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第三章「砂漠の国編」
戯言
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俺はふっと意識を泳がせた。
口の中が、甘いもので満たされる。
夢見心地で薄く開いた目に、シルクの綺麗な顔が近づく。
口に甘いものが流し込まれ、喉がそれを嚥下した。
それが何度か繰り返される。
だんだん、寝ているのか目が覚めたのかわからなくなる。
多分、寝てるんだ。
変な夢だな、とどこかで思った。
「……って!!ちょっと待てっ!!」
俺はそう叫んで飛び起きた。
は!?
えっ!?
何だ!?今の夢はっ!?
俺は真っ赤になって、口元を押さえる。
何となくまだその感触が残っているような気がしてしまう。
後、ここ、どこ!?
俺は回りを見渡した。
どこかの宿なのか、見慣れない簡素な部屋のベッドに俺は寝ていたようだ。
ガチャリ、と部屋のドアが開く。
目を向けると、コップを片手にシルクが立っていた。
シルクの細い猫目が、採光がわかるくらい大きく開かれる。
「オーナーっ!!」
目を覚まし、ベッドの上、半身起こしている俺を見た瞬間、シルクが持っていたコップを投げ捨て抱きついてきた。
「うわっ!?落ち着け!シルクっ!!」
「オーナー!オーナー!オーナー!」
「わかったから!!落ち着け~っ!!」
「しばらく目が覚めないって言ってたけどっ!!マジで死んでるみたいでっ!!全然、起きないしっ!!本当に焦ったんだからなっ!!」
「悪かったよっ!!だから落ち着けっ!!」
すがり付くシルクを無理矢理剥がす。
剥がしたものの、シルクはベッドに乗り上がり、俺の足の上に座り込んでいる。
……なんか、距離感、おかしいんだけど!?
変な夢を見てしまった事もあり、何となく、居心地が悪い。
俺はふいっとシルクから視線を泳がす。
「……うふふっ。」
「あの~、シルクさん、近いです……。」
「ん~?寝てる時はもっと近かったから大丈夫だよ?」
にこにこと嬉しそうにシルクはそう言った。
ズガンと頭を殴られたような衝撃。
何が大丈夫何だ!?
何が!?
視線を泳がせたついでに部屋をよく見れば、どう見てもベッドは1つしかない。
まさかな?
違うよな?
お前を信じていいよな!?
シルクっ!!
俺の表情から色々読み取ったのか、シルクはあっけらかんと言った。
「目覚めるまで、ずっと一緒に寝てたよ?」
「うわぁぁぁっ!!嫌な予感はしたんだっ!!」
「オーナー、可愛かったな~っ♪」
「誰か嘘だと言ってくれっ!!」
「だって最初の頃、本当に死体みたいに体が冷たかったんだよ?他に方法ないじゃん?」
「……は??」
「ふふっ。毎晩じっくり温めてあげたんだよ?俺?甲斐甲斐しいでしょ?」
「雪山!それは雪山のお約束だから!!砂漠でやらなくていいから!!」
「もうしちゃったし?」
「うわぁぁぁっ!!」
一緒に寝たって同衾じゃなくて?!
ただ同じベットで寝てたって意味じゃなくて?!
