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第八章①「疑惑と逃亡編」
パズル
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「お帰り、サーク!ちょうどご飯できてるよ!」
「お帰り、サーク!スープよそったから並べて!」
「あ、うん……??ただいま…?」
そう言われて俺は頭に疑問符を浮かべながら、リリのよそっているスープをテーブルに並べた。
そのまま、木製のスプーンも並べる。
リリとムクはぱたぱたと他の料理を並べている。
……………??
俺、帰るって連絡入れてたっけ??
俺が鍵を使って森の町の家に帰ると、2人はごく当たり前のように、食事の支度をしていた。
森の町の家に帰ってくるのは、結構、久しぶりのはずなんだが??
確かに昼時だから、ご飯があったら嬉しいな~と思いながら帰っては来たが、帰ってすぐこの状況だとは思わなかった。
だが、リリとムクの動きも反応もとても自然で、ただただ目をぱちくりさせるしかない。
「サーク、座って!座って!」
「サークの好きな香草焼きだよ!」
リリとムクは、うんしょと椅子によじ登る。
俺は半ばぼけっとしながら、2人が椅子に座るのを手伝った。
「サーク、手は洗った??」
「あ、忘れたから浄化する。」
「はい!手を合わせて!いただきます!」
「いただきます!」
「うん……いただきます……??」
俺はそう言ってスープを口に運んだ。
うん。すごく美味しい。
美味しいんだけど……。
「リリ、ムク?俺、帰ってくるって、連絡したっけ??」
小さな手で木製のスプーンを掴んで口に運んでいた2人が、首を傾げて固まった。
やだ、ナニソレ可愛い!
いや違う、そうじゃない。
何でリリとムクは、俺が来るのがわかったんだ??
何で昼飯がまだで食べたいと思ってる事がわかったんだ??
スプーンを咥えて固まっていた2人は、きょとんとしたまま、お互いの顔を見合わせた。
「サーク、ご飯、要らなかった?」
「ムクたち、間違えた?」
急にしゅんとしてしまうリリとムクに、俺は大慌てで首を振る。
「違う違う!ご飯食べたかったんだ!でも、何にも連絡してないでいきなり帰ってきたから!ないと思ってたんだ!なのに帰ってきたら、ちょうどご飯で!!凄くびっくりしたんだよ!!」
俺の言葉を聞いて2人はにっこり笑った。
顔を見合わせ、ふふふと笑う。
「リリたち、いつでもサークと一緒!!」
「ムクたち、見えなくてもサークと一緒!!」
「そうなの!?」
「うん。ムクたち、力が強くなった。」
「リリたち、前はサークが帰ってくるのしかわからなかった。でも今はもっと色々わかるよ!!」
「そうなんだ~。びっくりした~!!」
「だから、いつ帰ってきても、サークがお腹が空いてればご飯食べれるよ!!」
「だから、サークがいつ帰ってきても、一番いい形で帰ってこれるよ!!」
「そっか……ありがとな、2人とも……。」
俺はそう言って、リリとムクの頭を撫でた。
放っておいてしまっているが、リリとムクも成長しているんだなと思った。
何だか感慨深かった。
そうして俺は、久しぶりのリリとムクの手料理に舌鼓を打った。
マダムとの話を終えて魔術本部に来た俺が昼食を終えて顔を出すと、何故か既に皆が集まっていた。
どうやら俺が戻りそうだとリリたちに聞いた師匠が、午後一の招集をかけてくれていたようだ。
「また、面倒な事になったんだって??」
円卓を囲んだ魔術本部の面々は、そう言ってまた爆笑する。
いや、だから何で笑うんですか!?
