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おふざけ・なんちゃって
バカンスに行こう!
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(架空の南の島にバカンスに行っている設定です。本編の流れとか色々無視してます)
ライルが高額くじ引きで南の島を当てた。
何なの、その強運?!
と言うか、何?!その高額くじ引きって?!
宝くじじゃないんだよね?!くじ引きだよね?!
どうやったら、そのくじ引きに参加できるの?!
貴族って怖い!!
そんな訳でそのお相伴に預かり、ライルとサムが十分、二人きりでラブラブな時間を過ごした後、俺達もその島に招待してもらった。
「やぁ、いらっしゃい~。」
ニカッと笑うライルはちょっと日焼けしていて、俺はキュンとしてしまった。
柴犬だ!完全に柴犬だ!!
「うわ~!ライル~!!こんがり焼けて~!!食パン?!食パンなのか?!」
「は?!何言ってるんだ?!サーク??」
何故か興奮気味でハグする俺に、ライルがビビっている。
そんな俺をくすくす笑いながら、奥からサムが出てきた。
真っ赤なパレオがとても似合っている。
「副隊長さ~ん♡」
「シルク!!ヤダ!また可愛くなってるっ!!」
おおっと、若干、女の子同士の再会みたいだが、片方は女の子(偽)だ。
嬉々として両手を広げてハグしようとしているが、こいつには前科がある。
「待て、シルク……。」
案の定、ライルが素早い動きでシルクの首根っこを掴んだ。
「え??何??ライル??」
「あのおっぱいは俺のだって言ったよね??」
「うん。」
「ならなんでハグしようとしてるの?!」
「久しぶりに会ったから。」
「握手じゃ駄目なのか?」
「え~!ぎゅ~ってして欲しい~!!」
「なんで?!」
「柔らかくて気持ちいいから~!!」
「シルク~!!テメ、ふざけんじゃねぇっ!!」
うわっ!!ライルが狂犬モードに入った!!
シルクもシルクで、なんで怒らすんだよ!バカ!!
鬼の形相で追っかけるライルから逃げ回りながら、シルクはするりとサムの腕にしがみついた。
「わかった!!ハグはしない!!」
「本当だな?!」
「うん。」
そう言ってコソコソサムの影に隠れる。
さすがのシルクも、普段温厚なライルの怒りは得体が知れなくて怖いらしい。
「残念。可愛いシルクとハグしたかったんだけど。」
残念そうにサムが言うと、シルクはにこっと笑った。
「なら、握手じゃなくて、こっちにするね♪」
そう言ってシルクはサムのほっぺたにチュッとキスをした。
ライルの怒りにまた火が付き、その他のメンバーは固まった。
「やだ~♡シルク可愛い~♡」
そしてサムもシルクのほっぺたにキスを返した。
いやもう、何なの?!
シルクって自分の事、女の子だと思ってる訳?!
サムもサムで、シルクは一応、男なんだから猫の子みたいに扱ったら駄目でしょ!!
「シ~ル~ク~っ!!」
「え?!何で?!ハグしてないよ?!」
「御託はいい!!そこになおれっ!!」
「キャー!!」
そしてシルクはまたライルに追い掛け回されている。
何なんだ、ついた早々、3日分ぐらいの疲れが出るような事をしやがって……。
ぐったりする俺達に、サムが苦笑しながら冷たいハーブティーを入れてくれた。
ハーブティーと言うより、ウーロン茶とほうじ茶を混ぜたみたいなお茶だった。
「副隊長、これは何のハーブティーですか?」
ウィルは興味を持ったようで、詳しい話を聞いている。
そこにライルに猫の子の様に首根っこを抓まれて、シルクが戻ってきた。
「ほっぺにチューも駄目なら先に言ってくれれば良いのに~!!」
「常識で考えて、シルクが俺の奥さんのほっぺたにキスをするのはおかしいだろうが!!」
「でも俺、ある意味ギルの奥さんだよ??奥さん同士の挨拶でほっぺにチューはおかしいの??」
「それは……どうなんだ??」
ライルもそう言われ、なんだかわからなくなってきたようだ。
うん、シルクの扱いって、何か微妙に困るよな……。
ウィルは俺の奥さん(まだだけど)でも、本人も周囲も男だって認識してるけど、シルクの場合、シルクっていう生き物で男なのか女なのかわかんなくなる事がある。
本人もそんな感じでいるもんだから、こういう場合の対処に困る。
多分シルクのサムのおっぱい発言は同性同士に近いノリで言っているのだが、そうだと思っても一応シルクは男なのでライルが警戒しまくるのは仕方がない。
……同性同士だって、そうならない訳じゃないしな。
どっかの奥さん同士が意気投合してパートナーと離婚して再婚したって話も珍しくないし。
……そう考えると、結婚してからも気が抜けないんだな…。
人妻とか既婚者ってのも、ある種魅惑のワードだしな……。
ウィルは一生、死守しないと……。
こんな格好良くて可愛い男前な奥さん!絶対、皆が狙うに決まってる!!
