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第23話
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「この馬鹿者!エイワーズ侯爵から抗議文が来たわ!何ということをしたんだお前は!」
怒髪天を衝いた王により手加減なしの拳を頬に食らったバーナードはもんどり打って床に倒れ込む。
「し、しかし、エリザベスは僕の友人に酷い恥をかかせた疑いが……」
「だから暴力を振るったとでも言うつもりではあるまいな!そんなものは何の言い訳にもならん!」
この期に及んでまだ自分の正当性を主張しようとする息子に王はがなり立てる。だいたい疑惑もなにも、学校側の説明を聞けばあれはテンセイシャの自作自演だと分かるのに、簡単に向こうの嘘に騙されてこちらは頭が痛い。
あまつさえ証拠も無いのに思い込みだけで謝罪を強制し、女性の腕を強く掴む蛮行に及んだのは完全なスキャンダルである。ここまでしてしまえば流石の自分でももう庇いきれない。男として庇うつもりもないが。
王家は確かにこの国のトップに君臨する者である。しかしだからといって臣下に何をしても良いという訳ではない。あまりに臣下や民を顧みない政治をして玉座から強制的に降ろされた王だって歴史上両手の数より多く居る。
表向き全ての貴族が王家に忠誠を捧げているが、国だって一枚岩ではない。だからこそ臣下との関係性が重要だと言うのに、このスキャンダルの所為で早速バーナードの王の素質を疑問視する声だって出ているのだ。
それに抗議文と一緒にエリザベスとの婚約を無効にする打診が相手から来た。最初に手を出したのはこちらなので断る選択肢など無い。
エイワーズ侯爵に大きな借りを作っただけでなく、書類上に傷は無いがスキャンダルがある以上他の令嬢との縁談もまとまるかどうか……。バーナードにも影をつけていなかったのが間違いだったと後悔してももう遅い。
「お前は私が許すまで授業中を除いて今後一切エリザベスに近づいてはならん!一度でも破れば重い処分を課されると覚悟しておけ!」
もう二度とこんな暴挙ができないよう言い渡すと監視用の影をつけさせる手配もする。これ以上テンセイシャに操られてはかなわないし、もう息子を一切信用しないと今決めた。
バーナードはそれ以降エリザベスに近づくことはなくなった。しかし王の言葉が響いたかどうかまでは、親子の絆をもってしても分からなかった。
人が噂好きなのはどこの世界も一緒で、エリザベスが婚約者に暴力を振るわれたという話はあっという間に広がっていた。
しかし予想と違って好奇の視線に晒されることはなく、寧ろ同情の視線がかなり多かった。
「お労しや。早く傷が癒えるようお祈りいたしますね」
バーナードに横恋慕していた者や政敵の家の者からも本気の同情をされて、エリザベスは少々複雑だった。少し前までは同情を装った謗りを受けていたのになんだか落ち着かない。
あんなに人気者だった彼等が失墜したのは一瞬だった。以前は彼等が歩くたびに女生徒からの黄色い声が日常のように挙がっていたのに、今となっては最低限の挨拶や事務的な会話をするだけで随分と反応は素っ気なくなってしまった。
目を合わせようとしない、熱で浮かされたような目で見られない。今まで当たり前のように受けていた扱いが無くなって彼等も居心地悪そうにしている。後でテンセイシャの存在が公に知らされたとしても人気が戻るかどうかは不明だった。
明暗がハッキリと分かれたが、明の方のエリザベスはまだ正式に成立していないものの、婚約の無効を申し立てているお陰なのか久しぶりに穏やかな時間を過ごしていた。どんなにバーナードとテンセイシャの距離が近くても、どうせもう婚約は無効になるのだから全然気にならない。
そう遠くないうちに「元」が付くようになる婚約者が誰とどう過ごしていようと、自分には関係のない話であった。
聞けばジュリエットとフィリッパも両親に今まで婚約者からされたことを打ち明けて、婚約の白紙に向けて動いてくれることになったそうだ。エリザベスの事件で彼女達の両親も他人事ではないと考えたらしい。
