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第五章 ザイアス宙域
第五章 ザイアス宙域(1)ブリーフィング: 多方面同時攻撃
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大統領官邸に再び呼び出されたぼくとスズランは、連邦政府大統領から直々にお叱りを受けた。
罪状は、軍人が軍の命令に背いて、ギデス商業組合商船をハイジャックし、ギデス大煌王国の高級将校を拉致したというものだ。
……内容になにも間違ったところがないのが辛いところだ。
「とはいえ、奴らとはもう事実上の交戦状態であり、統合宇宙政体サイドは度重なる攻撃を受けているから、今更といえば今更だが……」
その通りである。げんに、ぼくだって惑星ケルティアでギデス兵による襲撃を受けた。街も学校も相当派手に破壊された。他の星もかなりの攻撃を受けているらしい。これで全面戦争になっていないのが不思議なくらいだ。
スズランは軍服を着て、両手を後ろに回して直立しているが、口を開けば不遜なことを言う。
「これで労せずして惑星タリバルの指揮系統を破壊したではないですか、大統領閣下」
「馬鹿者! 反省していないのか? 命令違反は命令違反だというのだ」
大統領は椅子から立ち上がると、窓際まで歩いて、額を手で押さえた。薄暗い大統領執務室とは違って、窓の外の庭は樹木や草木が明るい緑の光を返している。
といって、ここは宇宙ステーション――政府機能ステーション・ビシュバリクの中だ。庭は人間にフレンドリーなように造園したものに過ぎない。
「スズラン准尉、ユウキ一等曹長は本日付で、それぞれ少尉、准尉に昇進だ」
「あたしはなんと言われようと、引き下がる気は……、昇進?」
「待機命令を出してお前を軍務から外したところで、ろくなことにはならんとわかった。次回任務からは作戦に組み入れる」
「本当ですか!?」
スズランも驚いていたが、ぼくも驚いた。どんな罰を受けるかと覚悟して来たが、まさか昇進とは。大統領の言ったとおり、スズランを作戦から外したところで意味がないのはたしかだ。
「宣戦布告だ」
「は?」
「次の作戦の際には、宣戦布告が行われる。そこからの多方面への電撃的同時攻撃になる。お前はそのうち一方面への作戦に組み込まれることになる」
「ありがとうございます! 大統領閣下!」
「……礼を言うのはまだ早い。この作戦は、これまで統合宇宙政体が経験したことのないほどの規模の全面戦争になる。戦闘が始まれば、誰もお前を守れない」
「はっ! 必ずや大戦果をあげてまいります!」
大統領はまた、額に手を当てて頭を軽く振った。
ぼくには、大統領の気持ちが解る気がした。
厳格な人に見えて、娘のわがままに振り回されている。統合宇宙軍に入りたいという娘の無茶を叶えるために、形式上、准士官にして作戦からは外していた。そうして起こったのが先のハイジャック事件だ。それに懲りて作戦に正式に加えると言えば、この反応。
さぞや頭も痛かろう。
◇◇◇
二週間後、ぼくたちふたりは正式にブリーフィングに加えられた。
特務機関シータとして参加しているのは、ゴールデン司令と彼の部下である研究員二名、そしてスズランとぼくだった。
統合宇宙軍のお歴々が壇上に集まっている。聞いたところ、将官クラスの面々だった。だが、彼らは最初にあいさつをした程度で、以降、ひと言も喋らない。ブリーフィングで喋るのは、もっぱら佐官クラスの仕事だった。
作戦概要を説明するのは、ペルール大佐という人物だった。
「諸君らも聞いての通り、我が連邦政府は正式に宣戦を布告し、ギデス帝国と正面切って戦争を行うことになる。この最初の戦闘が最後の戦闘となる。本作戦は多方面同時攻撃である」
壇上の画面には、どの部隊がどの方面を攻撃するかを示した図が表示された。
特務機関シータがその他の部隊とともに担当するのは、惑星ザイアスという星だった。この星の敵要塞を落とせば目標達成ということになる。