「ウィル~!大事にするから~!!絶対、大事にするから~!!だから捨てないで~!!」
俺は半泣きになってウィルに抱きついた。
サムに茶葉を分けてもらって戻ってきたウィルは、何事かわからずきょとんとしている。
「え??どうしたんだ??サーク??」
「ウィル~。捨てないで~。」
「いや、捨てないけど??むしろ全く他に渡すつもりはないけど??」
「ウィル~!愛してる~!!」
訳のわからない俺を、ガスパーが白い目で見ている。
イヴァンはどういう感情なのかわからないが、いつもどおり爽やかだ。
「サークさんて、やっぱり自分の事、わかってないですよね~?」
「は?どういう事だ??」
「その心配は、主がウィルにするより、ウィルが主にしてると思うよ??」
シルクが何もなかったようにギルの隣に座ってお茶を飲みだした。
ギルは……無表情、通常運転だ。
「は??何言ってんだよ??俺はモテないけど、ウィルはモテるんだぞ??心配して当然だろ?!」
「サーク、いまだに自分はモテない男のつもりなんだ……。部隊に来た頃だって結構、告白されてたのに……。」
「あれは物珍しかったからだろ??庶民上がりの男が。後、宮廷魔術師でもない騎士として入ってきた魔術師が。しかも変な魔術使うし。」
ライルの呆れたような声に俺は答えた。
物珍しくて俺に告白してきた奴らと、ウィルのファンのマジ具合も熱量も全く違うんだよ!!
「本当、サークって自覚ないよな~。」
「自覚もないが、その気もない。」
ライルの言葉にガスパーが答えた。
それにウィルが笑いかける。
「うん、サークには微塵もその気がないから少しだけ安心なんだけどさ。それでも無理強いしてくる人も中にはいるだろうし……それが心配。」
その瞬間、ギルが茶を軽く吹いた。
皆が不思議そうにそれを見る。
俺とシルクだけが、冷めた目でそれを見ていた。
「襲われても、浮気しないでくれよ?サーク?」
「あ、うん。」
「本当に??」
「だから!浮気なんかしない!!俺にはウィルだけだから!!ちんこだって勃たないし……。そんな心配いらないよ。」
「勃たなくても突っ込まれる恐れはありますけどね。」
「イヴァン…ぶちのめされたいのか??」
「まぁね~。主は俺が体術鍛えたし~、魔術もあるし~。大丈夫だと思うよ~。余程気を抜いた相手以外は。」
そこでまた、ギルがむせた。
それを皆が不審そうに見つめる。
「ギル……アンタまさか、サークに手を出したりしてないわよね?!」
ちょっと鬼の形相でサムがギルに聞いた。
「「「それはない!!」」」
何故かそこで、俺とシルクとギルの声がハモる。
あまりの勢いに、周囲が逆に唖然としていた。
いや、ないから!!
……なりそうに何度かなっただけで……。
ない!ないものはないっ!!
目をぱちくりさせたサムが、微妙な空気に困って話題を変えた。
「そういえばサークもあれよね?はじめは隠してたくせに、今じゃウィルにメロメロよね?あれだけ豹変してたレオンさん愛はどうしたのよ?!」
「どうしたもこうしたもない!!レオンハルドさんは俺の永遠の憧れ!!ナイスダンディズム!!」
「なにそれ?!」
俺がレオンハルドさん推しをめちゃくちゃ力説すると、サムはケラケラ明るく笑った。
ただ不穏なのが、横のウィルがちょっとムッとしている。
え?!ちゃんと話したじゃん!!
俺の初恋の話?!
「え??ウィルさん??俺、ちゃんと話したよね??全部??」
「俺、着替えてくる。」
ぷいっとそっぽを向くと、ウィルは荷物と鍵を掴んで出ていってしまう。
俺とウィル、ギルとシルクのペアは、離れの部屋を借りる事になっていた。
そこにスタスタと行ってしまう。
俺は慌てて荷物を掴んで後を追った。
「え?!ウィル!待って!!」
「知らない。」
「ヤダ~!!ウィル~!!俺を捨てないで~!!」
俺は情けない悲鳴を上げる。
後ろで皆が笑い声を上げていた。
何だかんだあって、皆で浜辺に集まった。
凄い……プライベートビーチどころの騒ぎじゃない。
この砂浜全部がライル達のもので、見える海もある意味貸し切りなのだ。
「おまたせ~☆」
そう言って現れたシルクを見て、俺は飲んでいたノンアルコールカクテルを盛大に吹いた。
「シルク?!おま…っ?!」
シルクはビーチバレー競技用の水着のようなものを着ていた。
いや、競技用の水着が悪いんじゃない。
何故かそれが女性用のもので、つまりその……上を着ているのだ。
以前、俺が脱いで踊るのを勧めた時の最終防衛ラインみたいな、へそ出しのタンクトップみたいなものを……。
「は?!お前、何で?!」
「うんとね、ギルと水着を買いにいったら、お店の人が上をつけた方がいいって言って、これにしたの。」
「いやいやいやいや!何か、かえってエロいからっ!!」
確かにシルクだからスポーティーな水着は似合うよ?!
