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本編
今日の終わり、明日の始まり
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風呂から上がった後、とりあえずギルの(正確にはコンシェルジュが)用意してくれたアフタヌーンティーを頂く。
どうやって食べるのかわからずにいると、リラックスする為にお茶を飲むのに細かい事など気にするなとギルに言われた。
それでも気後れしていると、ギルは何も気にしないようにスコーンの皿を取って食べ始める。
「マナーはその場に合わせて行うものだ。それを気にする人間もいない俺の部屋で堅苦しい事に悩む必要があるか?」
「……ないな??」
そう言われ、一番上にあったプチケーキの皿を取った。
確か一番下から食べるのがマナーとしては正解なんだろうけど、単なるおやつタワーだと思えば好きなものを好きな順で食べたっていい訳だ。
そんなこんなで小腹を満たしているとギルの言っていたカウンセラーが来て、俺は少し話した。
その間、ギルは本当にどこかに出かけていた。
変に律儀だよなと思いつつ、ほっとしている自分がいた。
とはいえ、生まれてこのかた、カウンセリングなんてものは受けた事がない。
何を話していいのかわからなかったが、カウンセラーは「まだ心が話したくないと思っている事を無理に話す必要はない」と言ってくれた。
そのおかげか流石はプロというか、緊張を和らげるように世間話をした後、少しだけ事件(?)の事も話した。
俺にはエドの気持ちを理解してやれない事、むしろ何か抱えてああなっているエドにカウンセリングが必要だと思う事。
カウンセラーは始終静かに聞いてくれた。
そのうち時間を計ったかのようにギルが帰ってきて、カウンセラーと一言二言言葉を交わし、カウンセラーは帰って行った。
ギルの手にはコンビニの袋がぶら下がっていて、それを手渡される。
何かと思ったらアイスだった。
「……へ??」
「それ、好きじゃないのか??」
「いや……好きだけど??」
それは学食でデサートを奢らせるというライルの策略の時に俺がよく頼んでいたアイスだった。
奢らせるという事に気が引けて安いものを選んでいたので、アイスになる事が多かったのだ。
何となくむず痒い気分になる。
とはいえアフタヌーンティーも食べたので冷凍庫にしまってもらった。
そんな事をしていると、また部屋に人が訪ねてきた。
誰かと思ったら、弁護士だという。
ぎょっとしてギルを見ると、ガスパーが手配したと言われた。
え?何??
もうそこまで話が回ってんのか??
まぁ事が事だからいずれは伝わるだろうけど……。
困っているとガスパー本人から電話が来て少し話す。
「弁護士ってお前?!」
「いいからこっちに任せろ。」
「いや……でも……。」
「お前の立場を守る処置だ。エドの噂は知ってるんだろ?その対策に過ぎねぇよ。前と同じでお前にその気がなきゃ大事にはしねぇ。だが向こうのいい様にさせない為にはそれなりの圧がいるんだよ。わかるな?」
「……うん。」
ガスパーの言っている事はわかる。
何もしなければ、これまでの噂と同じ様に丸め込まれる。
だからこちらも牽制するだけの力がある事を見せなければならないのだ。
それは訴えるかどうかに関わらず、相手に示さなければならない。
それでもわかっていても気は重い。
俺の出方次第でエドの人生は揺れる。
「それと明日は休め。来ると面倒な事になるし、こっちの手続きを進める時間がいる。」
そんな俺に気遣ったのかそうでないのか、ガスパーがサラリと言った。
俺は目が点になって素っ頓狂な声を出す。
「え?!いや!俺!皆勤賞!!」
そう俺はこの3年間、皆勤賞なのだ。
担任にも成績云々よりこの3年間皆勤賞は強いから死守しろと言われている。
エスカレーターで進学できるとはいえ、一応学内テストや成績は大学側に提出され、滅多にないがその成績によっては学部変更を求められる事もあるのだ。
だから俺は皆勤賞はできれば守りたい。
何より学校でしか会えないドイル先生の推し活を1日でも多くするためには、唯一会える学校を休むなんて事はできないのだ。
「……皆勤賞って……この状況でそれを心配すんのかよ?!……いや……そうだな、お前、脳筋だしな。」
「俺は脳筋じゃない!」
「わかったわかった。とにかくその辺も含めて交渉すっから弁護士と話してくれ。無理しなくていい。軽く話せる感じでいいから。」
いつものようにつっけんどんな声。
でもその節々にガスパーの気遣いが見える。
俺はあの時、ガスパーに何もしてやれなかった。
なのにガスパーはこんなにも力になろうとしてくれる。
その思いにありがたさと申し訳無さを感じた。
「……わかった。でも……。」
「でも何だよ?!」
「……あんま、エドを追い詰めないでやってくれ。」
