姫、始めました。〜男子校の「姫」に選ばれたので必要に応じて拳で貞操を守り抜きます。(「欠片の軌跡if」)

ねぎ(塩ダレ)

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本編

中間集計発表

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よくわからないもぐもぐタイムが終わった。
片付けを済ませ、クラスメイトの皆も遅い昼食を取っている。

一応、遅番組が前半戦のうちに昼飯を済ませておいて、残りがもぐもぐタイム後に昼食を取ることになっていた。
だから、バレンタイン合戦始まってすぐに飯を済ませていた遅番の連中ともぐもぐタイムで飯を食った俺が今、後半戦の「貢物」受け取りの為に前面に立っているのだが……。

「サーク姫貢物最後尾はこちらで~す!!勝手に教室に入らないでくださ~い!!」

廊下でクラスメイトが叫んでいる。
俺は顔を引き攣らせながらギリギリ笑顔を保っていた。

「……どうなってんだ?!」

水分補給の為にちょっと奥に引っ込んで、ペットボトルのお茶を飲む。
カレーの影響で結構、まだ喉が乾くのだ。

「うんうん。盛況、盛況~。」

他のクラスメイトに混ざって遅い昼飯を食っているライルがにこにこ笑う。
俺はそれをジト目で見つめた。

「……何したんだよ、お前……。」

そう。
バレンタイン合戦スタート時は閑散としていたうちのクラスは、今やちょっとした列ができていた。
もぐもぐタイム用に作った整理列をそのままの使いながら、貢物を渡しに来てくれる生徒をさばいている。

何で今更列ができるんだよ??
こういうのはスタート時にできるもんだろう??

人気のある姫には列ができる。
だが、それも後半戦になれば落ち着いてくるものだ。
渡してしまえば終わってしまうのだから、たとえ全校生徒の半分が来ようとも「受け取って握手して次」みたいなシルク方式を取ればどうにかなってしまう。
だから、どんなに人気のある姫でも、後半戦はゆっくりできるのだ。

だというのに、俺のところは後半戦に入っていきなり列ができた。
書き入れ時真っ只中の前半、閑散としていたのにだ。
それまで全く人が来なかったうちのクラスに、いきなり人が集まりだした。
それは一定層な感じではなく、一年から三年、可愛い感じの子から俺様的な男臭い連中まで様々だった。

「姫」というのは、色々なタイプがある。
だからそのターゲット層というか集客層というのには、姫ごとに「色」がある。
例えばシルクみたいな「ほぼ女子」タイプだったりすると、普通に女の子と恋愛したいような奴が疑似恋愛的なモノを求めて来る事が多い。(シルクの場合は性別を超えたエロスとカリスマ性みたいなのがあるからそれだけではないんだけれど)
また、リオやガスパーみたいなカリスマ系は、そのカリスマにひれ伏す「信者」を集める。
その他にも姫の趣味がゲームだったりするとゲーム好きが集まるし、ウィルみたいに美しさと格好良さを兼ね備えていると可愛い系のタイプから熱い支持を受けたりする。

だから「姫」によってある程度、集まる人間の「色」が決まっているのだ。

だというのに、だ。
午後になって集まりだした「俺に貢物を持ってきてくれる生徒」たちはタイプがメチャクチャだった。
この層、このタイプ、こういう「色」というのがない。
ほぼ全部のタイプが混ざっている。
クッキーをくれたスイーツ君みたいな可愛い子が照れながら「貢物」を持ってきてくれたり、ガチガチの運動部系が「貢物」を渡しながら馴れ馴れしくベタベタ触ってきたり(ギルに速攻、外に連れ出されていた。どうなったのかは知らない)、かと思えば「平凡姫!元気?!ライブ見たよ!!」と明るいノリでうまい棒(わざわざ並んでうまい棒かよ!)を渡しに来てくれるお祭りに便乗するのが好きな楽しいタイプもいる。

「……どうなってんの?!これ……??」

ただでさえ、後半になってから列ができるような事は稀なのだ。
なのに何なの?!この変な盛り上がりは?!