でも、隠されると逆にエロいんだってば!!
「やっぱり乳首は守らないとさ~☆」
わかっていないのか、わかっていてわざとなのか、シルクは気にせず堂々としている。
うわ~これを着られると、シルクが男なのか女の子なのかのラインがまた微妙になってくる……。
ライルもガスパーもどう扱っていいのか頭に疑問符と感嘆符を並べている。
「あらシルク~!お揃い~!」
と言ってサムが走ってきてキャッキャ言ってる。
おおう……わかってたけどナイスバディ……。
出るとこガッツリ出てて、引っ込むところは健康的に引っ込んでる。
意外と筋肉目立たないんだな、サム。
かなりの筋肉量だと思うんだけど。
これが男性と女性の差かな??
筋肉あっても柔らかそうに見える。
でもあんまりビキニで走り回らんで下さい。
ライルに殺されるとわかっていても、お胸の揺れに釘付けになっちゃうよ……。
うん、可愛い……。
プロポーズされた時、受けても良かったかも……。
何て思っていたら……。
「痛たたたたたたっ!!」
ぎゅうっと千切れんばかりに耳が引っ張られた。
慌ててそっちを見ると、ウィルが無表情になっていた。
ヤバい…無表情なのはヤバい……。
ウィルは離してくれるどころか反対の耳も掴んで、ギリギリ引っ張る。
「ウィル!!ごめんなさい!!」
「何が??何がごめんなさいなんだ?サーク??」
「え?!サムを見てたから?!」
「副隊長を見てたのは許すよ。それだけじゃないよね??」
え?!何?!
ウィルって心を読む能力あったっけ?!
「待って待って待ってっ?!」
「結婚するなら、副隊長みたいな女性もいいなって思ってただろ?!」
「いや!待って?!そりゃサムとは仲がいいから楽しかったかもなとは思うけど!!俺が好きなのはウィルだから!!ウィルだけだからっ!!」
「レオンハルドさんは??」
そこ?!まだそこも引きずってるの?!
ウィルが無表情から冷たい笑顔になった。
ヤバい……俺、殺される……。
「憧れだから!!確かに初恋だったけど!!今は憧れだから!!ウィルに対する好きと違うから!!」
「その割には年配の男性に弱いよね?サーク??」
「痛い痛い痛い痛いっ!!格好いいから!俺も将来そうなりたいなってだけだからっ!!」
「そうは見えないんだよね?年上の男性に甘えたいんじゃないのか??」
「痛い痛い痛いっ!!ウィル!許してっ!!憧れが強いだけだからっ!!本当!憧れだからっ!!」
「ふ~ん??俺の甘やかしじゃ足りないんだ??」
「足りてます!!物凄く足りてますっ!!満足してます!!」
「なるほど。それでも年上の包容力に憧れがあるんですね?サークさんは??」
そこににこにこと爽やかな笑顔でイヴァンが爆弾を落とす。
ウィルの笑顔が凍りついて、さらにギリギリと両耳を引っ張る。
「ぎゃぁ~っ!!千切れるから!!ウィル!千切れるからっ!!」
イヴァンの馬鹿野郎っ!!
余計な事言うんじゃねぇっ!!
痛みで涙目になりながら睨みつけるが、イヴァンはにこにこ笑っている。
「もし、年下の包容力を試したくなったら言ってください。僕が甘やかして上げますよ。」
「は?!イヴァン?!てめぇ?!何言って?!」
その言葉に、俺よりもガスパーがショックを受けて叫んだ。
ガスパー的には予想外の伏兵だったのだろう。
「お前っ!!サークは鑑賞専門だって…っ!!」
「そうなんだけどさ、顔は好みと離れてるけど、性格は好きだし。面白いと思うんだよな~、サークさん甘やかしたら。」
「おい!!ふざけんなっ!!」
何故か俺そっちのけで、ガスパーとギャンギャン揉めている。
何なんだ、あの幼馴染コンビは??
むしろ、お前ら意外といい組み合わせだと思うのに、何でお互い、全くその気がないんだよ??
人間、恋愛感情が動くのって特殊な感情だよな。
そんな事を思っていると、ずいっとギルが俺に近づいた。
なんだ?お前??意味不明なんだけど??