「はぁ?!」
「そりゃ……俺も自覚してるよりダメージ受けてるし……やっていい事と悪い事があって、エドはやり過ぎたってのはわかってる……。でも……俺ら3年なんだぜ?わかるだろ?」
俺がそう言うと、スマホから心底呆れ返ったようなため息が聞こえた。
横で聞いていたギルも弁護士も目を丸くして驚いている。
いや、でもさ……。
やったらいけない事をアイツはやったけどさ……。
「……サーク……テメェ……。人が良いにも程があるぞ?!」
「わかってる。でもさ、エドにもエドなりの理由があったんだと思う。俺には理解できないけど、アイツの立場から見た何かはあるんだよ……。それに……俺の知ってたエドが、全部嘘だったと思いたくない……。」
「……サーク。」
「アイツはやったらいけない事をした。アイツはやり過ぎた。噂が本当なら逃げ回らせず一度何らかの罰を受けるべきだ。でも、俺は俺の知っていたエドを信じたい。あれが全部嘘だったと演技だったと思えないし思いたくない。」
「甘いぞ、サーク。」
「たとえそれが偽りだったとしても、アイツがずっと誰よりも道場に早く来て掃除をして、誰よりも練習に励んでいた事は嘘じゃない。部に所属していた2年半、誰に言われたでもなくずっと続けていたあの姿は嘘じゃない。皆に認めてもらう為に努力し、主将になって頑張っていた事は嘘じゃない。それがアイツの偽りの姿だったとしても、それができるってのは並大抵の努力じゃない。嘘じゃないんだ。少なくともそれは嘘じゃないんだ。」
「だからってアイツのやってきた事は許されるものじゃない。」
「わかってる。だから頼む。アイツを完全に潰さないでやって欲しい。完膚なきまでに叩きのめさないでやって欲しい。」
「………………。」
「俺は……アイツが努力できる奴だと思う。テメェのケツをしっかり拭かせたら、きちんと立ち直れると信じたい。その道は険しいだろうけど、アイツならできるって信じたい。だから、完全に叩きのめさないでやってくれ。辛く険しい道になろうとも、道は残してやってくれ。」
俺がそう懇願すると、電話の向こうでガスパーは押し黙っていた。
おそらく、ガスパーの頭の中ではエドを完全に無き者にするぐらいの道筋がついていたのだと思う。
なのに俺が罪を償わせても道を残せと言うものだから困っているのだろう。
俺もそれ以上、何も言う事ができなかった。
無言のまま時が過ぎる。
すると俺の持っていたスマホがスルッと奪われた。
びっくりして顔を上げると、ガスパーに頼まれて来たという弁護士がにっこり笑った。
そして俺の代わりに話し出す。
「……お電話変わりました。……はい。ええ……。いや、むしろ今ので大体の事は把握しました。……ええ……はは、そうですね。でも……。」
何やらガスパーと話し込む弁護士。
その目がちらりと俺を見る。
そしてとても嬉しそうに微笑んだ。
「……坊っちゃんが変わられた理由が、私にもとても良くわかりました。良いご友人に出逢われましたね。」
その言葉に俺はちょっと赤くなる。
俺はあの時、ガスパーに何もしてやれなかった。
むしろ変な噂になった時、助けてもらった。
ガスパーが弁護士になると決めたのだって、別に俺がどうこう関わっている訳じゃない。
ガスパーがガスパーの意志で決めた事だ。
俺は何もしてやれなかったし、してない。
それでもガスパーにとって、俺と出会った事が良い事だったのなら嬉しい。
本当にそう思った。
弁護士が笑いながらスマホを返してくる。
俺は少しどぎまぎしながらそれを受け取った。
「もしも……。」
「勘違いすんなよっ?!」
耳に当てた瞬間、聞こえる怒声。
俺以上に真っ赤になって狼狽えているガスパーの姿が目に浮かんで思わず笑う。
「俺は別に!お前の事で変わったんじゃねぇ!!」
「……わかってるわかってる。」
「何笑ってやがる!サーク!!」
電話口で凄まれてもどうしてだか全く怖くない。
だって俺はもう、ガスパーを知っているから。
コイツが見た目やさぐれてツンツンおっかないのだって、本当は誰より優しいのを隠す為だってわかってる。
「……ありがとな、ガスパー。」
「な、何だよ……改まりやがって……。」
「俺、ガスパーに出会えて良かったよ。」
「?!」
「ガスパーと仲良くなれて良かった。いつも力になってくれてありがとな。」
素直な気持ちを伝える。
それを見ていた弁護士はクスッと笑い、ギルは能面みたいに無表情だ。
「~~~っ!!とにかく!弁護士と話せ!!わかったな?!」
「わかった。ありがとな。」
「知らん!!」
捨て台詞と共に切られた電話。
どんな顔をしていたか想像できて笑ってしまう。
そんな俺に、ギルがはぁ……とため息をついた。
「……お前は……本当に天然無自覚のたらしだな……。」
「はぁ?!何でそうなるんだよ?!」
ただ感謝を素直に伝えただけなのに、なんでそんな言われ方をせねばならんのだ?!