「惑星……、ザイアス……」
ゴールデン司令は目標の名前を見て、絶句していた。
「どうしたんです? 司令」
「いや、なんでもない。なんでもないんじゃよ、ユウキ君」
司令の様子がおかしい。だが、本人がなんでもないと言う限り、どうしようもないだろう。
そうしている間にも、作戦概要は読み上げられていく。
特務機関シータはその他の統合宇宙軍部隊とともに、惑星ザイアス周辺宙域で敵宇宙軍と戦闘を行い、それを制した上で地上へ降下、ザイアス要塞へと侵攻して地上軍を制圧せよとのことだ。
その他方面、惑星シダルゴや惑星アンダルシアなども、同様の侵攻計画が示されている。
なんとも楽観的な作戦じゃないか。これをそのまま実行できるなら苦労は要らない。
この電撃戦が成功するかどうかは、ほとんど全部現場の判断に掛かっているということだろう。
◇◇◇
スズランにドッキングベイに来いと言われたので、そこへ行ってみると、スズランの宇宙船――いや、航宙艦か、リリウム・ツーになにやら武装の取り付けを行っていた。
前回、商業ステーション・ドゥーン=ドゥまで行ったときには全武装を外していたから、今回の作戦運用のために準備をしているということだろう。
「おーい、ユウキ」
「スズラン」
軍服姿のスズランがぼくを見つけ、こちらへ歩いてくる。
「聞いてくれよ、今回、リリウム・ツーが特務機関シータの旗艦になったんだぜ。ゴールデン司令も乗るってさ」
「へー、おめでとう」
「おう。今回、これであたしの操舵技術の高さが、作戦の成否を左右するってわけさ」
「うん。期待してるよ」
ん? スズランはリリウム・ワンで事故を起こして、ぼくを轢き殺したんではなかったかしら? これは言わないほうがいいのだろうか。
「旗艦ってことは、特務機関シータも複数艦船で出撃するのかな?」
「そうそう。エージーとビーエフという船が準備されてる。ほら、あっちのベイに就いてる航宙艦があるだろ」
スズランの示した先には、他の艦船があった。いずれも、クレーンで何かの武装を載せているところだった。
「それより、いい話があるんだ。ドゥーン=ドゥでかっぱらってきた武器があるだろ、フラウロスってギデスの最新兵器」
「うん」
「あれをさ、リリウム・ツーに載せることになったんだよ。今、クレーンで吊ってる砲台、見えるだろ」
「あ、ほんとだ。よくそんな申請通ったね」
確率干渉ビーム砲フラウロスはあくまでもギデス大煌王国の新兵器で、統合宇宙政体のものではない。それをいきなりリリウム・ツーに搭載して、実戦投入するとは、統合宇宙軍も思いきったものだ。
「まあ、真摯に話せばだいたいの話は通るもんだよ」
「さすがだね」
また、大統領経由でコネを使ったのだろう。
そこへ、作業着を着た技師がやって来て声を掛けてきた――と思ったら、彼女はランナさんだった。
「フラウロスの搭載は大変なのよ。規格が違うところもあるから。でも、なんとか納期に間に合わせてみせるわよ」
「ランナさん、そんなこともできるんですね。てっきり、ゴールデン司令の助手か何かなんだと思っていました」
「助手ぅ?」
ランナさんは顔を顰め、口を尖らせる。マズいことを言ってしまったらしい。
「わたし、これでも工学博士なんですけど。主任エンジニアなんですけど」
「すみません、ランナ博士」
「ドクターと呼んでもらわなくてもいいけど、司令の助手だと思われてるのは癪だわ」
「すみません、主任エンジニア」
そこへ、スズランが割って入る。
「ランナ、フラウロスは威力がきちんと出そう? 連射性とかあるのかな?」
「連射性は皆無ね。フラウロスにはゼロパウダーという物質が燃料として必要になるのだけど、これの精製ができる工場がこの宇宙にまだ数えるほどしかなくて。一回の出撃で一回きり」
「一回きりかあ」
「おそらくだけど、ギデスのヌイ中将も、この精製ゼロパウダーの入手・装填のためにドゥーン=ドゥを訪問したのだと思うわ。フラウロスの機構自体は完成してるから、間違いないと思う」