「サーク……。」
「何だよ??今、見ての通り、取り込み中だ。」
「同年代で甘やかしが必要なら……。」
「いらん。ウィルがいるから、お前はいらん。むしろ、お前が俺に甘えてんじゃねぇか?!」
「ふ~ん??サーク、隊長を甘やかしてるんだ??」
「痛い痛いっ!!甘やかしてないっ!!勝手に甘えてくんだよ!!こいつがっ!!」
「でもそれを許してるんだ??」
「ぎゃぁ~っ!!許してない!許してないからっ!!」
「本当、サークは無自覚に油断も隙もないよな?もう、鎖で繋いで閉じ込めて置こうかな??うん、それがいいな。」
「ウィル!怖いっ!目がマジだからっ!!」
にこにこと冷たい笑顔のウィルが若干、ダークサイドに落ちていて怖い。
俺はこのままじゃまずいと思って、えいっとばかりにウィルにキスをした。
途端、ちょっと赤くなってウィルが正気にかえる。
「それじゃ許さない。」
そう言うが早いか、両手で俺の顔を挟むとガッツリ、フレンチキスしてくる。
可愛い……。
ダークサイドに落ちるほど怒ってたのだって、俺が好きだからな訳だし、本当、可愛い……。
俺はウィルの背中に腕を回してそれに答えた。
ん~、ちょっと今夜ははっちゃけるかも…。
多分、ウィルも熱が溜まってると思うし。
ちょっと楽しみだな~、こういう時のウィルは大胆だから……。
そんな事を思いながら、顔を離して見つめ合う。
目元が赤くなってて色っぽい。
水着に日除けのパーカーだけだから、もろに胸元が見えてゴクリとしてしまう。
俺はさり気なく、ウィルのパーカーの前を締めた。
「サーク、締めたら暑いよ。」
「駄目。ちゃんと着てて。」
「……何を考えてるんだ??サーク??」
「ウィルの想像通りの事。」
「なら仕方ないな。」
ウィルはそう言って、チュッと俺の頬にキスをした。
だから俺も額にチュッとする。
「そこ~、二人の世界に入るな~。」
いつの間にか始まったビーチバレーのボールを持ちながら、ライルが苦笑している。
シルクとガスパー組とイヴァンとライル組……?
何か、これはどっちが勝つのか微妙だな??
ガスパーの戦略とシルクの超人的身体能力対、どっちも身体能力に優れてるコンビか……。
サムが審判をしているようだ。
「負けた組が、バーベキュー手伝いだから~!!」
と言う事は、俺達も試合するんだよな??
さすがは貴族というか、ライル達はメイドさん達も島に連れてきてるけど、人数も少ないからバーベキューとかは皆でやるらしい。
となるとどういうコンビになるんだ??
多分、俺とウィルのコンビと警護部隊双璧コンビだろうな??
皆、ウィルの実力を知らないだろうけど、ウィルは竜を乗りこなす体幹と跳躍力があるんだからな、甘く見るなよ?!
そんな事を思って試合を見ていたら、いきなりズボッと頭から何かを被せられた。
何事かと思って振り返ると、ギルが無表情で立っている。
見るとどうやら俺はでかいTシャツを頭から着せられたようだ。
「何だよ??これは??」
「お前も着ていろ。」
「……は??」
「目のやり場に困る……。」
「はぁっ?!」
どこを見てるんだ?!どこをっ?!
即座に理解した俺は慌てて被せられたTシャツを着る。
つか、これってギルのTシャツか?!
それはそれで着るのはヤバくないか?!
色々考えて、俺は顔に血を登らせた。
ウィルが笑顔でギルと俺の前に立った。
「隊長、サークは俺のです。」
「…………。」
「何か言え!変態っ!!」
思わず怒鳴った俺に、ギルはう~んと考える。
何を考えてるんだ?!こいつは?!
「……なら、俺が勝ったら、少し触らせろ。」
「何を?!どこを?!」
予想の斜め上どころか、次元すら超えるギルの返答に、俺はウィルの背中に抱きついた。
怖い、怖いよ!こいつっ!!
「いいでしょう。」
「ウィル?!よくない!それ!良くないからっ!!」
「二言はないな?」
「ええ、ただし、コンビは隊長とサーク。俺と副隊長です。」
「は?!何で?!」
「良いだろう。」
「いや待って?!何で勝手に話が進むの?!」
俺そっちのけで、ウィルとギルが火花を散らしている。
待ってよ?!これ、負けたら俺、ギルにどっか触られるって事だよな?!
嫌だぞ?!本気で?!
この後、訳がわからないまま試合になったのだが、俺はギルに触られたくないので全く試合に参加せず、事情を知って容赦ないサムと知られざる実力者のウィルに、ギルがコテンパンにされたのは言うまでもない。
めちゃくちゃ悔しがってたけど、お前、馬鹿だな……。
あの条件で俺が試合に参加するわけ無いし、サムがそれを許すわけないし。
まぁ、ウィルの作戦勝ちって訳だ。
そんな訳で、俺とギルは仲良くエプロンをつけさせられ、バーベキューの手伝いをさせられた。
何だかんだ南の島のバカンスは、波乱に満ちていて、エキサイティングで楽しく過ぎていったのだった。
Fin
ライルが高額くじ引きで南の島を当てた。
何なの、その強運?!
