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本編
アリスは「普通」の国に迷い込む
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「ごめんね、サーク。」
「いや……別にいいんだけど……。」
週明けから期末テストなので金曜は半日で終わった。
そして俺はその日の放課後、何故かアイマスクをつけられリオのリムジンに拉致られている。
なんだろう……このお笑い芸人がいきなり受ける過酷ロケの前フリのような扱いは……。
とはいえ相手はリオだし、乗っているのはバンではなく豪華なリムジンなのだけれども。
それに前々から約束していた事だ。
ただ出かける先やプランはリオが立てたいというので任せてあった。
まぁそれが突然アイマスクをつけさせられ、車(リムジン)に乗せられるとは思わなかったのだが。
「う~ん。リオが近場だと羽目を外しにくいのはわかるんだけど……俺がアイマスクする必要はあるの??」
「ふふっ。あんまりないよ。」
「ないの?!」
「この前、映画を見ようとしたら間違えて変なところを選択しちゃってね。ドキュメント番組なのかな?こうやって人を連れて行ってたから面白そうだなって思って。」
「……リオ、それ、ドキュメント番組って言えばそうだけど、多分、お笑い系の無茶フリする番組だと思う……。」
「あ、そうなのかな?すぐにメイドが元の見たかった映画に直してくれたから全部は見てないんだ。」
「だよね。」
リオがそういうの見てるイメージないし、周囲としてもあんまり変な番組は見せたくないんだろう。
そうとも知らず、ウキウキと俺にお笑いロケみたいな事をして楽しむリオ。
全部は見てないと言っていたから、着く先がヤバイ場所でとんでもない事をやらされると言う事はないだろう……。
「じゃあ、サーク。」
「うん?」
「早速だけど、この箱に手を突っ込んでもらってもいいかな??」
「…………え??」
「もちろん目隠ししたままだよ?」
「………………はい??」
「それでね?何が入ってるか当てて欲しいんだ~。」
「?!?!」
無邪気なリオの声。
悪意のまったくないその声に、俺はたらりと冷や汗を流した。
ん??リオ??
お笑い番組は……見てないよね??
何だか嫌な予感がして、俺は手を胸の前で組んで動かさなかった。
それを見たリオが不思議そうな声を出す。
「あれ??もしかして嫌??……じゃあ、先におやつ食べる??」
「あ、そうしようかな……。」
「ならそのままあ~んしてね?サーク?」
「……え??」
「私が食べさせるから、何か当ててね?」
「∋『★▲┰『?!」
とても純粋無垢なリオの声。
この世の悪い事から隔離されてきたような純朴さ。
だが、それ故に悪ふざけと普通の事の線引きがわかっていないフシがある。
「い、一応……聞いていいかな?!」
「何を?」
「箱の中身は安全なもの?!食べるものは普通に食べれるもの?!」
「……………………え?ヤダな、サーク?当たり前じゃないか??」
「今の間は何~?!」
そこにある純粋な悪戯心。
無垢さというものが、時に何よりも凶悪な事がある。
悪意のないまっさらな純度が好奇心を狂気に変えるのだ。
「リオ!お笑い番組見てないって嘘だよね?!」
「見てない見てない。……ほらサーク、アーン♪」
「ギャーッ!!………∋⊃『┰┘★✶▲?!…ムグっ……。」
よもやリオのリムジンに乗ってこんな事になるとは……。
こうして俺は目的地につくまでの時間、悪気のないリオの「ちょっとしたイタズラ」の犠牲者となった……。
やっと目的地についたらしく、俺はリムジンを降ろされアイマスクを外した。
というか、しばらくアイマスクがトラウマになりそうだ……。
「うぅ……。これなら笑ってはイケないの方が良かった……。」
「え?そうなの?どっちにしようか悩んだんだ~。次はそっちにするね!!」
「……リオ、実はお笑い番組大好きだよね?!そうだよね?!」
「見た事ないよ?」
「嘘だ~!笑ってはイケないって言って通じてるし!!食べさせるネタも!箱のネタも!アレはかなりわかっててやってた!!」
「ふふっ、知らないなぁ~♪」
無邪気に笑うリオ。
そこに執事さんが近づいてきてコソッと耳打ちした。
「すみません、サーク様。リオ様はとても本日を楽しみにしておられまして……。「普通のデート」なるものを調べようとなさり……同じ年頃の皆様はどんなところに行くのか、どんな事が好きでどんな事が楽しいのかをお調べになられて……。その際、ご覧になった番組にとても興味を持たれたようです……。」