「アレだろ??前半に本命に渡し終わったて一息ついて、面白そうだからサークのところに来てんだろ??」

「あ~、なるほど……。」

カップ麺を食っていたクラスメイトが汁を飲み干してそう言った。
確かにそう言われれば納得する。

「でもさ~?面白そうだから覗きに来てる割に、本命っぽいの多くないか??」

「だよなぁ~。そのノリだったら、列までできなくても良さそうだし。」

いきなり増え始めた「貢物」の山に、皆が困惑している。
確かに俺で貢物を集めてとは思っていても、こういう感じになるとはクラスメイトも思っていなかったようだ。
多分、山のような「うまい棒」や駄菓子といった、ちょっとしたお菓子に囲まれてゲラゲラ笑うつもりだったのだろう。
確かに前半戦はそういう駄菓子系の「ちょっとしたお菓子」系ばかりだった。
たまに色がついて良いものも貰ったけれど、本命色の貢物はなかったのだ。
それは2番手3番手狙いだった俺から行くと当然の結果であり、狙った通りになっていた筈だったのだ。
不思議を通り越して何となく怖くなってきた俺達。
しかしその中で一人だけ、してやったりとほくそ笑む男がいる。

「クックック……愚民どもめ……まんまと我が姫の魅力に魅了されおって……。」

「……ライル……その、安っぽい悪役面、いい加減やめろよ……。」

よくわからない演技に俺はため息をつく。
しかし列があるので、さばいてるクラスメイトから早く戻れと声をかけられる。
俺はペットボトルを持ったまま、急いでカウンターの方に戻る。
カウンターと言っても、要は机を並べてあるだけだ。
クラスの窓側に机を並べて、姫陣営と貢物を渡しに来る生徒スペースを分けてある感じだ。
列ができた今は前のドアから渡す生徒が入って、渡し終わったら後ろのドアから出るような形を取っている。
大体はこんな陣形がスタンダードだが、歌や踊りが売りの姫の場合などはステージスペースなんかを作って陣形が変わる。
まぁ、どんな形でもいいって事だ。
俺はまたカウンターに立って、来てくれた生徒から貢物を受け取り、少し話したり握手したりしてさばいていく。

そりゃ、「姫」にはなったけどさ??
自分がシルクやウィルのように、こうやって貢物を受け取る事になるなんて思ってなかった。
人生、何が起こるかわからないよなぁ。

『さて!!ここで中間発表並びに後半戦レポートです!!』

スピーカーから、また、放送部の実況中継が始まった。
皆、一瞬、動きを止めてスピーカーを見上げた。

『やはり激戦!!激戦ですよ!!』

『……そりゃな……シルクちゃんがリタイアしたもんな……。』

そこで少し笑いが起きる。
放送担当者の一人はどうも熱烈なシルクファンだったようで、放送の節々にその悲しみがまじり、気の毒なんだかおかしいんだか、お約束のようになってきてしまい、皆が面白がっている。

『そう!バレンタイン合戦始まって以来!ここまで一人の姫が人気を独占したことなどなかった、キング・オブ・姫!!優勝確実と言われたシルク姫が始まって早々にリタイアした事により!今回のバレンタイン合戦は近年希に見る混戦状態となっております!!』

『キング・オブ・姫って変じゃね??せめてクイーン・オブ・姫じゃね??』

『いや、ウチ、男子校だし。キングしかいねぇよ。』

そこで放送を聞いていた皆が笑う。
確かにキング・オブ・姫って変な言い方だけど、男子校で男しかいないからクイーンじゃないんだよ。
「キング・オブ・姫」で合ってるんだよ。
でもどう聞いても変なんだよな、姫の中の王って何だよって。
でも何というか、バレンタイン合戦らしくて笑ってしまう。
そんな小ネタを挟みつつ、放送は続く。