頭を抱えて叫ぶ俺を、シルクが熱っぽい視線を向けながら楽しそうに笑う。
「も~、一緒に寝たぐらいで驚かないでよ~。」
「他には!?他には何をした!?」
「……………何も?」
「その間は何!?何したんだよ~っ!!」
「え~?」
「うっすら記憶にあるんだが……お前、俺に何か飲ませてた!?」
「うん。口移しで毎日飲ませてた。」
何でもない事のように笑うシルク。
俺は両手で顔を覆う。
「正直!イラッとするくらい正直っ!!」
「もうねぇ~意識ないのにオーナー、たまにもっと欲しがって……すっごく可愛かった……。」
その時の事を思い出したのか、頬に手を当ててシルクは惚気る。
俺の方は顔面蒼白だ。
「何故、お前が頰染める!?」
「だってもう、俺とオーナーはそう言う関係な訳だし~。」
「ノーカン!医療行為はノーカンだからっ!!」
「え~?医療行為だけじゃないし~?」
「だけじゃない?!」
「え~?だってオーナー、ちっとも目を覚まさないから~。」
「何をした~っ!!意識のない俺に!お前は何をした~っ!!」
「ん~ちょっと?」
「ちょっと何!?何したの!?」
「え~秘密~。」
「後生だから教えて!!」
「え~?体のお世話?」
体のお世話……。
俺は頭から血の気が引いてふらっとした。
え……体のお世話……シルクが体のお世話……。
正直、知るのが怖い……。
だが確かめておかなければならない。
「お世話って何!?」
「脱がして全身、調べながら拭いてあげたり~ちんこ弄ってみたり~?」
うふふっと笑うシルク。
俺は叫んだ。
「待て待て待て待て待て待てっ!!今、絶対に越えてはならないラインの言葉を聞いた気がするっ!!」
「……ちんこ弄った。」
「うわぁぁぁっ!!いっそ殺してくれっ!!」
「大丈夫だよ、勃たなかったから。」
「そう言う問題じゃねえっ!!」
「も~何しても無反応でさ~。俺のテクでここまで無反応ってどういう事って、ちょっと意地になっちゃった。ごめんね?」
「お前!意識のない死にかけ人間に何してんだよっ!!」
「ん~死ぬ前って勃つって言うじゃん?どうせ死んじゃうなら、味わっておこうかと……?」
「それ!犯罪っ!!」
「だから何もなかったってば~。」
「あった!!俺的には物凄くあったっ!!」
「大袈裟だな~。」
シルク的には既成事実は残せなかったのだからノーカンの様だが、俺的には大問題だ。
だが、はたと気づく。
平然と生死を彷徨っているような相手と行為に及ぼうとするシルクだ。
その程度で済んでいるのだろうか……。
俺はグギギと機械のように首を動かしてシルクを見つめた。
「シルクさん?これ以上、もうないよね?」
「………ないよ?」
微妙な間。
そして清々しいほどの笑顔。
「絶対!嘘だ~!!何をしたんだよ~!!俺に~っ!!」
「……それは流石に……言えないかな~?」
「言え、言わないと一生許さん……。」
「……おしりをちょっと?」
てへぺろって感じにシルクは告げた。
俺は顎が外れるほど絶句した後、絶叫した。
「ああああぁぁっ!!そこまでするか!?いくら勃たないからって!普通っ!?そこまでするか?!鬼!鬼畜っ!!」
「だって~。俺が弄ってあげてるのに~勃たなくて悔しかったから~。」
「入れたの!?お前、入れたの!?」
「指だけだよ~。俺、別にオーナーに突っ込みたい訳じゃないし~。ただ前立腺弄ったら勃つかな~って思って?」
「最低限無事だけどっ!!最低限は無事だけどもっ!!」
「て言うか、あそこまでして勃たないとか……俺、若干、引いた。」
「………ここに来てディスられる俺って……か。」
あまりの事に俺は頭がついていかなかった。
何で意識不明の状態でちんこを弄られにゃならんのよ?!
何で勃たないからって、ケツ穴まで弄るんだよ?!
何でそこまで俺のちんこを勃たせる事に執着してんだよ?!
だいたい、勃ててどうする気だったんだよ?!
俺の苦悩と葛藤をよそに、諸悪の根源であるシルクは、無責任にもにこにこしている。
「オーナー?」
「何だ……。」
「……どこまでが本当だと思う?」
俺は言葉が出なかった。
愕然と顔を上げ見つめたシルクは飄々と笑う。
俺は大きくため息をつくしかなかった。
どこまで本当か、どこまで嘘か……。
はっきり言って俺にはわからない。
全部やりかねないとも思うし、口移し以外は全く身に覚えがないので、なんとも言えない。
この事は忘れよう。
そして墓場まで持っていこう。
思い悩んだ末、頭を抱え込んだ俺はそう決めた。
口の中が、甘いもので満たされる。
夢見心地で薄く開いた目に、シルクの綺麗な顔が近づく。
口に甘いものが流し込まれ、喉がそれを嚥下した。
それが何度か繰り返される。
だんだん、寝ているのか目が覚めたのかわからなくなる。
多分、寝てるんだ。
変な夢だな、とどこかで思った。
「……って!!ちょっと待てっ!!」
俺はそう叫んで飛び起きた。
は!?