難癖付けられないうちにさっさと他人になってしまった方が安全だと直ぐに行動に移してくれるそうだ。
「そうだわ。婚約の白紙については本人には伏せておくよう頼んだ方が良いかもしれないわ」
「どうしてですか?」
ようやく他人になれると明るい顔をする友人達に念の為話せば、当然不思議そうな顔をされる。
今の時点で婚約の白紙や無効になったとテンセイシャに知られればどんな行動を起こすか分からない。その為には情報源となる婚約者達にはなるべく伏せておいた方が良いのだが、テンセイシャのことを話す訳にもいかない。
「ほら、私の場合発表のタイミングは慎重に図っているけれど、もし他の人が『彼女との婚約を白紙にできた!これで君と結婚できる!』なんて言い出したら、彼がまた暴走しそうで……」
エリザベスは一瞬考えた末に婚約者の暴走を理由にした。即興で思いついた言い訳だが話しているうちにあり得そうな気がしてくるのがわびしい。
彼等は今、いかにテンセイシャに気に入られるか張り合っている中で、婚約者の居ないアランとベンジャミンが一歩リードしている状態だ。ある程度均衡が取れていたのに、ここで他の人間が軒並みフリーになって自分だけ婚約者がいる状況に焦りそうな予感がする。
接近禁止命令が出ているから直接迫ることはないにしても、婚約の撤回を求める手紙が何度も家に届きそうだ。
友人達も同じこと思ったのか、直ぐに「あぁ……」と納得していた。気遣わし気な視線が痛い。
「そうですね……、彼には伏せるよう両親に頼んでおきます」
「そうだ。折角解決できたんですから、今度のお休みにお祝いにどこか出かけませんか?」
気まずい雰囲気を払拭するようにナタリアが努めて明るい声で提案する。婚約の白紙をお祝いとするのは少し変かもしれないが、もう彼の言動に煩わされる心配は無くなったから「お祝い」で正しいのかもしれない。
そうして無事に婚約者と離れられるお祝いとして、エリザベス達は休日にショップを冷やかし、お気に入りのカフェで休憩していた。特にエリザベスなどはバーナードの婚約者になってから王妃教育に忙しくて、こんなにゆっくりと過ごせたのは数年ぶりである。
「それで今はアマーリエと一緒に『探偵ジャック』の絵本を作っているんです。ぬいぐるみに合わせた家具などは職人に作らせていて、大分形になってきたんですよ」
ナタリアは写真を広げながら部活動の話を活き活きと語る。人間のようにポーズを構えたぬいぐるみ達が今にも動き出しそうに写真の中に収まっている。来年の学校開放日に向けて制作を頑張っているそうだ。
「ただ、ストーリーに行き詰ってしまっていて……。なのであまり残酷にはしたくないんですけれども……」
片手で頬を添えて悩む彼女が言うには、絵本は基本的に子ども向けなのであまり複雑な内容にはできない。かといって単純にし過ぎてしまうと単調になってしまう。その塩梅が難しいのだそうだ。
「本当の犯人は猫やカラスなどの動物で、兄弟達は相手がやったと思い込んで庇い合ってる。とかで良いんじゃないかしら?」
大まかなストーリーを聞いたエリザベスは、ふと頭に浮かんだことをそのまま言ってみた。ずっと前に読んだ本と同じ要素を抜き出しただけではあるが。
しかし彼女にとっての何気ない言葉のお陰で、ナタリアの頭の中にパズルのピースが次々と嵌って行く。
「確かに良いかもしれません……。犯人じゃない人がお互いを庇い合うことでストーリーが複雑になる。そして結果は誰も悪くない……。エリザベス様!そのアイデア頂いてよろしいですか!?」
ガバリと急に顔を上げられて、少し肩を跳ねさせる。単なる思いつきだったのにこんなに食いつくとは思わなかった。
「え、えぇ。別に良いわよ?こんなの誰でも思いつけるでしょうし」
「とんでもない!現に私にはその発想はありませんでした!」
ウキウキとノートにメモをするナタリアを見ていると、「楽しそうだな」と頭の中でそんな感想が浮かんだ。