憤慨する俺。
呆れるギル。
それをガスパーに頼まれて来たという弁護士がくすくす笑いながら見ていた。
弁護士と少し話し、サークは状況説明をする。
一応、会話は証言の証拠として録音された。
いくつか質問された後、今日はひとまずこれでと弁護士は帰って行った。
これからどうするか……。
気持ちが落ち着いてきた事、弁護士と話した事で、サークは自分のこれからを意識した。
とりあえず今日という日は終わったが、このまま何事もなくこれまで通りと言う訳にはいかない。
事が事なのでライルは学校側にエドをナイフと共に引き渡した。
本当ならサークもその場にいなければならず、学校側から事情を聞かれる筈だった。
だが帰ってしまった事で、学校側はエドの話しか聞いていない。
ライルが変わりに話してくれた様だが、当事者と言うより発見者であり関係者だ。
しかも発見者の一人であるギルはサークと共に帰ってしまっている。
これまでのエドの噂から考え、問題にならないようエドが話を進めている事は目に見えている。
何より学校としては事を荒立てたくないだろう。
けれど最終的に実害はなかったとはいえ、ナイフを持って人を脅したと言うのは警察沙汰になってもおかしくない話だ。
実際、弁護士は被害届の話もしていた。
流石にそれはと躊躇するサークに、弁護士は被害届と告訴の違いを説明し、被害届を出したからと言って必ず刑事事件になるわけではない事、今回の場合なら示談が成立して取り下げる事で刑事事件には至らない事を説明してくれた。
ただ、エドのこれまでの経緯を鑑みた場合、向こうの出方次第では被害届を提出する覚悟をもって欲しいと言われた。
それはエドの為にすべきだと。
このままこういった事を彼に繰り返させない為にも必要な事だと言われた。
大したことない。
そう、サーク自身自分でも思いたかった。
だから今日、その場に残っていて学校側から事情を聞かれて話し合った際、「少し行き過ぎた喧嘩」だと「大したことじゃない」だろうと言われたら、そうだと思い込もうとしただろう。
だが実際はサーク自身が自覚しているよりずっとショックを受けていた。
今、ある程度普段通りでいられるのは、ギルをはじめとした皆が気を使ってくれたからだ。
エドの噂がどこまで本当なのかはわからない。
けれど今日、向き合った事は噂ではなく事実なのだ。
このまま噂と同じ様に、サークの件も「噂」としてしか残らなければ、エドはそれが当たり前だとこれからも思い続け、それを繰り返す。
止めなければならない。
少なくとも自分はエドを友達だと思っているのだから、止めなくてはならないとサークは思った。
そしてそれはこれまで上手く立ち回ってきたエドに対し、サーク一人では成し得ない事だが仲間が共に闘ってくれる。
むしろ周りの方がすでに戦う気満々で、気後れしてしまうくらいだった。
「……何を笑っているんだ?」
「いや……俺はいい友達に囲まれてるんだなぁと思ってさ。」
「……そうか。」
「うん、そうだよ。……エドも含めてさ。」
「……そうか……。」
「うん。」
サークの言葉に、ギルはそれ以上、何も言わなかった。
とてもサークらしい言葉だなと思った。
カウンセラーや弁護士と話していた事もあり、すっかり遅くなった事からサークは今日ギルの部屋に泊まっていく事になった。
一人にしておけないという気持ちからダメ元で提案してみたところ、サークはあっさり泊まると言った。
自分で提案したとはいえ、変態ストーカーといつも言われていた事から、ギルの方がびっくりしてしまった。
思わず思考停止して固まったギル。
しかし答えはだいぶ単純な事で、サークは明日も休む事になった事から夜更かししてやろうと考えたのだ。
ギルの部屋の大きな液晶モニターに目を付けていたようで、嬉々として指差し、これで見たい映画があると言い出したのだ。
転んでもただでは起きぬと言うか、なかなかの逞しさにギルは笑ってしまった。
「……ピッツァとは違う気がするが……旨いな……。」
「だから、そのピッツァはやめろ。」
大きなTVモニターで映画を見ながら、デリバリーで頼んだ、サークにとっては「日本人にお馴染みの宅配ピザ」を口に運んだ。
熱々で具がたっぷりで持つと具とチーズの重さでヘタれるそれを、こぼさない様に畳んで持ち上げ頬張る。
旨い。
本場のピッツァとは別物なんだろうけれど、庶民にとってピザと言えばこれだよな~と彼は思う。
「……熱っ!!」
堪能していたら、溢れたチーズが手にデロっとかかり、サークは思わず声をあげた。
するとすかさずギルが無表情にお手拭きを差し出す。
ご丁寧に開けて取り出して渡してくれるので、そのいたれりつくせり感にサークは何となく気まずく小さな声で呟いた。