「……一回きりかあ」
「まあ、改良は徐々にできるといいわね。戦闘データ、期待してるわよ。それじゃあね」
ランナ博士は手を振り、リリウム・ツーのほうへと歩いて行った。
「ま、一回きりとはいえ、切り札的には使えるんじゃないの?」
ぼくの慰めに、スズランは気落ちしたまま、上の空で答える。
「そうねえ」
◇◇◇
罪状は、軍人が軍の命令に背いて、ギデス商業組合商船をハイジャックし、ギデス大煌王国の高級将校を拉致したというものだ。
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「馬鹿者! 反省していないのか? 命令違反は命令違反だというのだ」
大統領は椅子から立ち上がると、窓際まで歩いて、額を手で押さえた。薄暗い大統領執務室とは違って、窓の外の庭は樹木や草木が明るい緑の光を返している。
といって、ここは宇宙ステーション――政府機能ステーション・ビシュバリクの中だ。庭は人間にフレンドリーなように造園したものに過ぎない。
「スズラン准尉、ユウキ一等曹長は本日付で、それぞれ少尉、准尉に昇進だ」
「あたしはなんと言われようと、引き下がる気は……、昇進?」
「待機命令を出してお前を軍務から外したところで、ろくなことにはならんとわかった。次回任務からは作戦に組み入れる」
「本当ですか!?」
スズランも驚いていたが、ぼくも驚いた。どんな罰を受けるかと覚悟して来たが、まさか昇進とは。大統領の言ったとおり、スズランを作戦から外したところで意味がないのはたしかだ。
「宣戦布告だ」
「は?」
「次の作戦の際には、宣戦布告が行われる。そこからの多方面への電撃的同時攻撃になる。お前はそのうち一方面への作戦に組み込まれることになる」
「ありがとうございます! 大統領閣下!」
「……礼を言うのはまだ早い。この作戦は、これまで統合宇宙政体が経験したことのないほどの規模の全面戦争になる。戦闘が始まれば、誰もお前を守れない」
「はっ! 必ずや大戦果をあげてまいります!」
大統領はまた、額に手を当てて頭を軽く振った。
ぼくには、大統領の気持ちが解る気がした。
厳格な人に見えて、娘のわがままに振り回されている。統合宇宙軍に入りたいという娘の無茶を叶えるために、形式上、准士官にして作戦からは外していた。そうして起こったのが先のハイジャック事件だ。それに懲りて作戦に正式に加えると言えば、この反応。
さぞや頭も痛かろう。
◇◇◇
二週間後、ぼくたちふたりは正式にブリーフィングに加えられた。
特務機関シータとして参加しているのは、ゴールデン司令と彼の部下である研究員二名、そしてスズランとぼくだった。
統合宇宙軍のお歴々が壇上に集まっている。聞いたところ、将官クラスの面々だった。だが、彼らは最初にあいさつをした程度で、以降、ひと言も喋らない。ブリーフィングで喋るのは、もっぱら佐官クラスの仕事だった。
作戦概要を説明するのは、ペルール大佐という人物だった。
「諸君らも聞いての通り、我が連邦政府は正式に宣戦を布告し、ギデス帝国と正面切って戦争を行うことになる。この最初の戦闘が最後の戦闘となる。本作戦は多方面同時攻撃である」
壇上の画面には、どの部隊がどの方面を攻撃するかを示した図が表示された。
特務機関シータがその他の部隊とともに担当するのは、惑星ザイアスという星だった。この星の敵要塞を落とせば目標達成ということになる。
「惑星……、ザイアス……」
ゴールデン司令は目標の名前を見て、絶句していた。
「どうしたんです? 司令」
「いや、なんでもない。なんでもないんじゃよ、ユウキ君」
司令の様子がおかしい。だが、本人がなんでもないと言う限り、どうしようもないだろう。
そうしている間にも、作戦概要は読み上げられていく。
特務機関シータはその他の統合宇宙軍部隊とともに、惑星ザイアス周辺宙域で敵宇宙軍と戦闘を行い、それを制した上で地上へ降下、ザイアス要塞へと侵攻して地上軍を制圧せよとのことだ。
