11 / 66
第四章 ドゥーン=ドゥ
第四章 ドゥーン=ドゥ(3)混迷は素晴らしいと思わないかい
しおりを挟む
襲いかかってきた最後のギデス兵を真空の刃でなぎ倒したところで、リッシュ大佐がぼくに殴りかかってきた。
ぼくは先手とばかりに、カマイタチで彼に斬りかかる。
ド、バァン!
しかし、ぼくが作り出したカマイタチは、リッシュ大佐が殴ることで消滅した。
「な――」
「貴様も消えてなくなるがいい!」
このグローブが危険だということはわかった。何発の真空の刃を打ち込んだところで、リッシュ大佐が殴って消してしまう。
なんだこれ。
なんだこれ。
「確率干渉ビーム砲、フラウロス」
ニウス最高研究主任の声が格納庫じゅうに響き渡った。
「わがギデス兵器研究所の最新兵器。触れたものの存在確率をゼロ近くに引き下げてしまう、あまりにも素敵な玩具だよォ」
存在確率をゼロ近くに引き下げる――?
何度も何度もカマイタチを浴びせ、リッシュ大佐を斬ろうとした。だけど、リッシュ大佐のグローブがぼくの攻撃を消し去り続ける。
ぼくは押しに押され、後ろにステップを続け、回避しながら攻撃をしていたが、足がもつれて後ろ向きに倒れてしまった。
覆い被さるように、リッシュ大佐がぼくに殴りかかってくる。ぼくは衝撃波を作り出して彼を吹き飛ばそうとしたが、それすらも、彼は拳で消してしまう。
間一髪、頭に振り下ろされた拳を、ぼくは回避した。リッシュ大佐の拳が打ち込まれた床に、そこになにもなかったかのように穴が開いていた。
ぼくはリッシュ大佐の下から抜け出し、体勢を整えた。
リッシュ大佐も起き上がって構える。
「このグローブは確率干渉ビーム砲フラウロスの小型版だ。このグローブに触れたものの存在確率を下げる。……こんな船内では、銃のような武器で確率干渉ビームを撃ち出すわけにもいかんからな」
要は、安全対策済でごく短距離用の確率制御兵器ということらしい。
このグローブの効果を、まずはどうにかしなければ。
と、そのとき、スズランが四人の協力者を連れて格納庫へなだれ込んできて、リッシュ大佐を取り囲んだ。そして、一斉に彼に銃口を向ける。
「き、貴様ら……ッ!」
そうか。リッシュ大佐は一方方向からの攻撃であれば消し去れるが、同時に前後から撃たれては防ぎようがないということか。
「リッシュ大佐、これで終わりです。武器を捨てて、大人しく投降してください」
大佐の真正面に立ち、ぼくは投降を勧めた。だが、彼はそれに応じるどころか、怒りを爆発させてぼくに向かってきたのだった。
「図に乗るなよ! 小娘が!」
こうなってはしかたない。ぼくはリッシュ大佐に向けて、指を開いた右手を突き出すと、彼の周りの空間を天幻知覚で掌握する作業を開始した。
頭から足の先まで、リッシュ大佐の周辺の空間はぼくの支配圏下に入った。
ぼくは右手の指を折り、拳を握り締める。すると、リッシュ大佐の四方八方に真空の刃が発生し、前から後ろから、あらゆる方向から彼を切り裂いた。
リッシュ大佐は床に倒れ、動かなくなった。
ぼくは自分の能力が高まってきているのを感じた。ぼくの能力は空間を掌握した上で空気を操作することに長けているようだが、応用の幅がそれなりにあることが理解できた。
スズランの協力者のうちふたりが、ニウス最高研究主任に銃を向ける。ほかのふたりはリッシュ大佐に銃を向けながら、彼から金属製のグローブを取り外していた。
「ギデスの科学者、抵抗せず投降するのであれば撃たない。どうする?」
スズランが銃口の向こう側から尋ねる。ニウスはまったく動じた素振りは見せなかったが、さりとて反抗の意思もないようだ。
「撃たれるのは嫌だねェ。宇宙が醜さを増すのが見られないじゃないか。素晴らしいと思わないかい? 取り返しのつかない混迷は」
会話が成立しないとみたスズランは、協力者たちふたりに、ニウスを後ろ手に縛らせる。これで、彼はまったく抵抗ができない。
「あー! なるほど! あー! なるほど! これが自由、自由なのか! 飢えてたまらない! 真鍮の頭蓋!」
「なんだこいつ……。まあいいや、操舵室へ連行してくれ」
スズランは溜息をつき、ニウス最高研究主任を見送ると、ぼくのほうへとやって来た。
「無事そうだな、ユウキ」
「おかげさまでね。助かったよ」
「それにしても……、激しい運動をしたあとだと、そのワンピースはちょっと色っぽすぎるな」
「や、やめろよ、そう言うこというの」
「ところで、ヌイ中将は?」
「あっちだよ。あの砲台、フラウロスとかいうギデス帝国の新兵器の脚の下に座らせてる」
ぼくはヌイ中将を置いて来たあたりを指さした。
「オーケー。サンドル、レッダ、ヌイ中将を操舵室へ連行してくれ」
スズランは協力者のふたりにヌイ中将を連れて行くように指示する。指示通り、ふたりはキビキビとヌイ中将を引っ張り起こして連行してしまった。