えっ!?
何だ!?今の夢はっ!?
俺は真っ赤になって、口元を押さえる。
何となくまだその感触が残っているような気がしてしまう。
後、ここ、どこ!?
俺は回りを見渡した。
どこかの宿なのか、見慣れない簡素な部屋のベッドに俺は寝ていたようだ。
ガチャリ、と部屋のドアが開く。
目を向けると、コップを片手にシルクが立っていた。
シルクの細い猫目が、採光がわかるくらい大きく開かれる。
「オーナーっ!!」
目を覚まし、ベッドの上、半身起こしている俺を見た瞬間、シルクが持っていたコップを投げ捨て抱きついてきた。
「うわっ!?落ち着け!シルクっ!!」
「オーナー!オーナー!オーナー!」
「わかったから!!落ち着け~っ!!」
「しばらく目が覚めないって言ってたけどっ!!マジで死んでるみたいでっ!!全然、起きないしっ!!本当に焦ったんだからなっ!!」
「悪かったよっ!!だから落ち着けっ!!」
すがり付くシルクを無理矢理剥がす。
剥がしたものの、シルクはベッドに乗り上がり、俺の足の上に座り込んでいる。
……なんか、距離感、おかしいんだけど!?
変な夢を見てしまった事もあり、何となく、居心地が悪い。
俺はふいっとシルクから視線を泳がす。
「……うふふっ。」
「あの~、シルクさん、近いです……。」
「ん~?寝てる時はもっと近かったから大丈夫だよ?」
にこにこと嬉しそうにシルクはそう言った。
ズガンと頭を殴られたような衝撃。
何が大丈夫何だ!?
何が!?
視線を泳がせたついでに部屋をよく見れば、どう見てもベッドは1つしかない。
まさかな?
違うよな?
お前を信じていいよな!?
シルクっ!!
俺の表情から色々読み取ったのか、シルクはあっけらかんと言った。
「目覚めるまで、ずっと一緒に寝てたよ?」
「うわぁぁぁっ!!嫌な予感はしたんだっ!!」
「オーナー、可愛かったな~っ♪」
「誰か嘘だと言ってくれっ!!」
「だって最初の頃、本当に死体みたいに体が冷たかったんだよ?他に方法ないじゃん?」
「……は??」
「ふふっ。毎晩じっくり温めてあげたんだよ?俺?甲斐甲斐しいでしょ?」
「雪山!それは雪山のお約束だから!!砂漠でやらなくていいから!!」
「もうしちゃったし?」
「うわぁぁぁっ!!」
一緒に寝たって同衾じゃなくて?!
ただ同じベットで寝てたって意味じゃなくて?!