そういえば婚約の無効を打診してから急に暇ができて、少し時間を持て余し気味だったと思ったエリザベスは再び何となく呟いてみた。
「私も部活動に入ってみようかしら……?」
怒髪天を衝いた王により手加減なしの拳を頬に食らったバーナードはもんどり打って床に倒れ込む。
「し、しかし、エリザベスは僕の友人に酷い恥をかかせた疑いが……」
「だから暴力を振るったとでも言うつもりではあるまいな!そんなものは何の言い訳にもならん!」
この期に及んでまだ自分の正当性を主張しようとする息子に王はがなり立てる。だいたい疑惑もなにも、学校側の説明を聞けばあれはテンセイシャの自作自演だと分かるのに、簡単に向こうの嘘に騙されてこちらは頭が痛い。
あまつさえ証拠も無いのに思い込みだけで謝罪を強制し、女性の腕を強く掴む蛮行に及んだのは完全なスキャンダルである。ここまでしてしまえば流石の自分でももう庇いきれない。男として庇うつもりもないが。
王家は確かにこの国のトップに君臨する者である。しかしだからといって臣下に何をしても良いという訳ではない。あまりに臣下や民を顧みない政治をして玉座から強制的に降ろされた王だって歴史上両手の数より多く居る。
表向き全ての貴族が王家に忠誠を捧げているが、国だって一枚岩ではない。だからこそ臣下との関係性が重要だと言うのに、このスキャンダルの所為で早速バーナードの王の素質を疑問視する声だって出ているのだ。
それに抗議文と一緒にエリザベスとの婚約を無効にする打診が相手から来た。最初に手を出したのはこちらなので断る選択肢など無い。
エイワーズ侯爵に大きな借りを作っただけでなく、書類上に傷は無いがスキャンダルがある以上他の令嬢との縁談もまとまるかどうか……。バーナードにも影をつけていなかったのが間違いだったと後悔してももう遅い。
「お前は私が許すまで授業中を除いて今後一切エリザベスに近づいてはならん!一度でも破れば重い処分を課されると覚悟しておけ!」
もう二度とこんな暴挙ができないよう言い渡すと監視用の影をつけさせる手配もする。これ以上テンセイシャに操られてはかなわないし、もう息子を一切信用しないと今決めた。
バーナードはそれ以降エリザベスに近づくことはなくなった。しかし王の言葉が響いたかどうかまでは、親子の絆をもってしても分からなかった。
人が噂好きなのはどこの世界も一緒で、エリザベスが婚約者に暴力を振るわれたという話はあっという間に広がっていた。
しかし予想と違って好奇の視線に晒されることはなく、寧ろ同情の視線がかなり多かった。
「お労しや。早く傷が癒えるようお祈りいたしますね」
バーナードに横恋慕していた者や政敵の家の者からも本気の同情をされて、エリザベスは少々複雑だった。少し前までは同情を装った謗りを受けていたのになんだか落ち着かない。
あんなに人気者だった彼等が失墜したのは一瞬だった。以前は彼等が歩くたびに女生徒からの黄色い声が日常のように挙がっていたのに、今となっては最低限の挨拶や事務的な会話をするだけで随分と反応は素っ気なくなってしまった。
目を合わせようとしない、熱で浮かされたような目で見られない。今まで当たり前のように受けていた扱いが無くなって彼等も居心地悪そうにしている。後でテンセイシャの存在が公に知らされたとしても人気が戻るかどうかは不明だった。
明暗がハッキリと分かれたが、明の方のエリザベスはまだ正式に成立していないものの、婚約の無効を申し立てているお陰なのか久しぶりに穏やかな時間を過ごしていた。どんなにバーナードとテンセイシャの距離が近くても、どうせもう婚約は無効になるのだから全然気にならない。
そう遠くないうちに「元」が付くようになる婚約者が誰とどう過ごしていようと、自分には関係のない話であった。
聞けばジュリエットとフィリッパも両親に今まで婚約者からされたことを打ち明けて、婚約の白紙に向けて動いてくれることになったそうだ。エリザベスの事件で彼女達の両親も他人事ではないと考えたらしい。
難癖付けられないうちにさっさと他人になってしまった方が安全だと直ぐに行動に移してくれるそうだ。