「笑い事じゃ無いですってば!」
「うん、わかっているよ、ロナンド。」
「でも、サークがあまりにも次から次へと、ひっきりなしに面倒に巻き込まれるものだからね。」
「わかっててもついつい笑ってしまうんじゃよ。」
「今度は何だ?って。」
そう言ってまた笑い声が起こる。
俺も好きで色々巻き込まれてる訳じゃないんですけど……。
師匠ももっと真剣に捉えて下さいと言ってくれるが、ここの人達のペースは変わらない。
がっくりと項垂れた俺を、オービーさんが慰めるように肩を2回叩いた。
「サークを守ろうと、こちらでも圧力はかけていたんだがね。」
「あまり直接出向かないから、隙をつかれてね。」
「王宮魔術師総括も代わったばかりだし、友好訪問の件もあって、君もそちらに手が出せていないだろ?連携がうまく行かなかった。」
「だいたいの事はロナンドから聞いたよ。サークが戦犯扱いされて追われてる事とか、ギルドに残る伝承とかね。」
顔を上げれば、皆の優しい笑顔が俺を見つめている。
俺も真面目な顔になって、頭を下げた。
「ありがとうございます。戦犯の件は色々情報も固まって来たので、裁判の際、お手伝い頂ければと思うのですが……、南の国と海の王の件は何かご存じないですか?」
「その辺は今、フレデリカ女史が調べてるよ。」
そう言われ、俺はその場にフレデリカさんがいない事に気づいた。
変わりに森の町に居たり居なかったりする、アンさんがナーバル議長の肩を揉んでいる。
きょとんとする俺に、ブラハムさんが耳元で囁いた。
「フレデリカ女史もな、短い期間だがかつて冒険者だった事があるんだよ。今でもその伝で魔女のネットワークを持っててな。でもそのネットワークで上がってない、調べても直ぐに詳しい情報が集まらない事が出てきたもんだから、ちょっと本気になってな。自ら調べてくれてるんだよ。」
そう言って口元に指を当てウインクする。
びっくりだ。
あの上品なフレデリカさんが冒険者だった事があるなんて。
てっきり、魔術学一筋の学者さんだと思っていた。
魔女のネットワークがどれくらいの規模のものかは知らないが、やはりマダムの千里眼を含んだ情報力というのは、計り知れないんだなと思った。
と言うか、言ってくれれば情報源のマダムを紹介したのに。
確かにマダムは魔術師ではないけれど、千里眼持ちなら魔女のネットワークに入れても良いんじゃないのかな?魔女の基準がよくわからないけれど。
まぁマダムはちょっと癖が強いけど、冒険者をしていたなら癖の強さは慣れてるだろうし。
そんなことを思っていた時、慌ただしく会議室のドアが開いた。
「良かった!まだサークがここにいた!!」
軽く息を切らせながら入ってきたのはロイさんだった。
ハンカチで汗を拭いながら、水差しの水を1杯飲むと、上着を脱ぎながらオレの横に座った。
「ロイさん!」
「いやはや、すまないね。遅くなって。」
「やぁ、ロイ。元気かい?」
「ああ、お陰様で。」
「ロイはどこに行っていたんだっけ??」
「サークの主人であるライオネル第三王子の事を聞きに行ってたんだよ。間に合って良かった。」
そう言われ、以前ロイさんが王子の秘密を探りに宰相のルードビッヒさんに会いに行っていた事を思い出す。
何だか訳ありな感じだったし、あの蛇のような宰相にはあまり良いイメージがない。
「ロイさん、すみませんでした。大丈夫でしたか!?」
心配になり、そう声をかけるとロイさんは不思議そうな顔をした。
「大丈夫だよ?ルーイとは仲が良いと言っただろう?話は比較的早く聞けたんだけどね?ふふふ。ルーイが、またお前は利用するだけ利用して姿をくらますのか!って怒ってね。中々帰してくれなかったんだよ。」
ロイさんはその時の事を思い出したのか、くすくすと笑った。
うん?何か因縁つけられてる感じがしたけど、意外と本当に仲が良かったのかな??
俺にはよくわからない。
「え?閉じ込められてたとかじゃないですよね??」
「う~ん。閉じ込められてたかな??」
「ロイさん!?」
「とても素敵な温泉付きの保養地に連れて行かれてね、毎日、ご馳走を食べさせられたよ。お陰で少し太ってしまったかもしれないな。」
焦った俺の考えとは裏腹に、どうやら物凄くもてなされていたようだ。
確かにリフレッシュして肌艶がとても良いように見える。
何なんだ??あの嫌味っぽい印象はたまたまだったのだろうか??
ロイさんはまたコップに半分ほどの水を飲むと汗を拭いた。
そして一呼吸置いてから、円卓の皆に向き合った。
「かの王子の秘密はわかったよ。」
造作もないようにロイさんが言ったその言葉に、俺は、いや、その場にいた全員に緊張が走った。
それはこの状況で、かなりの比重を占める情報だ。
俺がずっと知りたかった、王子の秘密。
何度聞いても、ギルもガスパーも口にする事が出来なかった禁忌。
俺は固唾を飲んで、ロイさんの言葉を待った。
そんな皆が注目する中、ロイさんの口からは信じがたい単語が飛び出した。
「……彼は選ばれし器だ。彼の中には、海の王が納まっている。」
その言葉に俺は固まった。
さすがの魔術本部の面々も、ざわりと音を立てた後、言葉を無くした。
「お帰り、サーク!スープよそったから並べて!」
「あ、うん……??ただいま…?」
そう言われて俺は頭に疑問符を浮かべながら、リリのよそっているスープをテーブルに並べた。
そのまま、木製のスプーンも並べる。
リリとムクはぱたぱたと他の料理を並べている。
……………??