頭を抱えて叫ぶ俺を、シルクが熱っぽい視線を向けながら楽しそうに笑う。
「も~、一緒に寝たぐらいで驚かないでよ~。」
「他には!?他には何をした!?」
「……………何も?」
「その間は何!?何したんだよ~っ!!」
「え~?」
「うっすら記憶にあるんだが……お前、俺に何か飲ませてた!?」
「うん。口移しで毎日飲ませてた。」
何でもない事のように笑うシルク。
俺は両手で顔を覆う。
「正直!イラッとするくらい正直っ!!」
「もうねぇ~意識ないのにオーナー、たまにもっと欲しがって……すっごく可愛かった……。」
その時の事を思い出したのか、頬に手を当ててシルクは惚気る。
俺の方は顔面蒼白だ。
「何故、お前が頰染める!?」
「だってもう、俺とオーナーはそう言う関係な訳だし~。」
「ノーカン!医療行為はノーカンだからっ!!」
「え~?医療行為だけじゃないし~?」
「だけじゃない?!」
「え~?だってオーナー、ちっとも目を覚まさないから~。」
「何をした~っ!!意識のない俺に!お前は何をした~っ!!」
「ん~ちょっと?」
「ちょっと何!?何したの!?」
「え~秘密~。」
「後生だから教えて!!」
「え~?体のお世話?」
体のお世話……。
俺は頭から血の気が引いてふらっとした。
え……体のお世話……シルクが体のお世話……。
正直、知るのが怖い……。
だが確かめておかなければならない。
「お世話って何!?」
「脱がして全身、調べながら拭いてあげたり~ちんこ弄ってみたり~?」
うふふっと笑うシルク。
俺は叫んだ。
「待て待て待て待て待て待てっ!!今、絶対に越えてはならないラインの言葉を聞いた気がするっ!!」
「……ちんこ弄った。」
「うわぁぁぁっ!!いっそ殺してくれっ!!」
「大丈夫だよ、勃たなかったから。」
「そう言う問題じゃねえっ!!」
「も~何しても無反応でさ~。俺のテクでここまで無反応ってどういう事って、ちょっと意地になっちゃった。ごめんね?」
「お前!意識のない死にかけ人間に何してんだよっ!!」
「ん~死ぬ前って勃つって言うじゃん?どうせ死んじゃうなら、味わっておこうかと……?」
「それ!犯罪っ!!」
「だから何もなかったってば~。」
「あった!!俺的には物凄くあったっ!!」
「大袈裟だな~。」
シルク的には既成事実は残せなかったのだからノーカンの様だが、俺的には大問題だ。
だが、はたと気づく。
平然と生死を彷徨っているような相手と行為に及ぼうとするシルクだ。
その程度で済んでいるのだろうか……。
俺はグギギと機械のように首を動かしてシルクを見つめた。
「シルクさん?これ以上、もうないよね?」
「………ないよ?」
微妙な間。
そして清々しいほどの笑顔。
「絶対!嘘だ~!!何をしたんだよ~!!俺に~っ!!」
「……それは流石に……言えないかな~?」
「言え、言わないと一生許さん……。」
「……おしりをちょっと?」
てへぺろって感じにシルクは告げた。
俺は顎が外れるほど絶句した後、絶叫した。
「ああああぁぁっ!!そこまでするか!?いくら勃たないからって!普通っ!?そこまでするか?!鬼!鬼畜っ!!」
「だって~。俺が弄ってあげてるのに~勃たなくて悔しかったから~。」
「入れたの!?お前、入れたの!?」
「指だけだよ~。俺、別にオーナーに突っ込みたい訳じゃないし~。ただ前立腺弄ったら勃つかな~って思って?」
「最低限無事だけどっ!!最低限は無事だけどもっ!!」
「て言うか、あそこまでして勃たないとか……俺、若干、引いた。」
「………ここに来てディスられる俺って……か。」
あまりの事に俺は頭がついていかなかった。
何で意識不明の状態でちんこを弄られにゃならんのよ?!
何で勃たないからって、ケツ穴まで弄るんだよ?!
何でそこまで俺のちんこを勃たせる事に執着してんだよ?!
だいたい、勃ててどうする気だったんだよ?!
俺の苦悩と葛藤をよそに、諸悪の根源であるシルクは、無責任にもにこにこしている。
「オーナー?」
「何だ……。」
「……どこまでが本当だと思う?」
俺は言葉が出なかった。
愕然と顔を上げ見つめたシルクは飄々と笑う。
俺は大きくため息をつくしかなかった。
どこまで本当か、どこまで嘘か……。
はっきり言って俺にはわからない。
全部やりかねないとも思うし、口移し以外は全く身に覚えがないので、なんとも言えない。
この事は忘れよう。
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