と言うか、何?!その高額くじ引きって?!
宝くじじゃないんだよね?!くじ引きだよね?!
どうやったら、そのくじ引きに参加できるの?!
貴族って怖い!!
そんな訳でそのお相伴に預かり、ライルとサムが十分、二人きりでラブラブな時間を過ごした後、俺達もその島に招待してもらった。
「やぁ、いらっしゃい~。」
ニカッと笑うライルはちょっと日焼けしていて、俺はキュンとしてしまった。
柴犬だ!完全に柴犬だ!!
「うわ~!ライル~!!こんがり焼けて~!!食パン?!食パンなのか?!」
「は?!何言ってるんだ?!サーク??」
何故か興奮気味でハグする俺に、ライルがビビっている。
そんな俺をくすくす笑いながら、奥からサムが出てきた。
真っ赤なパレオがとても似合っている。
「副隊長さ~ん♡」
「シルク!!ヤダ!また可愛くなってるっ!!」
おおっと、若干、女の子同士の再会みたいだが、片方は女の子(偽)だ。
嬉々として両手を広げてハグしようとしているが、こいつには前科がある。
「待て、シルク……。」
案の定、ライルが素早い動きでシルクの首根っこを掴んだ。
「え??何??ライル??」
「あのおっぱいは俺のだって言ったよね??」
「うん。」
「ならなんでハグしようとしてるの?!」
「久しぶりに会ったから。」
「握手じゃ駄目なのか?」
「え~!ぎゅ~ってして欲しい~!!」
「なんで?!」
「柔らかくて気持ちいいから~!!」
「シルク~!!テメ、ふざけんじゃねぇっ!!」
うわっ!!ライルが狂犬モードに入った!!
シルクもシルクで、なんで怒らすんだよ!バカ!!
鬼の形相で追っかけるライルから逃げ回りながら、シルクはするりとサムの腕にしがみついた。
「わかった!!ハグはしない!!」
「本当だな?!」
「うん。」
そう言ってコソコソサムの影に隠れる。
さすがのシルクも、普段温厚なライルの怒りは得体が知れなくて怖いらしい。
「残念。可愛いシルクとハグしたかったんだけど。」
残念そうにサムが言うと、シルクはにこっと笑った。
「なら、握手じゃなくて、こっちにするね♪」
そう言ってシルクはサムのほっぺたにチュッとキスをした。
ライルの怒りにまた火が付き、その他のメンバーは固まった。
「やだ~♡シルク可愛い~♡」
そしてサムもシルクのほっぺたにキスを返した。
いやもう、何なの?!
シルクって自分の事、女の子だと思ってる訳?!
サムもサムで、シルクは一応、男なんだから猫の子みたいに扱ったら駄目でしょ!!
「シ~ル~ク~っ!!」
「え?!何で?!ハグしてないよ?!」
「御託はいい!!そこになおれっ!!」
「キャー!!」
そしてシルクはまたライルに追い掛け回されている。
何なんだ、ついた早々、3日分ぐらいの疲れが出るような事をしやがって……。
ぐったりする俺達に、サムが苦笑しながら冷たいハーブティーを入れてくれた。
ハーブティーと言うより、ウーロン茶とほうじ茶を混ぜたみたいなお茶だった。
「副隊長、これは何のハーブティーですか?」
ウィルは興味を持ったようで、詳しい話を聞いている。
そこにライルに猫の子の様に首根っこを抓まれて、シルクが戻ってきた。
「ほっぺにチューも駄目なら先に言ってくれれば良いのに~!!」
「常識で考えて、シルクが俺の奥さんのほっぺたにキスをするのはおかしいだろうが!!」
「でも俺、ある意味ギルの奥さんだよ??奥さん同士の挨拶でほっぺにチューはおかしいの??」
「それは……どうなんだ??」
ライルもそう言われ、なんだかわからなくなってきたようだ。
うん、シルクの扱いって、何か微妙に困るよな……。
ウィルは俺の奥さん(まだだけど)でも、本人も周囲も男だって認識してるけど、シルクの場合、シルクっていう生き物で男なのか女なのかわかんなくなる事がある。
本人もそんな感じでいるもんだから、こういう場合の対処に困る。
多分シルクのサムのおっぱい発言は同性同士に近いノリで言っているのだが、そうだと思っても一応シルクは男なのでライルが警戒しまくるのは仕方がない。
……同性同士だって、そうならない訳じゃないしな。
どっかの奥さん同士が意気投合してパートナーと離婚して再婚したって話も珍しくないし。
……そう考えると、結婚してからも気が抜けないんだな…。
人妻とか既婚者ってのも、ある種魅惑のワードだしな……。
ウィルは一生、死守しないと……。
こんな格好良くて可愛い男前な奥さん!絶対、皆が狙うに決まってる!!