『さて!まずは気になる中間発表です!!』

『とはいえはじめのうちはシルク姫も参戦していたので、今回の中間発表はあまり参考にならないかもしれません。』

『前半の後半に大騒ぎになったからなぁ……。』

『しかもシルク姫がリタイアしても、それでもシルク姫が好きだと、票にならないことをわかりながらもかの姫に貢物を渡すファンも多いと聞きます。』

『愛だよなぁ……それこそ愛だよなぁ……。』

そう。
シルクがイヴァンの告白を受け入れリタイアする事になっても、シルクのファンはシルクに貢物を持って行った。
シルクもそれに応え、ひとりひとりに丁寧に対応していた。
高校生活の青春をシルクに捧げた騎士たちも、列が落ち着いたらひとりひとり並んで貢物を渡したらしい。
その際、シルクは感謝を込めて、手厚くハグしたとイヴァンが言っていた。(言っている時の笑顔が怖かったのは言うまでもない。)
そしてイヴァンは、お詫びとして中華まんを大量に買い出しに行って、今、うちのクラスで使っていた電気調理機を借りて、A組でせっせと蒸しているらしい。
何というか、真面目だよな、あいつ。
そんなイヴァンだから、ウィルの仲裁もあり、あの程度で許されたんだろうけど。

『集計結果は数のみでの総合結果となります!本命数などは最終集計をお待ちください!!ではサクッと結果発表!!』

『総合5位!一年生から!D組!フィッツ姫!!』

『一年の中で1番人気だった可愛い系美少年!まだ残るあどけなさがやはり2年、3年にはない武器でしょう!!』

『それだけじゃありません!サッカー部では期待されている選手でもあります!多方面で伸びしろがある期待の姫です!!』

『ただ今、スイーツ君ことB組のケリー姫が怒涛の追い上げを見せていますからね?!まだまだ結果はわかりません!!』

『その辺も含め、後半戦のレポートは後ほどまとめてお伝えいたしますので!今は中間報告の続きを発表していきます!!』

お、なんかスイーツ君、頑張ってるんだな?!
そりゃな、あんなすげーもん作れるんだから、もっと注目されていいはずだ。
最初に本命をくれた子だし、俺も何となく嬉しかった。

『第四位は、当然と言えば当然!!3年E組!!ライオネル殿下!!』

『うん。ライオネル様の場合、なんか「姫」とか軽々しく呼べないよな……。オーラがヤバい……。』

『ええ、あの方は多分、我々などが軽々しく名前をお呼びしていい人ではありません。セレブの中でも別格!存在感が下々の者とは違うんです!!』

『そんなライオネル様ですが、最近はとても親しみやすい一面も見せてくださり、恐れ多いと遠くから拝見していただけの我々も、親近感を感じる事が増えました。』

『その辺りのライオネル様の魅力についても、後ほどお伝えしたいと思います!!』

へ~。
当たり前だけど、リオに異次元感を感じるのは俺だけじゃないんだな?
貢物を受け取りながら、俺はそんな事を考えていた。
確かにリオはなんか俺達とは別格で思わずひれ伏したくなる何かがある。
でも、そんなリオもお笑いが好きだったり、焼き芋食ったり、俺達とそんなに変わらなかったりするんだ。
そういう部分も知ってもらえたら、リオ本人はとても喜ぶんじゃないかな??

『続いて第三位!!と言いたいのですが!!中間集計だと、三位と二位がハッキリしておらず!二位、三位として同時に紹介させて頂きます!!』

『一人は二年!!二年C組!!リグ姫!!』

『ここで入りました!!ランキング予想で三年生に混ざり!必ず名前の上がる!リグ姫!!』

『懐き姫の異名を取る!大型犬の子犬のようなリグ姫!!』

『三年のレジェンド姫たちの様にもう間違いなしの美人っと言う訳ではないですが!わが校の「姫」レベルで言えば高位に入るタイプです!!』

『三年のレジェンド姫たちのレベルがおかしいんであって、普通、リグ姫レベルだったら余裕で総合優勝ですよ!普通に綺麗だし可愛い。背も高いし格好良さもある。』

『それに何というか、懐っこいんですよ~。そこが可愛い!!』

『そうそう。懐っこいからほだされるっていうか!しかも可愛さも格好良さも兼ね備えているから!どっちもイケる!!』

『無邪気な子犬のようで、何気に相手によって懐き方が違うから、どっちもその気にさせられるんですよねぇ~。小憎い奴だ!!』

あはは。
言われてやがる、リグめ。
無節操に誰にでも懐くからいけないんだからな。
それがアイツの良さでもあるけどさ~。
でもアイツ、実は本命がもうちゃんとしてるんだよなぁ~。
相手が相手だから明かせないんだろうけど。
……ていうか、俺も誰かは聞いてない。
聞きたいけど怖くて聞けない……。
卒業したら聞いてみよう、うん。