フラウロスを見上げながら、スズランは嘆息する。
「それにしても、強そうな武器だな」
「うん。ニウス最高研究主任によれば、確率干渉ビーム砲とか言ってたかな。ビームを照射した対象を有無を言わさず消し去る新兵器だとか……」
「なるほど、すごい話だな。これさ……」
「うん?」
「あたしのリリウム・ツーに搭載できないかな」
「えっ」
「あの艦、けっこう兵装を載せられるんだぜ。軍務のためにたくさん用意してはいるけれど、これも欲しい、名前なんだっけ、プロミネンス?」
「フラウロス」
「そう、フラウロス。気に入った。あたしはこれが欲しい!」
無茶苦茶なことを言い出した。でも、スズランのことだから、本当にやってしまうんだろうなぁ。
ぼくが特務機関シータに編入されたことを知った彼女は、自分もまた入隊すると言い、正式に軍の階級を受け取り、戦功を立てるためにギデスの商船を襲ってヌイ中将を本当に誘拐してしまった。
いまさら、敵の決戦兵器を奪って、自分の宇宙船に搭載したところで、驚くことじゃないのだろう。
◇◇◇
スズランは船内放送を使って、この商船は統合宇宙軍の特務機関シータが制圧したことを告げた。
われわれがこれから向かうのは、ギデス支配下の惑星タリバルではなく、統合宇宙政体機能ステーション・ビシュバリクである、と。
幸いなことに、乗船していた商人たちの間では、ささやかな動揺が起こった程度で済んでくれた。
ぼくたちがハイジャックしたギデスの商船は無事に、ビシュバリクに到着したのだった。
ぼくは先手とばかりに、カマイタチで彼に斬りかかる。
ド、バァン!
しかし、ぼくが作り出したカマイタチは、リッシュ大佐が殴ることで消滅した。
「な――」
「貴様も消えてなくなるがいい!」
このグローブが危険だということはわかった。何発の真空の刃を打ち込んだところで、リッシュ大佐が殴って消してしまう。
なんだこれ。
なんだこれ。
「確率干渉ビーム砲、フラウロス」
ニウス最高研究主任の声が格納庫じゅうに響き渡った。
「わがギデス兵器研究所の最新兵器。触れたものの存在確率をゼロ近くに引き下げてしまう、あまりにも素敵な玩具だよォ」
存在確率をゼロ近くに引き下げる――?
何度も何度もカマイタチを浴びせ、リッシュ大佐を斬ろうとした。だけど、リッシュ大佐のグローブがぼくの攻撃を消し去り続ける。
ぼくは押しに押され、後ろにステップを続け、回避しながら攻撃をしていたが、足がもつれて後ろ向きに倒れてしまった。
覆い被さるように、リッシュ大佐がぼくに殴りかかってくる。ぼくは衝撃波を作り出して彼を吹き飛ばそうとしたが、それすらも、彼は拳で消してしまう。
間一髪、頭に振り下ろされた拳を、ぼくは回避した。リッシュ大佐の拳が打ち込まれた床に、そこになにもなかったかのように穴が開いていた。
ぼくはリッシュ大佐の下から抜け出し、体勢を整えた。
リッシュ大佐も起き上がって構える。
「このグローブは確率干渉ビーム砲フラウロスの小型版だ。このグローブに触れたものの存在確率を下げる。……こんな船内では、銃のような武器で確率干渉ビームを撃ち出すわけにもいかんからな」
要は、安全対策済でごく短距離用の確率制御兵器ということらしい。
このグローブの効果を、まずはどうにかしなければ。
と、そのとき、スズランが四人の協力者を連れて格納庫へなだれ込んできて、リッシュ大佐を取り囲んだ。そして、一斉に彼に銃口を向ける。
「き、貴様ら……ッ!」
そうか。リッシュ大佐は一方方向からの攻撃であれば消し去れるが、同時に前後から撃たれては防ぎようがないということか。
「リッシュ大佐、これで終わりです。武器を捨てて、大人しく投降してください」
大佐の真正面に立ち、ぼくは投降を勧めた。だが、彼はそれに応じるどころか、怒りを爆発させてぼくに向かってきたのだった。
「図に乗るなよ! 小娘が!」
こうなってはしかたない。ぼくはリッシュ大佐に向けて、指を開いた右手を突き出すと、彼の周りの空間を天幻知覚で掌握する作業を開始した。
頭から足の先まで、リッシュ大佐の周辺の空間はぼくの支配圏下に入った。
ぼくは右手の指を折り、拳を握り締める。すると、リッシュ大佐の四方八方に真空の刃が発生し、前から後ろから、あらゆる方向から彼を切り裂いた。
リッシュ大佐は床に倒れ、動かなくなった。
ぼくは自分の能力が高まってきているのを感じた。ぼくの能力は空間を掌握した上で空気を操作することに長けているようだが、応用の幅がそれなりにあることが理解できた。
スズランの協力者のうちふたりが、ニウス最高研究主任に銃を向ける。ほかのふたりはリッシュ大佐に銃を向けながら、彼から金属製のグローブを取り外していた。
「ギデスの科学者、抵抗せず投降するのであれば撃たない。どうする?」