「……ありがとう。」
「構わん。」
画面を見つめるギル。
離れた間接照明以外は消した部屋は映画の音と光だけ。
サークも画面に視線を戻し……。
「……あ~!!マジ格好いい~!!」
「………………。」
「ドイル先生も闘ってたらこんな感じなんだろうなぁ~♡」
画面いっぱい、武術の達人がバッタバッタと敵をいなしていく。
その速度、その強さにサークはキュンキュンする。
やっぱり気持ちが滅入った時は推し活に限る。
サークの神推しはドイル先生だが、ドイル先生推しが高じて武術映画を見るのが好きなのだ。
だからギルの部屋のひとり暮らしにそぐわない巨大モニターを見て、これで武術アクション映画を見たら最高だなと思っていたところに、ギルが遅くなったし今夜は泊まっていくかと言うものだから飛びついたのだ。
「うおおぉぉぉ!格好いい!!」
叫びながら食い入るように映画を見るサーク。
その横で無表情なギル。
「……普通、あんな事があったらこういったモノを見るのはタブーなんじゃないか……??」
「は?!なんか言ったか?!」
「……いや、何も。」
サークのハイテンションに押され、ギルは黙るしかない。
仮にも襲われた人間が武術アクション映画を見て盛り上がっているこの状況。
それでいいのだろうかと疑問を抱かずにはおれない。
しかし連絡してみたカウンセラーは、サークの様子と裏事情(憧れの教師)の話を聞き、笑って好きなようにさせておけと言った。
何より本人がこんなに楽しそうだと止めようがない。
カウンセラー曰く、自分に起きた事を否定する為に、また自分は弱くないと思おうとする余り、あえて暴力的な映像を見たがる場合もあるが、聞いた限りだとサークの場合それには当てはまらなそうなので大丈夫だろうと言う事だった。
ただ見ている様子は観察し、少しでもおかしそうだったら中止する事、何が原因でフラッシュバックするかわからないので、今見ている一本だけにするよう言われた。
ため息まじりにギルが画面に視線を戻すと、布を使って闘っているシーンだった。
それを見ながらふと呟く。
「……布。」
「は?!何だよ?!その馬鹿にした言い方は?!」
大好きな武術アクションを批判されたと思ったのか、サークがキッとギルを睨んだ。
そんなつもりはなくともギルは無表情すぎるのだ。
「あのな?!布を馬鹿にするなよ?!」
「いや……してないが……。」
「俺が何でエドとジャケットで戦ってたと思ってんだ?!」
「……何もなかったからじゃないのか?」
「違~う!!何でもいいならライルが使ってたホウキでも良かっただろうが!!」
そう言われ、無意味にジャケットで応戦していると思っていたギルは首を傾げた。
言われてみれば空き教室には様々なものが転がっていた。
小回りの効くサークなら、逃げながらもっといい物を拾って応戦していてもおかしくない。
そんなギルにサークがずいっと詰め寄る。
「いいか?布は刃物に対して防御性が高いんだ。」
「……そうなのか??」
「ああ。綿とか天然繊維は濡らしたら強度が上がるしな。」
「そうなのか……。」
「当たり前だろ?布を甘く見るな。盾だって布を何枚貼るかで強度が変わる。戦国時代、幔幕や出入り口に布が下がってるのは、部屋としての仕切りでもあるけど布地の柔軟性と避弾経始を利用して飛来物の軌道と威力を逸らすって作用の為でもあるんだぞ?」
「そうなのか?」
「そうだぞ?!布を馬鹿にするなよ?!」
「馬鹿にしては……。」
「広げれば相手の目くらましにもなる!刃物に対しても防御性がある!濡らせば強度が上がるし!布で叩いたって基本相手は死なないが!叩かれたっていう衝撃は体に残るから心理的にダメージは与えられるんだ!!」
鼻息荒く力説するサーク。
そう言えば修学旅行の際、夜中に抜け出そうとしたワルぶった連中を、風呂上がりのドイル教員がにこにこ笑ってバスタオル一枚でコテンパンにのして縛り上げた話があったなとギルは思う。
サークの狂信的な布知識もどうやら「神推し」教員の影響だとギルは気づいた。
「…………エドが片付いても……油断ならんな……。」
まだ本命だろうウィルもいる。
他のレジェンド姫達だって油断できない。
なのに狂信している教師までいるのだ。
一度想いがすれ違って変な距離ができた。
それをやっと、こうやって並んで映画を見るまでになった。
今はそれどころではない。
1日も早くサークが安心して元通り生活できる様にする事が最優先事項だ。
その為にガスパーも動いた。
裏で仕切っているのはおそらくリオだろう。
この件をきっかけに、皆が彼の為に本気で動く事になる。
それがどういう事になるのかわからない。
ピザを旨そうに頬張るサークを見つめ、ギルはため息をついたのだった。