『そして同位の二人目は~!三年D組!!ガスパー姫!!』

『むしろヤンキー姫という通り名の方が知れ渡っていますよね。』

『確かに。実名よりヤンキー姫の方が知られてるかも。』

『誰も近づけない、孤高のヤンキー姫!!美人だけど凄みが凄すぎて直視できない!!近くになんて怖くて行けない!!』

『そんなヤンキー姫ですが!受験を控えて少しイメージチェンジが入ったのと、三学期から姫になった平凡姫でお馴染みのサーク姫との絡みから一気に親しみが湧き、グッとお近づきになれたというか!!』

『そうそう!怖いけど本当は可愛いんだなってところがちらほら見えて~。キュンってなるんだよなぁ~。』

『しかも法学部志望で実はかなりの秀才!!いや、天才!!ポスターになったスーツ&眼鏡姿は!!もう!!目から鱗!!な、何でこんなセクシーな人を我々は3年間も見逃していたのか!!』

『あれはエロかった……。ポスター盗難数、ウィル姫に続く第二位でした!!』

おいおい、大丈夫か?!放送部?!
これ、ガスパーも聞いてるんだからな?!
乗り込まれて殺されないよう気をつけろよ?!
俺は聞いていて冷や汗が吹き出した。
怒りで鎌首をもたげた蛇に見据えられたような恐怖を思い出したからだ。
俺は知らないぞ?!
大蛇の牙がそっちに向いたって……。

『そして残るは中間集計第一位!!』

『もうここまでくれば誰もがこの人とわかっているでしょう!!』

『中間集計第一位は!三年B組!!ウイリアム姫!!』

俺はそれを黙って聞いていた。
わかっていた。
だってウィルのクラスは隣だ。
うちのクラスの前まで大騒ぎになっていたんだ。
わかってた。

『元々、人気の高かったウイリアム姫!!』

『去年もシルク姫の姫騎士として絶大な人気をはくしましたからね!!』

『それが!!シルク姫のリタイア問題の際!!それをキリッと格好良く収めたあの凛々しくも美しいお姿!!』

『騎士としての格好良さ!!気品!!気高さ!!そして男装の麗人と見間違うほどの美しさ!!』

『当然「騎士」に憧れる可愛い系の生徒の心を恋の矢が無数に貫きましたよ!!』

『同時にその美しさ!穏やかさ!心遣い!!凛とした強さの中にあるどこか壊れやすそうな儚さに惹かれた男ども!!強いあなたの優しい心を!ぜひ自分が守ってあげたいと火がつきました!!』

興奮気味に流れる放送。
俺は笑顔を守りながらも落ち込んでいた。

ウィルは……やっぱり雲の上の人だ。

こんなにもたくさんの人に愛される人。
たくさんの人を魅了する人。

綺麗で強くて、儚い人

俺はそれを知ってる。
だって、ずっとウィルが好きだったんだから。
ウィルがどんなに綺麗で、どんなに美しくて、どんなに穏やかで、どんなに優しくて、そしてどんなに儚くも強いか……。

俺は知ってるんだ。

だって好きだから。
ウィルが好きだから。

「……………………。」

皆が気づいた。
いや、前々から気づいてた。

ウィルがどんなに綺麗で美しい人なのか……。

ウィルも三年だ。
高校生活、最後なのだ。

ウィルを思う人は、ここで伝えなければもう伝えられない。
それがファンとしてであろうと、本気であろうと変わらない。

伝えるなら、今しかないんだ……。

スッと上げた顔には廊下の様子が見える。
俺に並ぶ列なんてたいしたもんじゃない。
教室の前で整理しきれるものだ。

でも、ウィルは違う。

前半戦のシルクの列のように、他のクラスの前まで列が続いている。
あの後、あれよあれよという間に、ウィルに貢物をしようとする人の列ができた。

俺は……。

俺はどうしたらいいんだろう……。

ズクンと痛む胸の奥。
それを表に出さないよう、俺は精一杯の笑顔で来てくれる人に応えた。
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