あぁぁぁ、なるほどぉ……。
確かに今まで知らなかったリオの一面とはいえ、意外すぎると思った……。
俺は少しだけ胸を撫で下ろした。
でもリオから見たら、クラスでバカやってる俺達も同じように見えたんだろうなぁ……だからちょっとやってみたかったのかなぁ……なんて事を思う。
リオは特別で皆が特別扱いするから、こういったバカみたいな遊びを周りとすることもなかったし、できなかったんだろう。(とはいえお笑い番組を真似するのはやり過ぎだけど)
一息ついて、降ろされた場所をやっと冷静に見る。
はっきり言ってどこだかわからない。
どこかの普通の住宅地の道路なのだ。
「サーク!こっちこっち!!」
リオが楽しげに呼んでいる。
辺りにはどことなく甘い香りが漂っていた。
執事さんたちは一礼すると車に戻ってどこかに行ってしまう。
俺は仕方なくリオの方に進んで行った。
「……あ!!焼き芋!!」
「あれ食べたいんだ、サーク。」
「リオが?!」
「買い方がよくわからないから、一緒に来てくれる?」
リオは困ったように顔を赤くしてそう聞いた。
そりゃリオほどのセレブが移動販売の焼き芋屋で買い物した事なんてないよな。
とは言う俺も焼き芋は高いので買った事はない。
でも声かけて幾らぐらいでって言えば売ってくれるだろう。
「うん。いいよ。俺も買うの初めてだけど。多分大丈夫。」
リオはどうしていいのかわからないらしく、俺に隠れるみたいにしながらピッタリくっついていた。
「おじさん!お芋ください。」
「あいよ。」
「これぐらいだと幾ら??」
「これか~800円てとこだな。」
「お芋、800円……。」
リオはどぎまぎしているのか、俺の服の裾をギュッと掴んで、パチパチ燃える窯を見つめている。
「……車で日を焚いて大丈夫なんですか?びっくりしました。」
「窯見んの初めてかい?」
恐々話しかけるリオ。
おじさんは話しながら次に焼いていた芋の様子を見ている。
「あ、石が敷いてある……。」
「そりゃな?石焼き芋って言うんだから。」
「え?!それで石焼き芋なんですか?!」
「あはは!兄ちゃん、知らんで買いに来たのかい?!」
おじさんにそう言われ、リオは真っ赤になって俺に隠れた。
そんなリオがちょっと意外だったし、弟みたいで可愛い。
「リオ、あの大きさで800円だって。どれにする??」
「うん、もう少し小さいのにしようかな……。電子マネーとか使えますか?」
「電子マネー??」
「え?!リオ、もしかして現金持ってない?!」
「え?現金じゃないと駄目??」
「こういう移動販売の場合は基本現金だよ。」
「え、どうしよう……。」
リオはあからさまにがっかりしてしまった。
おじさんも可哀想だとは思ってるみたいだけど商売だからどうにもできない。
「……おじさん、1000円で大きいの一個頂戴。半分こするから。」
「はいよ、毎度あり!!」
1000円渡すと、おじさんは明らかにそれ千円以上するよねっていうお芋を俺に渡してくれた。
えっ?って顔でおじさんを見ると、ニッと笑った。
「ニイチャンの心意気分、オマケしとくよ。」
「ありがとうございます!」
「後、分けるならいるだろ?!使いな。」
そう言っておじさんは新聞紙を少しくれた。
俺達が買っていると他のお客さんもやってきた。
俺とリオはお礼を言ってその場を離れる。
「ありがとう、サーク。電子マネーで返すよ。」
「良いよ、これぐらい。それより冷めちゃうから……。」
ほいっと焼き芋を半分にする。
ちゃんと売り物の包みに入った大きい方をリオに渡す。
「わ?!思ったより熱い!!」
「火傷しないようにね?」
「熱っ!」
「蜜が多いお芋だから熱いんだよ。」
「でも美味しい!自然な味なのに凄く甘い!!」
「ふふっ。良かった。石焼だと遠赤外線効果でお芋が美味しく甘く焼けるんだってなんかで見たなぁ~。」
「そうなんだ。」
とはいえ、このまま道端に立ってセレブなリオに食べさせる訳にもいかない。
どこかに座れる場所がないか周りを見ると、案内板があり、近くに公園があるみたいだった。
「リオ、近くに公園があるみたいだからそこに行こう?」
「ふふっ。うん。ありがとう、サーク。」
リオは嬉しそうに笑ってそういった。
歩きながらもちょっと焼き芋を齧っている。
「ふふっ。皆に見つかったらお行儀が悪いって怒られちゃうなぁ。でもやってみたかったんだ、食べながら歩くの。」
「初食べ歩きが焼き芋とか、結構、渋いね、リオ。」
「そうかな?普通はどんなの?」
「ソフトクリームとかじゃないかなぁ??観光地とかでよく売ってるじゃん。」
「あ~、確かにそんなイメージかも。」
大事そうに焼き芋を両手で包み、リオは笑った。
案内板に沿ってやってきた公園は、思ったより大きそうだ。
でも残念ながらベンチは空いてなくて、俺は草の生える芝生に目を向けた。
「リオ、草の上でもいい?」
「え?!芝生の上?!」
「ここの公園は芝生に入らないでくださいって書いてないし、入れないようにする囲いもないし、自由に出入りできるようになってるから、入って大丈夫だと思う。」
「そうなんだ……。入っていい場所と駄目な場所とあるんだ……。」
「とりあえずリオはこの新聞の上に座ってよ。」
俺はさっき焼き芋屋さんにもらった新聞を広げてリオを座らせた。
リオは不思議そうにしながら草の上に座る。
「椅子なしでこういう所に座るの、初めてかもしれない。」
「え?!そうなの?!遠足とかでなかったの?!」
「遠足はあったよ?でも大きなシートの上にテーブルチェアーがだいたいあったから……。」
「シートの上にテーブルチェアーなんだ……。テーブルチェアーだったら直置きだと思ってた……。」
「直置き??」
「地面に直接置くの。」
「それだと汚れない?」
「アウトドア用品ってそういう物じゃないの?」
「そうか、普通はそうやって使うんだね。」
「でもシートの上の方が確かに汚れないし、靴も脱げるから楽かも。」
そんな事を話をしながら焼き芋を食べた。
食べ終わって公園の中を自販機を探してふらふら歩いた。
何もない普通の公園だったけど、リオはどことなく楽しそうだった。
自販機で飲み物を買って、歩いているとブランコ等の遊具のある場所に出た。
小さな子供を連れた人たちは、暗くなる前に帰り始めている。
「……なんか不思議。」
「何が不思議なの?サーク?」
「いや、小学生くらいの子があんまりいないなって。俺が子供の頃は、この時間、住宅街の中にある公園ならまだいっぱい遊んでる子がいたなぁって。」
「寒いからじゃないかな?」
「それもあるだろうね。」
俺は空いているブランコに座った。
リオも隣のブランコに座った。
買ったペットボトルを開けて飲んだ。
「リオはブランコやった事あるの?」
「サーク、いくら何でもそれは酷くない?私だってブランコぐらいやった事あるよ?!」
「あはは。ごめんごめん。なんかリオとかセレブ組の子供ってトランポリンとかで遊んでるイメージだった。」
「……トランポリンでも遊んでたけど……。」
悔しそうにそう答えたリオがちょっと面白かった。
そういえば、リオの事あんまり知らないなぁと思って子供の頃の事とか色々聞いてみた。
習い事がバイオリンだったけど好きじゃなくて今はチェロを習ってる事とか、実は戦略ゲームが好きな事とか、フランス人のメル友がいるとか、やっぱりリオってリオだなぁと思ってしまった。
リオにも同じような事を聞かれ、習い事は習字をやらされてたけどやっぱり好きじゃなかった事や、中学はサイクリング部という変な部活に入っていて、休みになると皆で自転車で遠くに遊びに行って回っていて、リグはそこの後輩だった話なんかをした。
「ふふ。なんかサークっぽい。」
「え?!そう?!」
「うん。運動部ってイメージはないけど、文化部でじっとしてたってイメージもなかったから。サイクリング部って聞いたことなかったけど、サーク見てるとありえるって気になる。」
「何それ?!」
リオは笑ってブランコを漕いだ。
リオとブランコってなんかミスマッチだなと思って笑ってしまった。
これからどうしようか話しながら公園の出口に向かう。
するとリムジンがすでに待機していてびっくりした。
それからリオの希望でファストフードのお店に行ってハンバーガーを食べ、ゲームセンターに行った。
リオは音にびっくりしていて、あまりゲームに集中できないみたいだった。
最後に二人でUFOキャッチャーに挑戦して小さいキリンのぬいぐるみキーホルダーを取った。
それを大事そうにリオはカバンにつけた。
「今日はありがとう、サーク。」
「こんなんで良かったの??なんかなんにもしてない気がするけど……。」
「うん。」
「そっか。リオが楽しかったんならいいや。」
皆と同じように普通に遊びたい。
リオはそう言っていた。
帰り道に買い食いして、公園で無駄に駄弁って、ファストフードを食べて、ゲームセンターに寄ったりする。
言われてみれば普通にやってそうなことばかりだった。
あまりに普通すぎて、遠くまで来てわざわざやってみる事だったのかなと思うくらいだった。
「……また、来たいな……。」
帰りのリムジンの中、リオが呟く。
その顔があまりに寂しそうで俺はびっくりしてしまった。
俺にとっては普通の日常的なこと過ぎて、「普通」だと言うことすら気付なかった。
でも特別で周りから特別扱いされているリオにとって、そんな当たり前にありそうな「なんでもない事」が、そんなにも「特別」だったのだと気づいた。
「……また、行こうよ、リオ。9月まではこっちにいるんだろ?」
「サーク……。」
「今度はさ、皆で来よう。バトミントンとかボールとか持ってきてさ。……まぁ、なくてもなんかできるし。」
「……うん。ありがとう、サーク。」
リオはちょっと泣きそうな顔で笑っていた。
俺はセレブじゃないから、リオが普段どんな事をしているのか知らない。
でも今日の俺にとってはありふれた時間が、リオにとって特別なのだという事はわかった。
リオは、今日の日を忘れないだろうと思っていた。
どこにでもいる高校生として過ごした今日を。
でも、楽しみにしていた今日を過ごしてわかった事があった。
サークは自分を「異次元的に違う」と言ったりしていた。
はじめは面白い事を言っていると思っていた。
でも、今日を過ごしてみてわかった。
確かに「異次元的に違う」と言われても仕方ないのだと。
今日、リオはずっとびっくりしていた。
まるで「不思議の国のアリス」のアリスになった気分だった。
同じ世界の見た事のあるような場所なのに、まるで未知の国に来てしまったような気がした。
案内役の愛しの時計うさぎは、それを普通の事としてやっていたのにだ。
あぁ、彼の普通と私の普通は違うんだ……。
彼の持つ時計と自分の持つ時計はズレて時を刻んでいる。
一緒に歩いているのに、こんなに近くにいるのに。
積み重ねてきた時間が違いすぎて、お互いの「当たり前」が「当たり前」じゃないのだ。
今日、一緒に居れた事が嬉しい。
でも一緒に居た事で、そのズレを鮮明に知ってしまった。
「リオ?どうしたの?疲れた?」
「……うううん、大丈夫。それより、まだかかるから動画でも見ない?」
「いいよ。」
リオはそう言うとリモコンを出して弄った。
すると大きくはないが小さいほどでもないモニターが出てきた。
そこで動画を選択して映し始める。
「……リムジン、スゲェー。」
「ふふっ。そうかな?」
動画を選択し流し始める。
笑える系のその動画を、サークは集中してみている。
リオは思う。
今まで生きてきた環境が違う。
だから、積み重ねてきた時間が違うのだ。
それが違えばお互いの「普通」は全く違うものになる。
相手の世界が「異次元」に感じる。
それは埋める事はできないだろう。
でも……。
「……プッ!!」
動画を見るサークが思わず吹き出した。
その瞬間、リオは一時停止ボタンを押した。
「デデーン!サーク、アウト。」
ニコッと笑ってそう言うと、一瞬、何を言われたのかわからず固まったサークの顔が、次第に青くなっていく。
「え?えぇっ?!嘘だよね?!」
「サーク、アウトだよ。」
「嘘?!そんな話、聞いてない!!」
「流石にお尻叩きはできないからしないけど。」
「良かった~。」
こうやって笑うポイント。
驚くポイント。
そういうものまで違う訳じゃない。
「サーク、デコピンとシッペ、どっちがいい??」
「?!」
ニッコリ笑うと、明らかにサークは動揺していた。
そんな様子がおかしくて笑ってしまう。
「あ!リオも笑った!!」
「……え?こういう時の笑いも駄目なんだっけ??」
「駄目だよ!!車を降りるまでは!!」
「ムッ、じゃあ今回はおあいこって事で。次から車が止まって降りるまでは笑ったらデコピンかシッペだから。」
「リオもだよ?!」
「いいよ。もちろん。」
「言ったな?!」
「うん。」
リオはそう言って動画を再開する。
変な沈黙の中、二人はそれを見つめる。
ほら、確かにお互いの普通は違う。
でも同じ部分もある。
違う部分を埋めるには時間がかかるだろう。
そしておそらく、それを完全に埋める事は難しいだろう。
一緒にいても、そのズレをきっとずっと感じる事になる。
それは時として悲しく、時として怒りを生むこともあるだろう。
とても悲しいがそれは避ける事のできない事実だ。
だから今は、違う所を探すのではなく、同じ様に感じれる部分を探して、それを楽しもうと思った。
「……………………っ……。」
「サーク?」
「……っ笑ってない!!」
「そう?」
でもきっと時間の問題だ。
サークは絶対笑う。
でもそうなると、笑ってしまったサークを見て自分も笑ってしまうだろうとリオは思った。
「………………笑ってないっ……。」
「うん。」
凄く真剣にこらえている姿がおかしくて、そして愛おしい。
今はこの同じ笑いのツボを楽しもう。
リオはそんな事を思いながら、笑いを堪えるサークを見つめていた。
「いや……別にいいんだけど……。」
週明けから期末テストなので金曜は半日で終わった。
そして俺はその日の放課後、何故かアイマスクをつけられリオのリムジンに拉致られている。
なんだろう……このお笑い芸人がいきなり受ける過酷ロケの前フリのような扱いは……。
とはいえ相手はリオだし、乗っているのはバンではなく豪華なリムジンなのだけれども。
それに前々から約束していた事だ。
ただ出かける先やプランはリオが立てたいというので任せてあった。
まぁそれが突然アイマスクをつけさせられ、車(リムジン)に乗せられるとは思わなかったのだが。
「う~ん。リオが近場だと羽目を外しにくいのはわかるんだけど……俺がアイマスクする必要はあるの??」
「ふふっ。あんまりないよ。」
「ないの?!」
「この前、映画を見ようとしたら間違えて変なところを選択しちゃってね。ドキュメント番組なのかな?こうやって人を連れて行ってたから面白そうだなって思って。」
「……リオ、それ、ドキュメント番組って言えばそうだけど、多分、お笑い系の無茶フリする番組だと思う……。」
「あ、そうなのかな?すぐにメイドが元の見たかった映画に直してくれたから全部は見てないんだ。」
「だよね。」
リオがそういうの見てるイメージないし、周囲としてもあんまり変な番組は見せたくないんだろう。
そうとも知らず、ウキウキと俺にお笑いロケみたいな事をして楽しむリオ。
全部は見てないと言っていたから、着く先がヤバイ場所でとんでもない事をやらされると言う事はないだろう……。
「じゃあ、サーク。」
「うん?」
「早速だけど、この箱に手を突っ込んでもらってもいいかな??」
「…………え??」
「もちろん目隠ししたままだよ?」
「………………はい??」
「それでね?何が入ってるか当てて欲しいんだ~。」
「?!?!」
無邪気なリオの声。
悪意のまったくないその声に、俺はたらりと冷や汗を流した。
ん??リオ??
お笑い番組は……見てないよね??
何だか嫌な予感がして、俺は手を胸の前で組んで動かさなかった。
それを見たリオが不思議そうな声を出す。
「あれ??もしかして嫌??……じゃあ、先におやつ食べる??」
「あ、そうしようかな……。」
「ならそのままあ~んしてね?サーク?」
「……え??」
「私が食べさせるから、何か当ててね?」
「∋『★▲┰『?!」
とても純粋無垢なリオの声。
この世の悪い事から隔離されてきたような純朴さ。
だが、それ故に悪ふざけと普通の事の線引きがわかっていないフシがある。
「い、一応……聞いていいかな?!」
「何を?」
「箱の中身は安全なもの?!食べるものは普通に食べれるもの?!」
「……………………え?ヤダな、サーク?当たり前じゃないか??」
「今の間は何~?!」
そこにある純粋な悪戯心。
無垢さというものが、時に何よりも凶悪な事がある。
悪意のないまっさらな純度が好奇心を狂気に変えるのだ。
「リオ!お笑い番組見てないって嘘だよね?!」
「見てない見てない。……ほらサーク、アーン♪」
「ギャーッ!!………∋⊃『┰┘★✶▲?!…ムグっ……。」
よもやリオのリムジンに乗ってこんな事になるとは……。
こうして俺は目的地につくまでの時間、悪気のないリオの「ちょっとしたイタズラ」の犠牲者となった……。
やっと目的地についたらしく、俺はリムジンを降ろされアイマスクを外した。
というか、しばらくアイマスクがトラウマになりそうだ……。
「うぅ……。これなら笑ってはイケないの方が良かった……。」
「え?そうなの?どっちにしようか悩んだんだ~。次はそっちにするね!!」
「……リオ、実はお笑い番組大好きだよね?!そうだよね?!」
「見た事ないよ?」
「嘘だ~!笑ってはイケないって言って通じてるし!!食べさせるネタも!箱のネタも!アレはかなりわかっててやってた!!」
「ふふっ、知らないなぁ~♪」
無邪気に笑うリオ。
そこに執事さんが近づいてきてコソッと耳打ちした。
「すみません、サーク様。リオ様はとても本日を楽しみにしておられまして……。「普通のデート」なるものを調べようとなさり……同じ年頃の皆様はどんなところに行くのか、どんな事が好きでどんな事が楽しいのかをお調べになられて……。その際、ご覧になった番組にとても興味を持たれたようです……。」
あぁぁぁ、なるほどぉ……。
確かに今まで知らなかったリオの一面とはいえ、意外すぎると思った……。
俺は少しだけ胸を撫で下ろした。
でもリオから見たら、クラスでバカやってる俺達も同じように見えたんだろうなぁ……だからちょっとやってみたかったのかなぁ……なんて事を思う。
リオは特別で皆が特別扱いするから、こういったバカみたいな遊びを周りとすることもなかったし、できなかったんだろう。(とはいえお笑い番組を真似するのはやり過ぎだけど)
一息ついて、降ろされた場所をやっと冷静に見る。
はっきり言ってどこだかわからない。
どこかの普通の住宅地の道路なのだ。
「サーク!こっちこっち!!」
リオが楽しげに呼んでいる。
辺りにはどことなく甘い香りが漂っていた。
執事さんたちは一礼すると車に戻ってどこかに行ってしまう。
俺は仕方なくリオの方に進んで行った。
「……あ!!焼き芋!!」
「あれ食べたいんだ、サーク。」
「リオが?!」
「買い方がよくわからないから、一緒に来てくれる?」
リオは困ったように顔を赤くしてそう聞いた。
そりゃリオほどのセレブが移動販売の焼き芋屋で買い物した事なんてないよな。
とは言う俺も焼き芋は高いので買った事はない。
でも声かけて幾らぐらいでって言えば売ってくれるだろう。
「うん。いいよ。俺も買うの初めてだけど。多分大丈夫。」
リオはどうしていいのかわからないらしく、俺に隠れるみたいにしながらピッタリくっついていた。
「おじさん!お芋ください。」
「あいよ。」
「これぐらいだと幾ら??」
「これか~800円てとこだな。」
「お芋、800円……。」
リオはどぎまぎしているのか、俺の服の裾をギュッと掴んで、パチパチ燃える窯を見つめている。
「……車で日を焚いて大丈夫なんですか?びっくりしました。」
「窯見んの初めてかい?」
恐々話しかけるリオ。
おじさんは話しながら次に焼いていた芋の様子を見ている。
「あ、石が敷いてある……。」
「そりゃな?石焼き芋って言うんだから。」
「え?!それで石焼き芋なんですか?!」
「あはは!兄ちゃん、知らんで買いに来たのかい?!」
おじさんにそう言われ、リオは真っ赤になって俺に隠れた。
そんなリオがちょっと意外だったし、弟みたいで可愛い。
「リオ、あの大きさで800円だって。どれにする??」
「うん、もう少し小さいのにしようかな……。電子マネーとか使えますか?」
「電子マネー??」
「え?!リオ、もしかして現金持ってない?!」
「え?現金じゃないと駄目??」
「こういう移動販売の場合は基本現金だよ。」
「え、どうしよう……。」
リオはあからさまにがっかりしてしまった。
おじさんも可哀想だとは思ってるみたいだけど商売だからどうにもできない。
「……おじさん、1000円で大きいの一個頂戴。半分こするから。」
「はいよ、毎度あり!!」
1000円渡すと、おじさんは明らかにそれ千円以上するよねっていうお芋を俺に渡してくれた。
えっ?って顔でおじさんを見ると、ニッと笑った。
「ニイチャンの心意気分、オマケしとくよ。」
「ありがとうございます!」
「後、分けるならいるだろ?!使いな。」
そう言っておじさんは新聞紙を少しくれた。
俺達が買っていると他のお客さんもやってきた。
俺とリオはお礼を言ってその場を離れる。
「ありがとう、サーク。電子マネーで返すよ。」
「良いよ、これぐらい。それより冷めちゃうから……。」
ほいっと焼き芋を半分にする。
ちゃんと売り物の包みに入った大きい方をリオに渡す。
「わ?!思ったより熱い!!」
「火傷しないようにね?」
「熱っ!」
「蜜が多いお芋だから熱いんだよ。」
「でも美味しい!自然な味なのに凄く甘い!!」
「ふふっ。良かった。石焼だと遠赤外線効果でお芋が美味しく甘く焼けるんだってなんかで見たなぁ~。」
「そうなんだ。」
とはいえ、このまま道端に立ってセレブなリオに食べさせる訳にもいかない。
どこかに座れる場所がないか周りを見ると、案内板があり、近くに公園があるみたいだった。
「リオ、近くに公園があるみたいだからそこに行こう?」
「ふふっ。うん。ありがとう、サーク。」
リオは嬉しそうに笑ってそういった。
歩きながらもちょっと焼き芋を齧っている。
「ふふっ。皆に見つかったらお行儀が悪いって怒られちゃうなぁ。でもやってみたかったんだ、食べながら歩くの。」
「初食べ歩きが焼き芋とか、結構、渋いね、リオ。」
「そうかな?普通はどんなの?」
「ソフトクリームとかじゃないかなぁ??観光地とかでよく売ってるじゃん。」
「あ~、確かにそんなイメージかも。」
大事そうに焼き芋を両手で包み、リオは笑った。
案内板に沿ってやってきた公園は、思ったより大きそうだ。
でも残念ながらベンチは空いてなくて、俺は草の生える芝生に目を向けた。
「リオ、草の上でもいい?」
「え?!芝生の上?!」
「ここの公園は芝生に入らないでくださいって書いてないし、入れないようにする囲いもないし、自由に出入りできるようになってるから、入って大丈夫だと思う。」
「そうなんだ……。入っていい場所と駄目な場所とあるんだ……。」
「とりあえずリオはこの新聞の上に座ってよ。」
俺はさっき焼き芋屋さんにもらった新聞を広げてリオを座らせた。
リオは不思議そうにしながら草の上に座る。
「椅子なしでこういう所に座るの、初めてかもしれない。」
「え?!そうなの?!遠足とかでなかったの?!」
「遠足はあったよ?でも大きなシートの上にテーブルチェアーがだいたいあったから……。」
「シートの上にテーブルチェアーなんだ……。テーブルチェアーだったら直置きだと思ってた……。」
「直置き??」
「地面に直接置くの。」
「それだと汚れない?」
「アウトドア用品ってそういう物じゃないの?」
「そうか、普通はそうやって使うんだね。」
「でもシートの上の方が確かに汚れないし、靴も脱げるから楽かも。」
そんな事を話をしながら焼き芋を食べた。
食べ終わって公園の中を自販機を探してふらふら歩いた。
何もない普通の公園だったけど、リオはどことなく楽しそうだった。
自販機で飲み物を買って、歩いているとブランコ等の遊具のある場所に出た。
小さな子供を連れた人たちは、暗くなる前に帰り始めている。
「……なんか不思議。」
「何が不思議なの?サーク?」
「いや、小学生くらいの子があんまりいないなって。俺が子供の頃は、この時間、住宅街の中にある公園ならまだいっぱい遊んでる子がいたなぁって。」
「寒いからじゃないかな?」
「それもあるだろうね。」
俺は空いているブランコに座った。
リオも隣のブランコに座った。
買ったペットボトルを開けて飲んだ。
「リオはブランコやった事あるの?」
「サーク、いくら何でもそれは酷くない?私だってブランコぐらいやった事あるよ?!」
「あはは。ごめんごめん。なんかリオとかセレブ組の子供ってトランポリンとかで遊んでるイメージだった。」
「……トランポリンでも遊んでたけど……。」
悔しそうにそう答えたリオがちょっと面白かった。
そういえば、リオの事あんまり知らないなぁと思って子供の頃の事とか色々聞いてみた。
習い事がバイオリンだったけど好きじゃなくて今はチェロを習ってる事とか、実は戦略ゲームが好きな事とか、フランス人のメル友がいるとか、やっぱりリオってリオだなぁと思ってしまった。
リオにも同じような事を聞かれ、習い事は習字をやらされてたけどやっぱり好きじゃなかった事や、中学はサイクリング部という変な部活に入っていて、休みになると皆で自転車で遠くに遊びに行って回っていて、リグはそこの後輩だった話なんかをした。
「ふふ。なんかサークっぽい。」
「え?!そう?!」
「うん。運動部ってイメージはないけど、文化部でじっとしてたってイメージもなかったから。サイクリング部って聞いたことなかったけど、サーク見てるとありえるって気になる。」
「何それ?!」
リオは笑ってブランコを漕いだ。
リオとブランコってなんかミスマッチだなと思って笑ってしまった。
これからどうしようか話しながら公園の出口に向かう。
するとリムジンがすでに待機していてびっくりした。
それからリオの希望でファストフードのお店に行ってハンバーガーを食べ、ゲームセンターに行った。
リオは音にびっくりしていて、あまりゲームに集中できないみたいだった。
最後に二人でUFOキャッチャーに挑戦して小さいキリンのぬいぐるみキーホルダーを取った。
それを大事そうにリオはカバンにつけた。
「今日はありがとう、サーク。」
「こんなんで良かったの??なんかなんにもしてない気がするけど……。」
「うん。」
「そっか。リオが楽しかったんならいいや。」
皆と同じように普通に遊びたい。
リオはそう言っていた。
帰り道に買い食いして、公園で無駄に駄弁って、ファストフードを食べて、ゲームセンターに寄ったりする。
言われてみれば普通にやってそうなことばかりだった。
あまりに普通すぎて、遠くまで来てわざわざやってみる事だったのかなと思うくらいだった。
「……また、来たいな……。」
帰りのリムジンの中、リオが呟く。
その顔があまりに寂しそうで俺はびっくりしてしまった。
俺にとっては普通の日常的なこと過ぎて、「普通」だと言うことすら気付なかった。
でも特別で周りから特別扱いされているリオにとって、そんな当たり前にありそうな「なんでもない事」が、そんなにも「特別」だったのだと気づいた。
「……また、行こうよ、リオ。9月まではこっちにいるんだろ?」
「サーク……。」
「今度はさ、皆で来よう。バトミントンとかボールとか持ってきてさ。……まぁ、なくてもなんかできるし。」
「……うん。ありがとう、サーク。」
リオはちょっと泣きそうな顔で笑っていた。
俺はセレブじゃないから、リオが普段どんな事をしているのか知らない。
でも今日の俺にとってはありふれた時間が、リオにとって特別なのだという事はわかった。
リオは、今日の日を忘れないだろうと思っていた。
どこにでもいる高校生として過ごした今日を。
でも、楽しみにしていた今日を過ごしてわかった事があった。
サークは自分を「異次元的に違う」と言ったりしていた。
はじめは面白い事を言っていると思っていた。
でも、今日を過ごしてみてわかった。
確かに「異次元的に違う」と言われても仕方ないのだと。
今日、リオはずっとびっくりしていた。
まるで「不思議の国のアリス」のアリスになった気分だった。
同じ世界の見た事のあるような場所なのに、まるで未知の国に来てしまったような気がした。
案内役の愛しの時計うさぎは、それを普通の事としてやっていたのにだ。
あぁ、彼の普通と私の普通は違うんだ……。
彼の持つ時計と自分の持つ時計はズレて時を刻んでいる。
一緒に歩いているのに、こんなに近くにいるのに。
積み重ねてきた時間が違いすぎて、お互いの「当たり前」が「当たり前」じゃないのだ。
今日、一緒に居れた事が嬉しい。
でも一緒に居た事で、そのズレを鮮明に知ってしまった。
「リオ?どうしたの?疲れた?」
「……うううん、大丈夫。それより、まだかかるから動画でも見ない?」
「いいよ。」
リオはそう言うとリモコンを出して弄った。
すると大きくはないが小さいほどでもないモニターが出てきた。
そこで動画を選択して映し始める。
「……リムジン、スゲェー。」
「ふふっ。そうかな?」
動画を選択し流し始める。
笑える系のその動画を、サークは集中してみている。
リオは思う。
今まで生きてきた環境が違う。
だから、積み重ねてきた時間が違うのだ。
それが違えばお互いの「普通」は全く違うものになる。
相手の世界が「異次元」に感じる。
それは埋める事はできないだろう。
でも……。
「……プッ!!」
動画を見るサークが思わず吹き出した。
その瞬間、リオは一時停止ボタンを押した。
「デデーン!サーク、アウト。」
ニコッと笑ってそう言うと、一瞬、何を言われたのかわからず固まったサークの顔が、次第に青くなっていく。
「え?えぇっ?!嘘だよね?!」
「サーク、アウトだよ。」
「嘘?!そんな話、聞いてない!!」
「流石にお尻叩きはできないからしないけど。」
「良かった~。」
こうやって笑うポイント。
驚くポイント。
そういうものまで違う訳じゃない。
「サーク、デコピンとシッペ、どっちがいい??」
「?!」
ニッコリ笑うと、明らかにサークは動揺していた。
そんな様子がおかしくて笑ってしまう。
「あ!リオも笑った!!」
「……え?こういう時の笑いも駄目なんだっけ??」
「駄目だよ!!車を降りるまでは!!」
「ムッ、じゃあ今回はおあいこって事で。次から車が止まって降りるまでは笑ったらデコピンかシッペだから。」
「リオもだよ?!」
「いいよ。もちろん。」
「言ったな?!」
「うん。」
リオはそう言って動画を再開する。
変な沈黙の中、二人はそれを見つめる。
ほら、確かにお互いの普通は違う。
でも同じ部分もある。
違う部分を埋めるには時間がかかるだろう。
そしておそらく、それを完全に埋める事は難しいだろう。
一緒にいても、そのズレをきっとずっと感じる事になる。
それは時として悲しく、時として怒りを生むこともあるだろう。
とても悲しいがそれは避ける事のできない事実だ。
だから今は、違う所を探すのではなく、同じ様に感じれる部分を探して、それを楽しもうと思った。
「……………………っ……。」
「サーク?」
「……っ笑ってない!!」
「そう?」
でもきっと時間の問題だ。
サークは絶対笑う。
でもそうなると、笑ってしまったサークを見て自分も笑ってしまうだろうとリオは思った。
「………………笑ってないっ……。」
「うん。」
凄く真剣にこらえている姿がおかしくて、そして愛おしい。
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リオはそんな事を思いながら、笑いを堪えるサークを見つめていた。
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