どうやって食べるのかわからずにいると、リラックスする為にお茶を飲むのに細かい事など気にするなとギルに言われた。
それでも気後れしていると、ギルは何も気にしないようにスコーンの皿を取って食べ始める。
「マナーはその場に合わせて行うものだ。それを気にする人間もいない俺の部屋で堅苦しい事に悩む必要があるか?」
「……ないな??」
そう言われ、一番上にあったプチケーキの皿を取った。
確か一番下から食べるのがマナーとしては正解なんだろうけど、単なるおやつタワーだと思えば好きなものを好きな順で食べたっていい訳だ。
そんなこんなで小腹を満たしているとギルの言っていたカウンセラーが来て、俺は少し話した。
その間、ギルは本当にどこかに出かけていた。
変に律儀だよなと思いつつ、ほっとしている自分がいた。
とはいえ、生まれてこのかた、カウンセリングなんてものは受けた事がない。
何を話していいのかわからなかったが、カウンセラーは「まだ心が話したくないと思っている事を無理に話す必要はない」と言ってくれた。
そのおかげか流石はプロというか、緊張を和らげるように世間話をした後、少しだけ事件(?)の事も話した。
俺にはエドの気持ちを理解してやれない事、むしろ何か抱えてああなっているエドにカウンセリングが必要だと思う事。
カウンセラーは始終静かに聞いてくれた。
そのうち時間を計ったかのようにギルが帰ってきて、カウンセラーと一言二言言葉を交わし、カウンセラーは帰って行った。
ギルの手にはコンビニの袋がぶら下がっていて、それを手渡される。
何かと思ったらアイスだった。
「……へ??」
「それ、好きじゃないのか??」
「いや……好きだけど??」
それは学食でデサートを奢らせるというライルの策略の時に俺がよく頼んでいたアイスだった。
奢らせるという事に気が引けて安いものを選んでいたので、アイスになる事が多かったのだ。
何となくむず痒い気分になる。
とはいえアフタヌーンティーも食べたので冷凍庫にしまってもらった。
そんな事をしていると、また部屋に人が訪ねてきた。
誰かと思ったら、弁護士だという。
ぎょっとしてギルを見ると、ガスパーが手配したと言われた。
え?何??
もうそこまで話が回ってんのか??
まぁ事が事だからいずれは伝わるだろうけど……。
困っているとガスパー本人から電話が来て少し話す。
「弁護士ってお前?!」
「いいからこっちに任せろ。」
「いや……でも……。」
「お前の立場を守る処置だ。エドの噂は知ってるんだろ?その対策に過ぎねぇよ。前と同じでお前にその気がなきゃ大事にはしねぇ。だが向こうのいい様にさせない為にはそれなりの圧がいるんだよ。わかるな?」
「……うん。」
ガスパーの言っている事はわかる。
何もしなければ、これまでの噂と同じ様に丸め込まれる。
だからこちらも牽制するだけの力がある事を見せなければならないのだ。
それは訴えるかどうかに関わらず、相手に示さなければならない。
それでもわかっていても気は重い。
俺の出方次第でエドの人生は揺れる。
「それと明日は休め。来ると面倒な事になるし、こっちの手続きを進める時間がいる。」
そんな俺に気遣ったのかそうでないのか、ガスパーがサラリと言った。
俺は目が点になって素っ頓狂な声を出す。
「え?!いや!俺!皆勤賞!!」
そう俺はこの3年間、皆勤賞なのだ。
担任にも成績云々よりこの3年間皆勤賞は強いから死守しろと言われている。
エスカレーターで進学できるとはいえ、一応学内テストや成績は大学側に提出され、滅多にないがその成績によっては学部変更を求められる事もあるのだ。
だから俺は皆勤賞はできれば守りたい。
何より学校でしか会えないドイル先生の推し活を1日でも多くするためには、唯一会える学校を休むなんて事はできないのだ。
「……皆勤賞って……この状況でそれを心配すんのかよ?!……いや……そうだな、お前、脳筋だしな。」
「俺は脳筋じゃない!」
「わかったわかった。とにかくその辺も含めて交渉すっから弁護士と話してくれ。無理しなくていい。軽く話せる感じでいいから。」
いつものようにつっけんどんな声。
でもその節々にガスパーの気遣いが見える。
俺はあの時、ガスパーに何もしてやれなかった。
なのにガスパーはこんなにも力になろうとしてくれる。
その思いにありがたさと申し訳無さを感じた。
「……わかった。でも……。」
「でも何だよ?!」
「……あんま、エドを追い詰めないでやってくれ。」
「はぁ?!」
「そりゃ……俺も自覚してるよりダメージ受けてるし……やっていい事と悪い事があって、エドはやり過ぎたってのはわかってる……。でも……俺ら3年なんだぜ?わかるだろ?」