スズランが銃口の向こう側から尋ねる。ニウスはまったく動じた素振りは見せなかったが、さりとて反抗の意思もないようだ。
「撃たれるのは嫌だねェ。宇宙が醜さを増すのが見られないじゃないか。素晴らしいと思わないかい? 取り返しのつかない混迷は」
会話が成立しないとみたスズランは、協力者たちふたりに、ニウスを後ろ手に縛らせる。これで、彼はまったく抵抗ができない。
「あー! なるほど! あー! なるほど! これが自由、自由なのか! 飢えてたまらない! 真鍮の頭蓋!」
「なんだこいつ……。まあいいや、操舵室へ連行してくれ」
スズランは溜息をつき、ニウス最高研究主任を見送ると、ぼくのほうへとやって来た。
「無事そうだな、ユウキ」
「おかげさまでね。助かったよ」
「それにしても……、激しい運動をしたあとだと、そのワンピースはちょっと色っぽすぎるな」
「や、やめろよ、そう言うこというの」
「ところで、ヌイ中将は?」
「あっちだよ。あの砲台、フラウロスとかいうギデス帝国の新兵器の脚の下に座らせてる」
ぼくはヌイ中将を置いて来たあたりを指さした。
「オーケー。サンドル、レッダ、ヌイ中将を操舵室へ連行してくれ」
スズランは協力者のふたりにヌイ中将を連れて行くように指示する。指示通り、ふたりはキビキビとヌイ中将を引っ張り起こして連行してしまった。
フラウロスを見上げながら、スズランは嘆息する。
「それにしても、強そうな武器だな」
「うん。ニウス最高研究主任によれば、確率干渉ビーム砲とか言ってたかな。ビームを照射した対象を有無を言わさず消し去る新兵器だとか……」
「なるほど、すごい話だな。これさ……」
「うん?」
「あたしのリリウム・ツーに搭載できないかな」
「えっ」
「あの艦、けっこう兵装を載せられるんだぜ。軍務のためにたくさん用意してはいるけれど、これも欲しい、名前なんだっけ、プロミネンス?」
「フラウロス」
「そう、フラウロス。気に入った。あたしはこれが欲しい!」
無茶苦茶なことを言い出した。でも、スズランのことだから、本当にやってしまうんだろうなぁ。
ぼくが特務機関シータに編入されたことを知った彼女は、自分もまた入隊すると言い、正式に軍の階級を受け取り、戦功を立てるためにギデスの商船を襲ってヌイ中将を本当に誘拐してしまった。
いまさら、敵の決戦兵器を奪って、自分の宇宙船に搭載したところで、驚くことじゃないのだろう。
◇◇◇
スズランは船内放送を使って、この商船は統合宇宙軍の特務機関シータが制圧したことを告げた。
われわれがこれから向かうのは、ギデス支配下の惑星タリバルではなく、統合宇宙政体機能ステーション・ビシュバリクである、と。
幸いなことに、乗船していた商人たちの間では、ささやかな動揺が起こった程度で済んでくれた。
ぼくたちがハイジャックしたギデスの商船は無事に、ビシュバリクに到着したのだった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

バグった俺と、依存的な引きこもり少女。 ~幼馴染は俺以外のセカイを知りたがらない~
山須ぶじん
SF
異性に関心はありながらも初恋がまだという高校二年生の少年、赤土正人(あかつちまさと)。
彼は毎日放課後に、一つ年下の引きこもりな幼馴染、伊武翠華(いぶすいか)という名の少女の家に通っていた。毎日訪れた正人のニオイを、密着し顔を埋めてくんくん嗅ぐという変わったクセのある女の子である。
そんな彼女は中学時代イジメを受けて引きこもりになり、さらには両親にも見捨てられて、今や正人だけが世界のすべて。彼に見捨てられないためなら、「なんでもする」と言ってしまうほどだった。
ある日、正人は来栖(くるす)という名のクラスメイトの女子に、愛の告白をされる。しかし告白するだけして彼女は逃げるように去ってしまい、正人は仕方なく返事を明日にしようと思うのだった。
だが翌日――。来栖は姿を消してしまう。しかも誰も彼女のことを覚えていないのだ。
それはまるで、最初から存在しなかったかのように――。
※第18回講談社ラノベ文庫新人賞の第2次選考通過、最終選考落選作品。
※『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

転生一九三六〜戦いたくない八人の若者たち〜
紫 和春
SF
二〇二〇年の現代から、一九三六年の世界に転生した八人の若者たち。彼らはスマートフォンでつながっている。
第二次世界大戦直前の緊張感が高まった世界で、彼ら彼女らはどのように歴史を改変していくのか。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【なろう440万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる