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本編
おやすみコール
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ギルに送ってもらい、ライルが遅くなるまで馬鹿話をしながらここ二日間のノートやプリントを見せてくれた。
あんまり余計な事考えるなよ?
そう言ってライルは帰って行った。
そうは言われても……と俺はベッドに寝転がる。
学校側との話し合い。
本当に弁護士さんがいてくれてよかった。
ふう……と大きく息を吐き出す。
自分で思っているより、俺は平気じゃないんだと思う。
何となく不安に思って、カウンセリングでもらった漢方薬を飲む。
錠剤の薬はまだ何となく怖くて飲む気にならなかった。
エドの言い分はこうだ。
俺に二人だけで話したいと呼び出され、人気のない北棟2校舎に行った。
以前から俺に好意があったから期待していた。
けれど俺が単にバレンタイン合戦の為、エドの気持ちを利用しようとしているだけで、告白してもエドの好意に応える気がなく拒絶された事に腹が立ち、言い合ううちに興奮してナイフを出してしまった。
ナイフを出したのは行き過ぎていたが、喧嘩していただけで性的乱暴を働こうとしていた訳ではない。
俺側の言い分はこうだ。
一人になりたくて人気のない北棟2校舎に行った。
そこでたまたまエドに会った。
話しているうちに告白され迫られた。
拒否するとナイフで脅され押し倒され、乱暴されそうになった。
揉めているうちにギルとライルが駆けつけた。
食い違う点がいくつかある。
何故、北棟2校舎に居たのか。
痴情の縺れなのか、一方的な乱暴なのか。
そもそも性的乱暴だったのか。
焦点になるのは「北棟2校舎に何故いたのか」だ。
痴情の縺れなのかという点については、以前からバレンタイン合戦の為に「姫」が自分に好意的な相手に働きかけるという事がたまにあり、問題になった事もあるので学校側はそれを信じてしまった部分がある。
エドもそれをわかっていたから利用したのだろう。
バレンタイン合戦が目前になり、焦った俺が自分に好意を持っているエドにモーションをかけ、周りからたくさん貢物を集めるよう頼んだと言ったらしい。
だが、この部分については学校側もおよび腰で深くは追求してこない。
なぜなら生徒間の恋愛事情など学校側が把握しきれるものでもないし、個人情報保護の観点からもあまり深入りしたくない部分だからだ。
その上俺が「姫」としてバレンタイン合戦に熱心だった訳ではない事は見ていればわかるし、色仕掛けを用いるように見えるかと言われれば見えないし、エドに対して好意に気づいていたかと言えば、そうは見えなかったと周りは証言するからだ。
そして同じく証明が難しいのが、そもそも性的乱暴なのか否かだ。
学校としてはできれば触れたくない部分と言える。
それが明確になってしまったら大きなスキャンダルになってしまうからだ。
エドは争う過程で押し倒す形にはなったが、性的乱暴を目的としていた訳ではなく、あくまで喧嘩の流れでそういう形になったと話している。
これに対し、俺側からは破かれたジャケットとワイシャツを見せた。
これらは提出を求められたが、必要があれば鑑定に使うのでと弁護士さんが断った。
それから俺の当日の傷についての診断書、カウンセラーの診断書などのコピー。
そして学園運営者としてリオがすぐに動いて、現場となった教室を学校関係者含め立入禁止にして現場保存してくれた。
これだけで性的乱暴未遂があったとは証明できないが、こちらが被害届ないし告訴を検討している以上、警察が介入した際、有効な証拠となる。
性的乱暴なのかの証明はできないが、学校側としてはこれ以上この部分は掘り返したくないので有耶無耶に流していた。
だから、争点になるのは「何故、北棟2校舎にいたか」だ。
この部分については、俺はクラスの皆やライルやギルという「騎士」に見つからないように黙ってそこに行ったので、分が悪い部分がある。
それに人気のない北棟2校舎の廊下にはいくつか防犯用のカメラがあったのだが、音声がない以上、俺とエドが会った事はわかっても、何を話していたのか、つまり呼び出されたのか偶然なのかはわからないし、流石に教室内の映像はない。
これに対し、弁護士さんは俺がエドを呼び出した証拠を求めた。
呼び出されたならラインやメールがあるはずだと。
手紙や口頭で呼ばれたのなら、いつ、どこで言われた(渡された)かをはっきりさせるよう求めた。
メールであればたとえ消したとしても俺とエド、双方に履歴がなければおかしいし、俺は「姫」である為常に誰かしらが側にいたし、エドが騎士見習いとして側にいるにはギルと一緒でなければならなかった事から、いつ言われた(渡された)というのを引っくり返せれば逆に相手を追い詰める手段にできるからだ。
しかも誰もいない登下校の際と言われても、俺にはストーカーという無敵の証人がいる……。喜んでいいのか悲しむべきかはわからないが、ギルの変態行動が役に立つ事になる。
何より、良くも悪くも俺は「姫」だ。
立番をして全生徒に顔を売ってるような立場なのだ。
だからたとえクラスメイトとストーカーの目を掻い潜っても、この学校の生徒なら「平凡姫」の顔ぐらい知っている。だから俺とエドが誰にも見つからず、何かするというのはかなり難しい状況にある。
それでも今回のように、「誰にも見つからない」状況が起こらないとは言い切れないけれども……。
それから弁護士さんは、何故エドがナイフを持っていたのかを追求した。
この学校ではそれを認めているのかと。
当たり前だが、ナイフを持ち歩くなんてのは校則どころか法律で禁じられている。
学校側としてもそこを責められるのは非常に困る部分だ。
エドの言い分では、護身用と鉛筆削りなのだそうだ。
子供の頃、セレブだったエドは誘拐されかけた事がある為、その恐怖から護身用に持ち歩いているらしい。
そしてナイフで鉛筆を削っているところを見た事のある人がいる。
ただこれは、鉛筆を削っていると言いつつ、エドなりの脅しを兼ねていると後から聞いた。
今思えば、そういうところにエドの精神的な不安定さが見えていたのだ。
弁護士さんとガスパーは、エドの過去について今、洗っているらしい。
多くは教えてくれなかったが、過去に泣き寝入りした被害者とも接触しているようだった。
頭が重い。
何か考えたいような、何も考えたくないような。
何か考えたいけれど思い出したくない事を思い出しそうで怖い。
枕を抱き寄せ、顔を埋める。
不安。
何が不安かと聞かれても、何も考えたくないからわからない。
なのにとりとめもなく色々な事が無秩序に頭に浮かんでうるさい。
寝てしまえばいいのだろうけれど、今日はたくさんの事があってその刺激で頭が覚醒していて寝付けない。
眠れない。
不安。
……怖い。
何か自分の中に良くないものがある。
胸に穴が空いたみたいな感覚の逆。
胸の中に何か取り払えない何かがある。
それがいつか自分を蝕むんじゃないかと思えて怖い。
大丈夫。
今日の話し合いだってうまく行った。
大丈夫。
こんなにもたくさんの人が力になってくれている。
大丈夫。
普通ならあり得ないほど、強力な皆が力になってくれている。
大丈夫。
大丈夫……。
でも、怖い……。
何かはわからない。
胸の中に何か良くないものがあって、それが取れなくて怖い。
考えたくても何も考えたくない。
「……辛い。」
無意識に自分の口から出た言葉に驚く。
そうか、俺は辛いんだ。
よくわからないこの状況が辛いんだ。
でも辛いとわかっても、どうしていいのかわからなかった。
徐にスマホを手に取った。
アドレス帳をダラダラとスクロールする。
そして、通話ボタンを押した。
3コールして出なかったら切ろう。
押してしまってから妙に慌ててそう思う。
「どうした?!何があった?!」
しかし、3コールなど待たずして、相手は電話に出た。
びっくりしすぎて無言になってしまう。
「サーク?!どうした?!何があった?!」
焦ったような声。
普段、こんな声出す奴じゃないのにな。
どんな顔で電話してるんだろう。
「サーク?!」
「……聞こえてるっての。」
「よかった……。」
安堵のため息が小さく聞こえた。
それを押し当てた耳で聞きながら、俺もどこかほっとしていた。
「……どうしたんだ?眠れないのか?」
「まぁ、そんな感じ。」
「……………………。」
「いや、そこで無言になるなよ。」
電話してみたものの、そいつらしい反応に思わず笑う。
多分、無表情に固まってんだろうなと容易に想像できた。
「……明日、カウンセラーに……。」
「なぁ。」
「……え?」
「大丈夫だって言え。」
「……え?」
「いいから。大丈夫だって言え。」
スマホを耳に押し当て、その時をじっと待つ。
どうして自分がそんな事をしているのかさえわからなかった。
でも、コイツは今回の件で一番みっともない俺の姿を知っている。
だからこれぐらいのみっともなさをさらけ出しても変わらないと思ったのだ。
「……大丈夫。」
「………………。」
「大丈夫だ、サーク。」
「……うん。」
「俺達がいる。だから絶対に大丈夫だ……。」
「……うん。」
真っ暗な闇の中。
皆が必死に助けようとしてくれている。
それがわかっていても真っ暗なのだ。
でも……。
「大丈夫だ、サーク。俺がいる……。」
「……うん。」
少しだけその「大丈夫」が信じられた。
そいつの言う「大丈夫」は信じられた。
「遅くに悪かったな。」
「……もういいのか?」
「他に用はねぇ。じゃあな。」
そう言って無理やり通話を終えた。
終えてしまうと、何だかとんでもない事をしでかしたような気分になって落ち着かなくなった。
「やべぇ……何してんの?俺……。」
目には目を、猛毒には猛毒を。
胸の中にあった何か悪いものは少しだけ存在が軽くなり、代わりにやべぇ事したという落ち着かなさがムズムズと体の中に残った。
モフっと枕を抱きしめる。
何でこんな事したんだろうなぁと考えているうちに、俺はいつの間にか眠っていた。
あんまり余計な事考えるなよ?
そう言ってライルは帰って行った。
そうは言われても……と俺はベッドに寝転がる。
学校側との話し合い。
本当に弁護士さんがいてくれてよかった。
ふう……と大きく息を吐き出す。
自分で思っているより、俺は平気じゃないんだと思う。
何となく不安に思って、カウンセリングでもらった漢方薬を飲む。
錠剤の薬はまだ何となく怖くて飲む気にならなかった。
エドの言い分はこうだ。
俺に二人だけで話したいと呼び出され、人気のない北棟2校舎に行った。
以前から俺に好意があったから期待していた。
けれど俺が単にバレンタイン合戦の為、エドの気持ちを利用しようとしているだけで、告白してもエドの好意に応える気がなく拒絶された事に腹が立ち、言い合ううちに興奮してナイフを出してしまった。
ナイフを出したのは行き過ぎていたが、喧嘩していただけで性的乱暴を働こうとしていた訳ではない。
俺側の言い分はこうだ。
一人になりたくて人気のない北棟2校舎に行った。
そこでたまたまエドに会った。
話しているうちに告白され迫られた。
拒否するとナイフで脅され押し倒され、乱暴されそうになった。
揉めているうちにギルとライルが駆けつけた。
食い違う点がいくつかある。
何故、北棟2校舎に居たのか。
痴情の縺れなのか、一方的な乱暴なのか。
そもそも性的乱暴だったのか。
焦点になるのは「北棟2校舎に何故いたのか」だ。
痴情の縺れなのかという点については、以前からバレンタイン合戦の為に「姫」が自分に好意的な相手に働きかけるという事がたまにあり、問題になった事もあるので学校側はそれを信じてしまった部分がある。
エドもそれをわかっていたから利用したのだろう。
バレンタイン合戦が目前になり、焦った俺が自分に好意を持っているエドにモーションをかけ、周りからたくさん貢物を集めるよう頼んだと言ったらしい。
だが、この部分については学校側もおよび腰で深くは追求してこない。
なぜなら生徒間の恋愛事情など学校側が把握しきれるものでもないし、個人情報保護の観点からもあまり深入りしたくない部分だからだ。
その上俺が「姫」としてバレンタイン合戦に熱心だった訳ではない事は見ていればわかるし、色仕掛けを用いるように見えるかと言われれば見えないし、エドに対して好意に気づいていたかと言えば、そうは見えなかったと周りは証言するからだ。
そして同じく証明が難しいのが、そもそも性的乱暴なのか否かだ。
学校としてはできれば触れたくない部分と言える。
それが明確になってしまったら大きなスキャンダルになってしまうからだ。
エドは争う過程で押し倒す形にはなったが、性的乱暴を目的としていた訳ではなく、あくまで喧嘩の流れでそういう形になったと話している。
これに対し、俺側からは破かれたジャケットとワイシャツを見せた。
これらは提出を求められたが、必要があれば鑑定に使うのでと弁護士さんが断った。
それから俺の当日の傷についての診断書、カウンセラーの診断書などのコピー。
そして学園運営者としてリオがすぐに動いて、現場となった教室を学校関係者含め立入禁止にして現場保存してくれた。
これだけで性的乱暴未遂があったとは証明できないが、こちらが被害届ないし告訴を検討している以上、警察が介入した際、有効な証拠となる。
性的乱暴なのかの証明はできないが、学校側としてはこれ以上この部分は掘り返したくないので有耶無耶に流していた。
だから、争点になるのは「何故、北棟2校舎にいたか」だ。
この部分については、俺はクラスの皆やライルやギルという「騎士」に見つからないように黙ってそこに行ったので、分が悪い部分がある。
それに人気のない北棟2校舎の廊下にはいくつか防犯用のカメラがあったのだが、音声がない以上、俺とエドが会った事はわかっても、何を話していたのか、つまり呼び出されたのか偶然なのかはわからないし、流石に教室内の映像はない。
これに対し、弁護士さんは俺がエドを呼び出した証拠を求めた。
呼び出されたならラインやメールがあるはずだと。
手紙や口頭で呼ばれたのなら、いつ、どこで言われた(渡された)かをはっきりさせるよう求めた。
メールであればたとえ消したとしても俺とエド、双方に履歴がなければおかしいし、俺は「姫」である為常に誰かしらが側にいたし、エドが騎士見習いとして側にいるにはギルと一緒でなければならなかった事から、いつ言われた(渡された)というのを引っくり返せれば逆に相手を追い詰める手段にできるからだ。
しかも誰もいない登下校の際と言われても、俺にはストーカーという無敵の証人がいる……。喜んでいいのか悲しむべきかはわからないが、ギルの変態行動が役に立つ事になる。
何より、良くも悪くも俺は「姫」だ。
立番をして全生徒に顔を売ってるような立場なのだ。
だからたとえクラスメイトとストーカーの目を掻い潜っても、この学校の生徒なら「平凡姫」の顔ぐらい知っている。だから俺とエドが誰にも見つからず、何かするというのはかなり難しい状況にある。
それでも今回のように、「誰にも見つからない」状況が起こらないとは言い切れないけれども……。
それから弁護士さんは、何故エドがナイフを持っていたのかを追求した。
この学校ではそれを認めているのかと。
当たり前だが、ナイフを持ち歩くなんてのは校則どころか法律で禁じられている。
学校側としてもそこを責められるのは非常に困る部分だ。
エドの言い分では、護身用と鉛筆削りなのだそうだ。
子供の頃、セレブだったエドは誘拐されかけた事がある為、その恐怖から護身用に持ち歩いているらしい。
そしてナイフで鉛筆を削っているところを見た事のある人がいる。
ただこれは、鉛筆を削っていると言いつつ、エドなりの脅しを兼ねていると後から聞いた。
今思えば、そういうところにエドの精神的な不安定さが見えていたのだ。
弁護士さんとガスパーは、エドの過去について今、洗っているらしい。
多くは教えてくれなかったが、過去に泣き寝入りした被害者とも接触しているようだった。
頭が重い。
何か考えたいような、何も考えたくないような。
何か考えたいけれど思い出したくない事を思い出しそうで怖い。
枕を抱き寄せ、顔を埋める。
不安。
何が不安かと聞かれても、何も考えたくないからわからない。
なのにとりとめもなく色々な事が無秩序に頭に浮かんでうるさい。
寝てしまえばいいのだろうけれど、今日はたくさんの事があってその刺激で頭が覚醒していて寝付けない。
眠れない。
不安。
……怖い。
何か自分の中に良くないものがある。
胸に穴が空いたみたいな感覚の逆。
胸の中に何か取り払えない何かがある。
それがいつか自分を蝕むんじゃないかと思えて怖い。
大丈夫。
今日の話し合いだってうまく行った。
大丈夫。
こんなにもたくさんの人が力になってくれている。
大丈夫。
普通ならあり得ないほど、強力な皆が力になってくれている。
大丈夫。
大丈夫……。
でも、怖い……。
何かはわからない。
胸の中に何か良くないものがあって、それが取れなくて怖い。
考えたくても何も考えたくない。
「……辛い。」
無意識に自分の口から出た言葉に驚く。
そうか、俺は辛いんだ。
よくわからないこの状況が辛いんだ。
でも辛いとわかっても、どうしていいのかわからなかった。
徐にスマホを手に取った。
アドレス帳をダラダラとスクロールする。
そして、通話ボタンを押した。
3コールして出なかったら切ろう。
押してしまってから妙に慌ててそう思う。
「どうした?!何があった?!」
しかし、3コールなど待たずして、相手は電話に出た。
びっくりしすぎて無言になってしまう。
「サーク?!どうした?!何があった?!」
焦ったような声。
普段、こんな声出す奴じゃないのにな。
どんな顔で電話してるんだろう。
「サーク?!」
「……聞こえてるっての。」
「よかった……。」
安堵のため息が小さく聞こえた。
それを押し当てた耳で聞きながら、俺もどこかほっとしていた。
「……どうしたんだ?眠れないのか?」
「まぁ、そんな感じ。」
「……………………。」
「いや、そこで無言になるなよ。」
電話してみたものの、そいつらしい反応に思わず笑う。
多分、無表情に固まってんだろうなと容易に想像できた。
「……明日、カウンセラーに……。」
「なぁ。」
「……え?」
「大丈夫だって言え。」
「……え?」
「いいから。大丈夫だって言え。」
スマホを耳に押し当て、その時をじっと待つ。
どうして自分がそんな事をしているのかさえわからなかった。
でも、コイツは今回の件で一番みっともない俺の姿を知っている。
だからこれぐらいのみっともなさをさらけ出しても変わらないと思ったのだ。
「……大丈夫。」
「………………。」
「大丈夫だ、サーク。」
「……うん。」
「俺達がいる。だから絶対に大丈夫だ……。」
「……うん。」
真っ暗な闇の中。
皆が必死に助けようとしてくれている。
それがわかっていても真っ暗なのだ。
でも……。
「大丈夫だ、サーク。俺がいる……。」
「……うん。」
少しだけその「大丈夫」が信じられた。
そいつの言う「大丈夫」は信じられた。
「遅くに悪かったな。」
「……もういいのか?」
「他に用はねぇ。じゃあな。」
そう言って無理やり通話を終えた。
終えてしまうと、何だかとんでもない事をしでかしたような気分になって落ち着かなくなった。
「やべぇ……何してんの?俺……。」
目には目を、猛毒には猛毒を。
胸の中にあった何か悪いものは少しだけ存在が軽くなり、代わりにやべぇ事したという落ち着かなさがムズムズと体の中に残った。
モフっと枕を抱きしめる。
何でこんな事したんだろうなぁと考えているうちに、俺はいつの間にか眠っていた。
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