俺、帰るって連絡入れてたっけ??
俺が鍵を使って森の町の家に帰ると、2人はごく当たり前のように、食事の支度をしていた。
森の町の家に帰ってくるのは、結構、久しぶりのはずなんだが??
確かに昼時だから、ご飯があったら嬉しいな~と思いながら帰っては来たが、帰ってすぐこの状況だとは思わなかった。
だが、リリとムクの動きも反応もとても自然で、ただただ目をぱちくりさせるしかない。
「サーク、座って!座って!」
「サークの好きな香草焼きだよ!」
リリとムクは、うんしょと椅子によじ登る。
俺は半ばぼけっとしながら、2人が椅子に座るのを手伝った。
「サーク、手は洗った??」
「あ、忘れたから浄化する。」
「はい!手を合わせて!いただきます!」
「いただきます!」
「うん……いただきます……??」
俺はそう言ってスープを口に運んだ。
うん。すごく美味しい。
美味しいんだけど……。
「リリ、ムク?俺、帰ってくるって、連絡したっけ??」
小さな手で木製のスプーンを掴んで口に運んでいた2人が、首を傾げて固まった。
やだ、ナニソレ可愛い!
いや違う、そうじゃない。
何でリリとムクは、俺が来るのがわかったんだ??
何で昼飯がまだで食べたいと思ってる事がわかったんだ??
スプーンを咥えて固まっていた2人は、きょとんとしたまま、お互いの顔を見合わせた。
「サーク、ご飯、要らなかった?」
「ムクたち、間違えた?」
急にしゅんとしてしまうリリとムクに、俺は大慌てで首を振る。
「違う違う!ご飯食べたかったんだ!でも、何にも連絡してないでいきなり帰ってきたから!ないと思ってたんだ!なのに帰ってきたら、ちょうどご飯で!!凄くびっくりしたんだよ!!」
俺の言葉を聞いて2人はにっこり笑った。
顔を見合わせ、ふふふと笑う。
「リリたち、いつでもサークと一緒!!」
「ムクたち、見えなくてもサークと一緒!!」
「そうなの!?」
「うん。ムクたち、力が強くなった。」
「リリたち、前はサークが帰ってくるのしかわからなかった。でも今はもっと色々わかるよ!!」
「そうなんだ~。びっくりした~!!」
「だから、いつ帰ってきても、サークがお腹が空いてればご飯食べれるよ!!」
「だから、サークがいつ帰ってきても、一番いい形で帰ってこれるよ!!」
「そっか……ありがとな、2人とも……。」
俺はそう言って、リリとムクの頭を撫でた。
放っておいてしまっているが、リリとムクも成長しているんだなと思った。
何だか感慨深かった。
そうして俺は、久しぶりのリリとムクの手料理に舌鼓を打った。
マダムとの話を終えて魔術本部に来た俺が昼食を終えて顔を出すと、何故か既に皆が集まっていた。
どうやら俺が戻りそうだとリリたちに聞いた師匠が、午後一の招集をかけてくれていたようだ。
「また、面倒な事になったんだって??」
円卓を囲んだ魔術本部の面々は、そう言ってまた爆笑する。
いや、だから何で笑うんですか!?