その他方面、惑星シダルゴや惑星アンダルシアなども、同様の侵攻計画が示されている。
なんとも楽観的な作戦じゃないか。これをそのまま実行できるなら苦労は要らない。
この電撃戦が成功するかどうかは、ほとんど全部現場の判断に掛かっているということだろう。
◇◇◇
スズランにドッキングベイに来いと言われたので、そこへ行ってみると、スズランの宇宙船――いや、航宙艦か、リリウム・ツーになにやら武装の取り付けを行っていた。
前回、商業ステーション・ドゥーン=ドゥまで行ったときには全武装を外していたから、今回の作戦運用のために準備をしているということだろう。
「おーい、ユウキ」
「スズラン」
軍服姿のスズランがぼくを見つけ、こちらへ歩いてくる。
「聞いてくれよ、今回、リリウム・ツーが特務機関シータの旗艦になったんだぜ。ゴールデン司令も乗るってさ」
「へー、おめでとう」
「おう。今回、これであたしの操舵技術の高さが、作戦の成否を左右するってわけさ」
「うん。期待してるよ」
ん? スズランはリリウム・ワンで事故を起こして、ぼくを轢き殺したんではなかったかしら? これは言わないほうがいいのだろうか。
「旗艦ってことは、特務機関シータも複数艦船で出撃するのかな?」
「そうそう。エージーとビーエフという船が準備されてる。ほら、あっちのベイに就いてる航宙艦があるだろ」
スズランの示した先には、他の艦船があった。いずれも、クレーンで何かの武装を載せているところだった。
「それより、いい話があるんだ。ドゥーン=ドゥでかっぱらってきた武器があるだろ、フラウロスってギデスの最新兵器」
「うん」
「あれをさ、リリウム・ツーに載せることになったんだよ。今、クレーンで吊ってる砲台、見えるだろ」
「あ、ほんとだ。よくそんな申請通ったね」
確率干渉ビーム砲フラウロスはあくまでもギデス大煌王国の新兵器で、統合宇宙政体のものではない。それをいきなりリリウム・ツーに搭載して、実戦投入するとは、統合宇宙軍も思いきったものだ。
「まあ、真摯に話せばだいたいの話は通るもんだよ」
「さすがだね」
また、大統領経由でコネを使ったのだろう。
そこへ、作業着を着た技師がやって来て声を掛けてきた――と思ったら、彼女はランナさんだった。
「フラウロスの搭載は大変なのよ。規格が違うところもあるから。でも、なんとか納期に間に合わせてみせるわよ」
「ランナさん、そんなこともできるんですね。てっきり、ゴールデン司令の助手か何かなんだと思っていました」
「助手ぅ?」
ランナさんは顔を顰め、口を尖らせる。マズいことを言ってしまったらしい。
「わたし、これでも工学博士なんですけど。主任エンジニアなんですけど」
「すみません、ランナ博士」
「ドクターと呼んでもらわなくてもいいけど、司令の助手だと思われてるのは癪だわ」
「すみません、主任エンジニア」
そこへ、スズランが割って入る。
「ランナ、フラウロスは威力がきちんと出そう? 連射性とかあるのかな?」
「連射性は皆無ね。フラウロスにはゼロパウダーという物質が燃料として必要になるのだけど、これの精製ができる工場がこの宇宙にまだ数えるほどしかなくて。一回の出撃で一回きり」
「一回きりかあ」
「おそらくだけど、ギデスのヌイ中将も、この精製ゼロパウダーの入手・装填のためにドゥーン=ドゥを訪問したのだと思うわ。フラウロスの機構自体は完成してるから、間違いないと思う」
「……一回きりかあ」
「まあ、改良は徐々にできるといいわね。戦闘データ、期待してるわよ。それじゃあね」
ランナ博士は手を振り、リリウム・ツーのほうへと歩いて行った。
「ま、一回きりとはいえ、切り札的には使えるんじゃないの?」
ぼくの慰めに、スズランは気落ちしたまま、上の空で答える。
「そうねえ」
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