「そうだわ。婚約の白紙については本人には伏せておくよう頼んだ方が良いかもしれないわ」
「どうしてですか?」
ようやく他人になれると明るい顔をする友人達に念の為話せば、当然不思議そうな顔をされる。
今の時点で婚約の白紙や無効になったとテンセイシャに知られればどんな行動を起こすか分からない。その為には情報源となる婚約者達にはなるべく伏せておいた方が良いのだが、テンセイシャのことを話す訳にもいかない。
「ほら、私の場合発表のタイミングは慎重に図っているけれど、もし他の人が『彼女との婚約を白紙にできた!これで君と結婚できる!』なんて言い出したら、彼がまた暴走しそうで……」
エリザベスは一瞬考えた末に婚約者の暴走を理由にした。即興で思いついた言い訳だが話しているうちにあり得そうな気がしてくるのがわびしい。
彼等は今、いかにテンセイシャに気に入られるか張り合っている中で、婚約者の居ないアランとベンジャミンが一歩リードしている状態だ。ある程度均衡が取れていたのに、ここで他の人間が軒並みフリーになって自分だけ婚約者がいる状況に焦りそうな予感がする。
接近禁止命令が出ているから直接迫ることはないにしても、婚約の撤回を求める手紙が何度も家に届きそうだ。
友人達も同じこと思ったのか、直ぐに「あぁ……」と納得していた。気遣わし気な視線が痛い。
「そうですね……、彼には伏せるよう両親に頼んでおきます」
「そうだ。折角解決できたんですから、今度のお休みにお祝いにどこか出かけませんか?」
気まずい雰囲気を払拭するようにナタリアが努めて明るい声で提案する。婚約の白紙をお祝いとするのは少し変かもしれないが、もう彼の言動に煩わされる心配は無くなったから「お祝い」で正しいのかもしれない。
そうして無事に婚約者と離れられるお祝いとして、エリザベス達は休日にショップを冷やかし、お気に入りのカフェで休憩していた。特にエリザベスなどはバーナードの婚約者になってから王妃教育に忙しくて、こんなにゆっくりと過ごせたのは数年ぶりである。
「それで今はアマーリエと一緒に『探偵ジャック』の絵本を作っているんです。ぬいぐるみに合わせた家具などは職人に作らせていて、大分形になってきたんですよ」
ナタリアは写真を広げながら部活動の話を活き活きと語る。人間のようにポーズを構えたぬいぐるみ達が今にも動き出しそうに写真の中に収まっている。来年の学校開放日に向けて制作を頑張っているそうだ。
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片手で頬を添えて悩む彼女が言うには、絵本は基本的に子ども向けなのであまり複雑な内容にはできない。かといって単純にし過ぎてしまうと単調になってしまう。その塩梅が難しいのだそうだ。
「本当の犯人は猫やカラスなどの動物で、兄弟達は相手がやったと思い込んで庇い合ってる。とかで良いんじゃないかしら?」
大まかなストーリーを聞いたエリザベスは、ふと頭に浮かんだことをそのまま言ってみた。ずっと前に読んだ本と同じ要素を抜き出しただけではあるが。
しかし彼女にとっての何気ない言葉のお陰で、ナタリアの頭の中にパズルのピースが次々と嵌って行く。
「確かに良いかもしれません……。犯人じゃない人がお互いを庇い合うことでストーリーが複雑になる。そして結果は誰も悪くない……。エリザベス様!そのアイデア頂いてよろしいですか!?」
ガバリと急に顔を上げられて、少し肩を跳ねさせる。単なる思いつきだったのにこんなに食いつくとは思わなかった。
「え、えぇ。別に良いわよ?こんなの誰でも思いつけるでしょうし」
「とんでもない!現に私にはその発想はありませんでした!」
ウキウキとノートにメモをするナタリアを見ていると、「楽しそうだな」と頭の中でそんな感想が浮かんだ。
そういえば婚約の無効を打診してから急に暇ができて、少し時間を持て余し気味だったと思ったエリザベスは再び何となく呟いてみた。
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