「笑い事じゃ無いですってば!」
「うん、わかっているよ、ロナンド。」
「でも、サークがあまりにも次から次へと、ひっきりなしに面倒に巻き込まれるものだからね。」
「わかっててもついつい笑ってしまうんじゃよ。」
「今度は何だ?って。」
そう言ってまた笑い声が起こる。
俺も好きで色々巻き込まれてる訳じゃないんですけど……。
師匠ももっと真剣に捉えて下さいと言ってくれるが、ここの人達のペースは変わらない。
がっくりと項垂れた俺を、オービーさんが慰めるように肩を2回叩いた。
「サークを守ろうと、こちらでも圧力はかけていたんだがね。」
「あまり直接出向かないから、隙をつかれてね。」
「王宮魔術師総括も代わったばかりだし、友好訪問の件もあって、君もそちらに手が出せていないだろ?連携がうまく行かなかった。」
「だいたいの事はロナンドから聞いたよ。サークが戦犯扱いされて追われてる事とか、ギルドに残る伝承とかね。」
顔を上げれば、皆の優しい笑顔が俺を見つめている。
俺も真面目な顔になって、頭を下げた。
「ありがとうございます。戦犯の件は色々情報も固まって来たので、裁判の際、お手伝い頂ければと思うのですが……、南の国と海の王の件は何かご存じないですか?」
「その辺は今、フレデリカ女史が調べてるよ。」
そう言われ、俺はその場にフレデリカさんがいない事に気づいた。
変わりに森の町に居たり居なかったりする、アンさんがナーバル議長の肩を揉んでいる。
きょとんとする俺に、ブラハムさんが耳元で囁いた。
「フレデリカ女史もな、短い期間だがかつて冒険者だった事があるんだよ。今でもその伝で魔女のネットワークを持っててな。でもそのネットワークで上がってない、調べても直ぐに詳しい情報が集まらない事が出てきたもんだから、ちょっと本気になってな。自ら調べてくれてるんだよ。」
そう言って口元に指を当てウインクする。
びっくりだ。
あの上品なフレデリカさんが冒険者だった事があるなんて。
てっきり、魔術学一筋の学者さんだと思っていた。
魔女のネットワークがどれくらいの規模のものかは知らないが、やはりマダムの千里眼を含んだ情報力というのは、計り知れないんだなと思った。
と言うか、言ってくれれば情報源のマダムを紹介したのに。
確かにマダムは魔術師ではないけれど、千里眼持ちなら魔女のネットワークに入れても良いんじゃないのかな?魔女の基準がよくわからないけれど。
まぁマダムはちょっと癖が強いけど、冒険者をしていたなら癖の強さは慣れてるだろうし。
そんなことを思っていた時、慌ただしく会議室のドアが開いた。
「良かった!まだサークがここにいた!!」
軽く息を切らせながら入ってきたのはロイさんだった。
ハンカチで汗を拭いながら、水差しの水を1杯飲むと、上着を脱ぎながらオレの横に座った。
「ロイさん!」
「いやはや、すまないね。遅くなって。」
「やぁ、ロイ。元気かい?」
「ああ、お陰様で。」
「ロイはどこに行っていたんだっけ??」
「サークの主人であるライオネル第三王子の事を聞きに行ってたんだよ。間に合って良かった。」
そう言われ、以前ロイさんが王子の秘密を探りに宰相のルードビッヒさんに会いに行っていた事を思い出す。
何だか訳ありな感じだったし、あの蛇のような宰相にはあまり良いイメージがない。
「ロイさん、すみませんでした。大丈夫でしたか!?」
心配になり、そう声をかけるとロイさんは不思議そうな顔をした。
「大丈夫だよ?ルーイとは仲が良いと言っただろう?話は比較的早く聞けたんだけどね?ふふふ。ルーイが、またお前は利用するだけ利用して姿をくらますのか!って怒ってね。中々帰してくれなかったんだよ。」
ロイさんはその時の事を思い出したのか、くすくすと笑った。
うん?何か因縁つけられてる感じがしたけど、意外と本当に仲が良かったのかな??
俺にはよくわからない。
「え?閉じ込められてたとかじゃないですよね??」
「う~ん。閉じ込められてたかな??」
「ロイさん!?」
「とても素敵な温泉付きの保養地に連れて行かれてね、毎日、ご馳走を食べさせられたよ。お陰で少し太ってしまったかもしれないな。」
焦った俺の考えとは裏腹に、どうやら物凄くもてなされていたようだ。
確かにリフレッシュして肌艶がとても良いように見える。
何なんだ??あの嫌味っぽい印象はたまたまだったのだろうか??
ロイさんはまたコップに半分ほどの水を飲むと汗を拭いた。
そして一呼吸置いてから、円卓の皆に向き合った。
「かの王子の秘密はわかったよ。」
造作もないようにロイさんが言ったその言葉に、俺は、いや、その場にいた全員に緊張が走った。
それはこの状況で、かなりの比重を占める情報だ。
俺がずっと知りたかった、王子の秘密。
何度聞いても、ギルもガスパーも口にする事が出来なかった禁忌。
俺は固唾を飲んで、ロイさんの言葉を待った。
そんな皆が注目する中、ロイさんの口からは信じがたい単語が飛び出した。
「……彼は選ばれし器だ。彼の中には、海の王が納まっている。」
その言葉に俺は固まった。
さすがの魔術本部の面々も、ざわりと音を立てた後、言葉を無くした。
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