「ウィル~!大事にするから~!!絶対、大事にするから~!!だから捨てないで~!!」
俺は半泣きになってウィルに抱きついた。
サムに茶葉を分けてもらって戻ってきたウィルは、何事かわからずきょとんとしている。
「え??どうしたんだ??サーク??」
「ウィル~。捨てないで~。」
「いや、捨てないけど??むしろ全く他に渡すつもりはないけど??」
「ウィル~!愛してる~!!」
訳のわからない俺を、ガスパーが白い目で見ている。
イヴァンはどういう感情なのかわからないが、いつもどおり爽やかだ。
「サークさんて、やっぱり自分の事、わかってないですよね~?」
「は?どういう事だ??」
「その心配は、主がウィルにするより、ウィルが主にしてると思うよ??」
シルクが何もなかったようにギルの隣に座ってお茶を飲みだした。
ギルは……無表情、通常運転だ。
「は??何言ってんだよ??俺はモテないけど、ウィルはモテるんだぞ??心配して当然だろ?!」
「サーク、いまだに自分はモテない男のつもりなんだ……。部隊に来た頃だって結構、告白されてたのに……。」
「あれは物珍しかったからだろ??庶民上がりの男が。後、宮廷魔術師でもない騎士として入ってきた魔術師が。しかも変な魔術使うし。」
ライルの呆れたような声に俺は答えた。
物珍しくて俺に告白してきた奴らと、ウィルのファンのマジ具合も熱量も全く違うんだよ!!
「本当、サークって自覚ないよな~。」
「自覚もないが、その気もない。」
ライルの言葉にガスパーが答えた。
それにウィルが笑いかける。
「うん、サークには微塵もその気がないから少しだけ安心なんだけどさ。それでも無理強いしてくる人も中にはいるだろうし……それが心配。」
その瞬間、ギルが茶を軽く吹いた。
皆が不思議そうにそれを見る。
俺とシルクだけが、冷めた目でそれを見ていた。
「襲われても、浮気しないでくれよ?サーク?」
「あ、うん。」
「本当に??」
「だから!浮気なんかしない!!俺にはウィルだけだから!!ちんこだって勃たないし……。そんな心配いらないよ。」
「勃たなくても突っ込まれる恐れはありますけどね。」
「イヴァン…ぶちのめされたいのか??」
「まぁね~。主は俺が体術鍛えたし~、魔術もあるし~。大丈夫だと思うよ~。余程気を抜いた相手以外は。」
そこでまた、ギルがむせた。
それを皆が不審そうに見つめる。
「ギル……アンタまさか、サークに手を出したりしてないわよね?!」
ちょっと鬼の形相でサムがギルに聞いた。
「「「それはない!!」」」
何故かそこで、俺とシルクとギルの声がハモる。
あまりの勢いに、周囲が逆に唖然としていた。
いや、ないから!!
……なりそうに何度かなっただけで……。
ない!ないものはないっ!!
目をぱちくりさせたサムが、微妙な空気に困って話題を変えた。
「そういえばサークもあれよね?はじめは隠してたくせに、今じゃウィルにメロメロよね?あれだけ豹変してたレオンさん愛はどうしたのよ?!」
「どうしたもこうしたもない!!レオンハルドさんは俺の永遠の憧れ!!ナイスダンディズム!!」
「なにそれ?!」
俺がレオンハルドさん推しをめちゃくちゃ力説すると、サムはケラケラ明るく笑った。
ただ不穏なのが、横のウィルがちょっとムッとしている。
え?!ちゃんと話したじゃん!!
俺の初恋の話?!
「え??ウィルさん??俺、ちゃんと話したよね??全部??」
「俺、着替えてくる。」
ぷいっとそっぽを向くと、ウィルは荷物と鍵を掴んで出ていってしまう。
俺とウィル、ギルとシルクのペアは、離れの部屋を借りる事になっていた。
そこにスタスタと行ってしまう。
俺は慌てて荷物を掴んで後を追った。
「え?!ウィル!待って!!」
「知らない。」
「ヤダ~!!ウィル~!!俺を捨てないで~!!」
俺は情けない悲鳴を上げる。
後ろで皆が笑い声を上げていた。
何だかんだあって、皆で浜辺に集まった。
凄い……プライベートビーチどころの騒ぎじゃない。
この砂浜全部がライル達のもので、見える海もある意味貸し切りなのだ。
「おまたせ~☆」
そう言って現れたシルクを見て、俺は飲んでいたノンアルコールカクテルを盛大に吹いた。
「シルク?!おま…っ?!」
シルクはビーチバレー競技用の水着のようなものを着ていた。
いや、競技用の水着が悪いんじゃない。
何故かそれが女性用のもので、つまりその……上を着ているのだ。
以前、俺が脱いで踊るのを勧めた時の最終防衛ラインみたいな、へそ出しのタンクトップみたいなものを……。
「は?!お前、何で?!」
「うんとね、ギルと水着を買いにいったら、お店の人が上をつけた方がいいって言って、これにしたの。」
「いやいやいやいや!何か、かえってエロいからっ!!」
確かにシルクだからスポーティーな水着は似合うよ?!
でも、隠されると逆にエロいんだってば!!
「やっぱり乳首は守らないとさ~☆」
わかっていないのか、わかっていてわざとなのか、シルクは気にせず堂々としている。
うわ~これを着られると、シルクが男なのか女の子なのかのラインがまた微妙になってくる……。
ライルもガスパーもどう扱っていいのか頭に疑問符と感嘆符を並べている。
「あらシルク~!お揃い~!」
と言ってサムが走ってきてキャッキャ言ってる。
おおう……わかってたけどナイスバディ……。
出るとこガッツリ出てて、引っ込むところは健康的に引っ込んでる。
意外と筋肉目立たないんだな、サム。
かなりの筋肉量だと思うんだけど。
これが男性と女性の差かな??
筋肉あっても柔らかそうに見える。
でもあんまりビキニで走り回らんで下さい。
ライルに殺されるとわかっていても、お胸の揺れに釘付けになっちゃうよ……。
うん、可愛い……。
プロポーズされた時、受けても良かったかも……。
何て思っていたら……。
「痛たたたたたたっ!!」
ぎゅうっと千切れんばかりに耳が引っ張られた。
慌ててそっちを見ると、ウィルが無表情になっていた。
ヤバい…無表情なのはヤバい……。
ウィルは離してくれるどころか反対の耳も掴んで、ギリギリ引っ張る。
「ウィル!!ごめんなさい!!」
「何が??何がごめんなさいなんだ?サーク??」
「え?!サムを見てたから?!」
「副隊長を見てたのは許すよ。それだけじゃないよね??」
え?!何?!
ウィルって心を読む能力あったっけ?!
「待って待って待ってっ?!」
「結婚するなら、副隊長みたいな女性もいいなって思ってただろ?!」
「いや!待って?!そりゃサムとは仲がいいから楽しかったかもなとは思うけど!!俺が好きなのはウィルだから!!ウィルだけだからっ!!」
「レオンハルドさんは??」
そこ?!まだそこも引きずってるの?!
ウィルが無表情から冷たい笑顔になった。
ヤバい……俺、殺される……。
「憧れだから!!確かに初恋だったけど!!今は憧れだから!!ウィルに対する好きと違うから!!」
「その割には年配の男性に弱いよね?サーク??」
「痛い痛い痛い痛いっ!!格好いいから!俺も将来そうなりたいなってだけだからっ!!」
「そうは見えないんだよね?年上の男性に甘えたいんじゃないのか??」
「痛い痛い痛いっ!!ウィル!許してっ!!憧れが強いだけだからっ!!本当!憧れだからっ!!」
「ふ~ん??俺の甘やかしじゃ足りないんだ??」
「足りてます!!物凄く足りてますっ!!満足してます!!」
「なるほど。それでも年上の包容力に憧れがあるんですね?サークさんは??」
そこににこにこと爽やかな笑顔でイヴァンが爆弾を落とす。
ウィルの笑顔が凍りついて、さらにギリギリと両耳を引っ張る。
「ぎゃぁ~っ!!千切れるから!!ウィル!千切れるからっ!!」
イヴァンの馬鹿野郎っ!!
余計な事言うんじゃねぇっ!!
痛みで涙目になりながら睨みつけるが、イヴァンはにこにこ笑っている。
「もし、年下の包容力を試したくなったら言ってください。僕が甘やかして上げますよ。」
「は?!イヴァン?!てめぇ?!何言って?!」
その言葉に、俺よりもガスパーがショックを受けて叫んだ。
ガスパー的には予想外の伏兵だったのだろう。
「お前っ!!サークは鑑賞専門だって…っ!!」
「そうなんだけどさ、顔は好みと離れてるけど、性格は好きだし。面白いと思うんだよな~、サークさん甘やかしたら。」
「おい!!ふざけんなっ!!」
何故か俺そっちのけで、ガスパーとギャンギャン揉めている。
何なんだ、あの幼馴染コンビは??
むしろ、お前ら意外といい組み合わせだと思うのに、何でお互い、全くその気がないんだよ??
人間、恋愛感情が動くのって特殊な感情だよな。
そんな事を思っていると、ずいっとギルが俺に近づいた。
なんだ?お前??意味不明なんだけど??
