は見当たらず、その底からは、時折ポコリと空気の泡が上って来ている。
その水は何処までも澄んでいて、青が濃く、深い泉の底にあるはずの石までもが、はっきりと見えた。
「・・・ここは?」
出てきた声は吐息交じりの、掠れた小さな声だった。
一言で言うなら、美しい。
しかし、一言で言い表すには勿体無いほど、幻想的で神聖な場所。
「ここは、この国でも限られた者しか入る事が出来ない場所なんですよ。だからほら・・」
そう言いながら、ブライアンは先程馬から降りた場所に視線を向ける。それにつられてエレノアも振り返れば、乗ってきた馬達が、手綱を木に繋いでいるわけでも無いのに、森と砂利との境界線の前で足踏みをしていて、それ以上こちらに来る気配が無い。
「入って来ない。」
「何故、その様な場所に?」
ブライアンは、エレノアの疑問には答えず、ニッコリと笑うと、そっとエレノアの手を取り歩き出す。
大きくてゴツゴツとしていて、優しく温かく、包み込んでくれるブライアンの手。今まで、段差や馬車から降りる時など、一瞬、そっと触れる事しか無かった手が、今はしっかりと力強くエレノアの手を握り込んでいる。
「あの・・・手・・。」
手を握られているだけ・・・それなのに、エレノアの心臓は痛いほどに激しく鳴り響き、必死に絞り出した声は、小さくかすれていた。
それでも、ブライアンには聞こえたのだろう。チラリと振り返り小さく笑っていた。しかし、何か言うでも無く先を急ぐ様にエレノアの手を引き歩いていく。
多分、ブライアンの目には、顔を真っ赤に染めたエレノアの姿が映っていたはずだ。
ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ
砂利を踏む一定のリズムと、風に揺れる木々の葉音。そして、時折聞こえる鳥達の鳴き声。
普段であれば、無意識に感じているはずの、メイドや護衛の気配は無い。
本当に二人っきり・・・
普段であれば、皮肉を込めた物言いをしつつ、この場を茶化す事が出来たのに、今は何の言葉も出て来ず、ただ手を引かれたまま泉の方へと歩き続けた。
そうして水際まで来ると、ブライアンはようやくエレノアの手を放し
ゆっくりと上着のジャケットを脱ぎ
「え?」
続いて乗馬用のブーツを脱ぎ
ジャケットの下に着ていたシャツに手を・・・
「ちょっと待ってください、何をしているのですか!!!」
先程まで、手を繋いで歩く事すら無かった相手が、突然服を脱ぎ出したのだから、思わず声を張り上げてしまうのは、当然の事だ。
それなのに、ブライアンは何故そんな事を聞くのか、分からないとばかりにキョトンとした顔をしている。
「服を脱いでいますが?」
「それは、見れば分かります。そうでは無くて、何故脱いでいるの!」
「そのまま入ると、服が濡れてしまいます。」
「泉に入るつもり?」
「はい。だって、ほら。」
そう言って、ブライアンは泉の底を指差した。
その先に視線を向けてみれば、何処までも澄んだ泉があるだけで、特に何も見当たら・・・・
そう言って、ブライアンは泉の底を指差した。
その先に視線を向けてみれば、何処までも澄んだ泉があるだけで、特に何も見当たら・・・・
それは、泉の中心にある、澄んだ濃い青色をした、泉の一番深い場所・・・
そこには、小さな花畑があった。
「嘘・・・何故あんな所に・・?」
水中だというのに、その花々は、野原に咲いているかの様に凛と咲き誇っている。
しかし、今まで水中に咲く花など聞いた事も、見た事も無い。あれは本当に咲いているのだろうかと、膝をつき、身を乗り出して目を凝らし、泉の底を覗き込んでいると、エレノアの横からパシャンという大きな水音が響いた。慌てて、音のする方を見てみれば、そこには・・・
「筋肉・・・。」
・・・では無く、泉の底へと潜っていく、ブライアンの姿があった。
下は膝上までの男性用の下着一枚。そして上は・・・
スラリとした身体に鍛え上げられた筋肉、日々の鍛錬の為か、適度に日焼けをした張りのある肌・・・つまりは裸である。
異性の裸など数えるほどしか見た事が無い。しかも、その数回も父と兄だけ、身内以外の異性の裸は産まれて初めてで、気恥ずかしさのあまり逃げ出したい衝動に駆られたが、今はそれどころでは無い。
一見すると、それほど深そうには見えないが、ブライアンの潜ってゆく姿を見れば、相当な深さだと分かる。それに、ブライアンが水中へと飛び込んだ時に飛び散った水は、氷の様に冷たく、泳げているのが不思議なほどだった。
「何を考えているの!!ブライアン!!」
何時もの言葉使いも、澄ました様な態度も投げ捨てて全力で叫ぶ。しかし、水中にいるブライアンには聞こえていないのだろう。振り返る事無くどんどん深く潜っていく。
「ブライアン!!ブライアン!!」
声の限り叫んでみても、ブライアンは深く潜って行く。
ブライアンが潜るのを止めたのは、泉の一番深い場所、小さな花畑の中。
「もしかして・・・。」
ブライアンは出発前に言っていた。『その花を贈られた相手は、幸せになれる。』
「まさか、あの花がハルデス?・・・あの花を取るために・・?」
それだけの為に、こんな冷たい水の中へと潜って行ったというのだろうか。
驚きと、戸惑いと、不安と・・・怒りで、身体が震える。
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