俺がそう言うと、スマホから心底呆れ返ったようなため息が聞こえた。
横で聞いていたギルも弁護士も目を丸くして驚いている。
いや、でもさ……。
やったらいけない事をアイツはやったけどさ……。
「……サーク……テメェ……。人が良いにも程があるぞ?!」
「わかってる。でもさ、エドにもエドなりの理由があったんだと思う。俺には理解できないけど、アイツの立場から見た何かはあるんだよ……。それに……俺の知ってたエドが、全部嘘だったと思いたくない……。」
「……サーク。」
「アイツはやったらいけない事をした。アイツはやり過ぎた。噂が本当なら逃げ回らせず一度何らかの罰を受けるべきだ。でも、俺は俺の知っていたエドを信じたい。あれが全部嘘だったと演技だったと思えないし思いたくない。」
「甘いぞ、サーク。」
「たとえそれが偽りだったとしても、アイツがずっと誰よりも道場に早く来て掃除をして、誰よりも練習に励んでいた事は嘘じゃない。部に所属していた2年半、誰に言われたでもなくずっと続けていたあの姿は嘘じゃない。皆に認めてもらう為に努力し、主将になって頑張っていた事は嘘じゃない。それがアイツの偽りの姿だったとしても、それができるってのは並大抵の努力じゃない。嘘じゃないんだ。少なくともそれは嘘じゃないんだ。」
「だからってアイツのやってきた事は許されるものじゃない。」
「わかってる。だから頼む。アイツを完全に潰さないでやって欲しい。完膚なきまでに叩きのめさないでやって欲しい。」
「………………。」
「俺は……アイツが努力できる奴だと思う。テメェのケツをしっかり拭かせたら、きちんと立ち直れると信じたい。その道は険しいだろうけど、アイツならできるって信じたい。だから、完全に叩きのめさないでやってくれ。辛く険しい道になろうとも、道は残してやってくれ。」
俺がそう懇願すると、電話の向こうでガスパーは押し黙っていた。
おそらく、ガスパーの頭の中ではエドを完全に無き者にするぐらいの道筋がついていたのだと思う。
なのに俺が罪を償わせても道を残せと言うものだから困っているのだろう。
俺もそれ以上、何も言う事ができなかった。
無言のまま時が過ぎる。
すると俺の持っていたスマホがスルッと奪われた。
びっくりして顔を上げると、ガスパーに頼まれて来たという弁護士がにっこり笑った。
そして俺の代わりに話し出す。
「……お電話変わりました。……はい。ええ……。いや、むしろ今ので大体の事は把握しました。……ええ……はは、そうですね。でも……。」
何やらガスパーと話し込む弁護士。
その目がちらりと俺を見る。
そしてとても嬉しそうに微笑んだ。
「……坊っちゃんが変わられた理由が、私にもとても良くわかりました。良いご友人に出逢われましたね。」
その言葉に俺はちょっと赤くなる。
俺はあの時、ガスパーに何もしてやれなかった。
むしろ変な噂になった時、助けてもらった。
ガスパーが弁護士になると決めたのだって、別に俺がどうこう関わっている訳じゃない。
ガスパーがガスパーの意志で決めた事だ。
俺は何もしてやれなかったし、してない。
それでもガスパーにとって、俺と出会った事が良い事だったのなら嬉しい。
本当にそう思った。
弁護士が笑いながらスマホを返してくる。
俺は少しどぎまぎしながらそれを受け取った。
「もしも……。」
「勘違いすんなよっ?!」
耳に当てた瞬間、聞こえる怒声。
俺以上に真っ赤になって狼狽えているガスパーの姿が目に浮かんで思わず笑う。
「俺は別に!お前の事で変わったんじゃねぇ!!」
「……わかってるわかってる。」
「何笑ってやがる!サーク!!」
電話口で凄まれてもどうしてだか全く怖くない。
だって俺はもう、ガスパーを知っているから。
コイツが見た目やさぐれてツンツンおっかないのだって、本当は誰より優しいのを隠す為だってわかってる。
「……ありがとな、ガスパー。」
「な、何だよ……改まりやがって……。」
「俺、ガスパーに出会えて良かったよ。」
「?!」
「ガスパーと仲良くなれて良かった。いつも力になってくれてありがとな。」
素直な気持ちを伝える。
それを見ていた弁護士はクスッと笑い、ギルは能面みたいに無表情だ。
「~~~っ!!とにかく!弁護士と話せ!!わかったな?!」
「わかった。ありがとな。」
「知らん!!」
捨て台詞と共に切られた電話。
どんな顔をしていたか想像できて笑ってしまう。
そんな俺に、ギルがはぁ……とため息をついた。
「……お前は……本当に天然無自覚のたらしだな……。」
「はぁ?!何でそうなるんだよ?!」
ただ感謝を素直に伝えただけなのに、なんでそんな言われ方をせねばならんのだ?!
憤慨する俺。
呆れるギル。
それをガスパーに頼まれて来たという弁護士がくすくす笑いながら見ていた。
弁護士と少し話し、サークは状況説明をする。
一応、会話は証言の証拠として録音された。
いくつか質問された後、今日はひとまずこれでと弁護士は帰って行った。
これからどうするか……。
気持ちが落ち着いてきた事、弁護士と話した事で、サークは自分のこれからを意識した。
とりあえず今日という日は終わったが、このまま何事もなくこれまで通りと言う訳にはいかない。
事が事なのでライルは学校側にエドをナイフと共に引き渡した。
本当ならサークもその場にいなければならず、学校側から事情を聞かれる筈だった。
だが帰ってしまった事で、学校側はエドの話しか聞いていない。
ライルが変わりに話してくれた様だが、当事者と言うより発見者であり関係者だ。
しかも発見者の一人であるギルはサークと共に帰ってしまっている。
これまでのエドの噂から考え、問題にならないようエドが話を進めている事は目に見えている。
何より学校としては事を荒立てたくないだろう。
けれど最終的に実害はなかったとはいえ、ナイフを持って人を脅したと言うのは警察沙汰になってもおかしくない話だ。
実際、弁護士は被害届の話もしていた。
流石にそれはと躊躇するサークに、弁護士は被害届と告訴の違いを説明し、被害届を出したからと言って必ず刑事事件になるわけではない事、今回の場合なら示談が成立して取り下げる事で刑事事件には至らない事を説明してくれた。
ただ、エドのこれまでの経緯を鑑みた場合、向こうの出方次第では被害届を提出する覚悟をもって欲しいと言われた。
それはエドの為にすべきだと。
このままこういった事を彼に繰り返させない為にも必要な事だと言われた。
大したことない。
そう、サーク自身自分でも思いたかった。
だから今日、その場に残っていて学校側から事情を聞かれて話し合った際、「少し行き過ぎた喧嘩」だと「大したことじゃない」だろうと言われたら、そうだと思い込もうとしただろう。
だが実際はサーク自身が自覚しているよりずっとショックを受けていた。
今、ある程度普段通りでいられるのは、ギルをはじめとした皆が気を使ってくれたからだ。
エドの噂がどこまで本当なのかはわからない。
けれど今日、向き合った事は噂ではなく事実なのだ。
このまま噂と同じ様に、サークの件も「噂」としてしか残らなければ、エドはそれが当たり前だとこれからも思い続け、それを繰り返す。
止めなければならない。
少なくとも自分はエドを友達だと思っているのだから、止めなくてはならないとサークは思った。
そしてそれはこれまで上手く立ち回ってきたエドに対し、サーク一人では成し得ない事だが仲間が共に闘ってくれる。
むしろ周りの方がすでに戦う気満々で、気後れしてしまうくらいだった。
「……何を笑っているんだ?」
「いや……俺はいい友達に囲まれてるんだなぁと思ってさ。」
「……そうか。」
「うん、そうだよ。……エドも含めてさ。」
「……そうか……。」
「うん。」
サークの言葉に、ギルはそれ以上、何も言わなかった。
とてもサークらしい言葉だなと思った。
カウンセラーや弁護士と話していた事もあり、すっかり遅くなった事からサークは今日ギルの部屋に泊まっていく事になった。
一人にしておけないという気持ちからダメ元で提案してみたところ、サークはあっさり泊まると言った。
自分で提案したとはいえ、変態ストーカーといつも言われていた事から、ギルの方がびっくりしてしまった。
思わず思考停止して固まったギル。
しかし答えはだいぶ単純な事で、サークは明日も休む事になった事から夜更かししてやろうと考えたのだ。
ギルの部屋の大きな液晶モニターに目を付けていたようで、嬉々として指差し、これで見たい映画があると言い出したのだ。
転んでもただでは起きぬと言うか、なかなかの逞しさにギルは笑ってしまった。
「……ピッツァとは違う気がするが……旨いな……。」
「だから、そのピッツァはやめろ。」
大きなTVモニターで映画を見ながら、デリバリーで頼んだ、サークにとっては「日本人にお馴染みの宅配ピザ」を口に運んだ。
熱々で具がたっぷりで持つと具とチーズの重さでヘタれるそれを、こぼさない様に畳んで持ち上げ頬張る。
旨い。
本場のピッツァとは別物なんだろうけれど、庶民にとってピザと言えばこれだよな~と彼は思う。
「……熱っ!!」
堪能していたら、溢れたチーズが手にデロっとかかり、サークは思わず声をあげた。
するとすかさずギルが無表情にお手拭きを差し出す。
ご丁寧に開けて取り出して渡してくれるので、そのいたれりつくせり感にサークは何となく気まずく小さな声で呟いた。
「……ありがとう。」