「サーク……。」
「何だよ??今、見ての通り、取り込み中だ。」
「同年代で甘やかしが必要なら……。」
「いらん。ウィルがいるから、お前はいらん。むしろ、お前が俺に甘えてんじゃねぇか?!」
「ふ~ん??サーク、隊長を甘やかしてるんだ??」
「痛い痛いっ!!甘やかしてないっ!!勝手に甘えてくんだよ!!こいつがっ!!」
「でもそれを許してるんだ??」
「ぎゃぁ~っ!!許してない!許してないからっ!!」
「本当、サークは無自覚に油断も隙もないよな?もう、鎖で繋いで閉じ込めて置こうかな??うん、それがいいな。」
「ウィル!怖いっ!目がマジだからっ!!」
にこにこと冷たい笑顔のウィルが若干、ダークサイドに落ちていて怖い。
俺はこのままじゃまずいと思って、えいっとばかりにウィルにキスをした。
途端、ちょっと赤くなってウィルが正気にかえる。
「それじゃ許さない。」
そう言うが早いか、両手で俺の顔を挟むとガッツリ、フレンチキスしてくる。
可愛い……。
ダークサイドに落ちるほど怒ってたのだって、俺が好きだからな訳だし、本当、可愛い……。
俺はウィルの背中に腕を回してそれに答えた。
ん~、ちょっと今夜ははっちゃけるかも…。
多分、ウィルも熱が溜まってると思うし。
ちょっと楽しみだな~、こういう時のウィルは大胆だから……。
そんな事を思いながら、顔を離して見つめ合う。
目元が赤くなってて色っぽい。
水着に日除けのパーカーだけだから、もろに胸元が見えてゴクリとしてしまう。
俺はさり気なく、ウィルのパーカーの前を締めた。
「サーク、締めたら暑いよ。」
「駄目。ちゃんと着てて。」
「……何を考えてるんだ??サーク??」
「ウィルの想像通りの事。」
「なら仕方ないな。」
ウィルはそう言って、チュッと俺の頬にキスをした。
だから俺も額にチュッとする。
「そこ~、二人の世界に入るな~。」
いつの間にか始まったビーチバレーのボールを持ちながら、ライルが苦笑している。
シルクとガスパー組とイヴァンとライル組……?
何か、これはどっちが勝つのか微妙だな??
ガスパーの戦略とシルクの超人的身体能力対、どっちも身体能力に優れてるコンビか……。
サムが審判をしているようだ。
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と言う事は、俺達も試合するんだよな??
さすがは貴族というか、ライル達はメイドさん達も島に連れてきてるけど、人数も少ないからバーベキューとかは皆でやるらしい。
となるとどういうコンビになるんだ??
多分、俺とウィルのコンビと警護部隊双璧コンビだろうな??
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そんな事を思って試合を見ていたら、いきなりズボッと頭から何かを被せられた。
何事かと思って振り返ると、ギルが無表情で立っている。
見るとどうやら俺はでかいTシャツを頭から着せられたようだ。
「何だよ??これは??」
「お前も着ていろ。」
「……は??」
「目のやり場に困る……。」
「はぁっ?!」
どこを見てるんだ?!どこをっ?!
即座に理解した俺は慌てて被せられたTシャツを着る。
つか、これってギルのTシャツか?!
それはそれで着るのはヤバくないか?!
色々考えて、俺は顔に血を登らせた。
ウィルが笑顔でギルと俺の前に立った。
「隊長、サークは俺のです。」
「…………。」
「何か言え!変態っ!!」
思わず怒鳴った俺に、ギルはう~んと考える。
何を考えてるんだ?!こいつは?!
「……なら、俺が勝ったら、少し触らせろ。」
「何を?!どこを?!」
予想の斜め上どころか、次元すら超えるギルの返答に、俺はウィルの背中に抱きついた。
怖い、怖いよ!こいつっ!!
「いいでしょう。」
「ウィル?!よくない!それ!良くないからっ!!」
「二言はないな?」
「ええ、ただし、コンビは隊長とサーク。俺と副隊長です。」
「は?!何で?!」
「良いだろう。」
「いや待って?!何で勝手に話が進むの?!」
俺そっちのけで、ウィルとギルが火花を散らしている。
待ってよ?!これ、負けたら俺、ギルにどっか触られるって事だよな?!
嫌だぞ?!本気で?!
この後、訳がわからないまま試合になったのだが、俺はギルに触られたくないので全く試合に参加せず、事情を知って容赦ないサムと知られざる実力者のウィルに、ギルがコテンパンにされたのは言うまでもない。
めちゃくちゃ悔しがってたけど、お前、馬鹿だな……。
あの条件で俺が試合に参加するわけ無いし、サムがそれを許すわけないし。
まぁ、ウィルの作戦勝ちって訳だ。
そんな訳で、俺とギルは仲良くエプロンをつけさせられ、バーベキューの手伝いをさせられた。
何だかんだ南の島のバカンスは、波乱に満ちていて、エキサイティングで楽しく過ぎていったのだった。
Fin
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