「構わん。」
画面を見つめるギル。
離れた間接照明以外は消した部屋は映画の音と光だけ。
サークも画面に視線を戻し……。
「……あ~!!マジ格好いい~!!」
「………………。」
「ドイル先生も闘ってたらこんな感じなんだろうなぁ~♡」
画面いっぱい、武術の達人がバッタバッタと敵をいなしていく。
その速度、その強さにサークはキュンキュンする。
やっぱり気持ちが滅入った時は推し活に限る。
サークの神推しはドイル先生だが、ドイル先生推しが高じて武術映画を見るのが好きなのだ。
だからギルの部屋のひとり暮らしにそぐわない巨大モニターを見て、これで武術アクション映画を見たら最高だなと思っていたところに、ギルが遅くなったし今夜は泊まっていくかと言うものだから飛びついたのだ。
「うおおぉぉぉ!格好いい!!」
叫びながら食い入るように映画を見るサーク。
その横で無表情なギル。
「……普通、あんな事があったらこういったモノを見るのはタブーなんじゃないか……??」
「は?!なんか言ったか?!」
「……いや、何も。」
サークのハイテンションに押され、ギルは黙るしかない。
仮にも襲われた人間が武術アクション映画を見て盛り上がっているこの状況。
それでいいのだろうかと疑問を抱かずにはおれない。
しかし連絡してみたカウンセラーは、サークの様子と裏事情(憧れの教師)の話を聞き、笑って好きなようにさせておけと言った。
何より本人がこんなに楽しそうだと止めようがない。
カウンセラー曰く、自分に起きた事を否定する為に、また自分は弱くないと思おうとする余り、あえて暴力的な映像を見たがる場合もあるが、聞いた限りだとサークの場合それには当てはまらなそうなので大丈夫だろうと言う事だった。
ただ見ている様子は観察し、少しでもおかしそうだったら中止する事、何が原因でフラッシュバックするかわからないので、今見ている一本だけにするよう言われた。
ため息まじりにギルが画面に視線を戻すと、布を使って闘っているシーンだった。
それを見ながらふと呟く。
「……布。」
「は?!何だよ?!その馬鹿にした言い方は?!」
大好きな武術アクションを批判されたと思ったのか、サークがキッとギルを睨んだ。
そんなつもりはなくともギルは無表情すぎるのだ。
「あのな?!布を馬鹿にするなよ?!」
「いや……してないが……。」
「俺が何でエドとジャケットで戦ってたと思ってんだ?!」
「……何もなかったからじゃないのか?」
「違~う!!何でもいいならライルが使ってたホウキでも良かっただろうが!!」
そう言われ、無意味にジャケットで応戦していると思っていたギルは首を傾げた。
言われてみれば空き教室には様々なものが転がっていた。
小回りの効くサークなら、逃げながらもっといい物を拾って応戦していてもおかしくない。
そんなギルにサークがずいっと詰め寄る。
「いいか?布は刃物に対して防御性が高いんだ。」
「……そうなのか??」
「ああ。綿とか天然繊維は濡らしたら強度が上がるしな。」
「そうなのか……。」
「当たり前だろ?布を甘く見るな。盾だって布を何枚貼るかで強度が変わる。戦国時代、幔幕や出入り口に布が下がってるのは、部屋としての仕切りでもあるけど布地の柔軟性と避弾経始を利用して飛来物の軌道と威力を逸らすって作用の為でもあるんだぞ?」
「そうなのか?」
「そうだぞ?!布を馬鹿にするなよ?!」
「馬鹿にしては……。」
「広げれば相手の目くらましにもなる!刃物に対しても防御性がある!濡らせば強度が上がるし!布で叩いたって基本相手は死なないが!叩かれたっていう衝撃は体に残るから心理的にダメージは与えられるんだ!!」
鼻息荒く力説するサーク。
そう言えば修学旅行の際、夜中に抜け出そうとしたワルぶった連中を、風呂上がりのドイル教員がにこにこ笑ってバスタオル一枚でコテンパンにのして縛り上げた話があったなとギルは思う。
サークの狂信的な布知識もどうやら「神推し」教員の影響だとギルは気づいた。
「…………エドが片付いても……油断ならんな……。」
まだ本命だろうウィルもいる。
他のレジェンド姫達だって油断できない。
なのに狂信している教師までいるのだ。
一度想いがすれ違って変な距離ができた。
それをやっと、こうやって並んで映画を見るまでになった。
今はそれどころではない。
1日も早くサークが安心して元通り生活できる様にする事が最優先事項だ。
その為にガスパーも動いた。
裏で仕切っているのはおそらくリオだろう。
この件をきっかけに、皆が彼の為に本気で動く事になる。
それがどういう事になるのかわからない。
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