『欠片の軌跡』おまけ短編集

ねぎ(塩ダレ)

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第六章おまけ

女子(?)部屋 ☆?

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「……シルク、隊長のプロポーズを断ったって、本当なのか?」

壁に寄りかかりながら、ベッドで本を読んでいたウィルは、何故か自分のベッドでゴロゴロしているシルクに声をかけた。

「本当だよ?何で?」

「いや……。」

シルクがギルと恋人同士であることは確かだが、それ以上にサークに対して何かしらの想いがあるのはウィルもわかっていた。
だから、恋人のプロポーズを断ったと言うことは、そういう事なのか?と思ったのだ。

「別れた訳じゃないよ?ただ、結婚はしたくなかったって言うか……。そもそも結婚に拘らなくてもいいかって感じ。俺とギルはつがいなんだし。」

「そうなのか?」

「そう~。俺は主についていくから、最期は一緒にいられないから~、だから駄目って言ったらね~?ギル、その時がくるまでずっと一緒に居てくれるって言ったの~!めちゃくちゃ愛されてるよね~?俺~。」

シルクはうふふ、と笑って、足をバタバタさせた。
何だか思っていたのと違う。
むしろ、愛を確かめ合ってラブラブな感じだ。

「何か……幸せそうで良かった……。」

「あ、別れたと思った?」

「うん。」

「別れるって選択肢もあったんだよ~。でもね~?ギル、それでもいいって!だから一緒に居てくれって言うんだよ~。可愛すぎると思わない~?」

可愛いかはわからないが、とにかくふたりが納得して幸せならいいかと思った。

「それにさ、ウィル、知ってる?俺、ギルの家に初めて行ったんだけどさ!独身寮みたいなデカイ家に住んでるの!アイツ!」

「そうだね。隊長、確か侯爵家だもんね?」

「え!?ウィル、知ってたの!?」

「一応ね。」

「なんだ~知らないの俺だけだったのか~。何かさ~、格差って言うのかな~?あれ見た時、迂闊にプロポーズ受けなくて良かったって思った~。できる訳ないじゃん!あんなデカイ家に住んでるヤツと結婚とか!よく平気でプロポーズしたよね~。ギル。」

「……気にしなくても、何とかなったんじゃないか?」

「でも別に結婚したくはないからな~。何か面倒くさそう。そういうのに縛られるのも何か嫌だし。でも、結婚しなくても、前途多難なんだよね~。」

「何が?」

「だってこれだけ格差があったら、ずっと一緒にいるのは難しいだろ~。今は好きだから一緒いるでいいけどさ~。」

「そうだね。」

「でも、ギル、俺と一緒にいるって覚悟を決めてくれたから、俺も覚悟したの。色々大変な事もあるけど、一緒にいれるようふたりで考えていこうって。」

そう話すシルクの顔は、とても綺麗で幸せそうだった。
それは、ウェディングドレスを着たサマンサ副隊長と同じ表情に見えた。

「それって……ある意味、ふたりは結婚したんだね。」

「してないよ?」

「違うよ。シルクと隊長は、これから先、共に生きていくって決めて、そしてその為の苦労を分かち合うって決めたんだろ?」

「うん……。」

「それってさ、結婚したのと同じじゃないか?形式的な事じゃなくて、その生き方が。」

「なら……俺とギルって………やだ!ウィル!照れるじゃんっ!!なにそれ!?俺たちもう!夫婦同然なの!?うわぁ~~っ!!」

シルクは真っ赤になって、じたばたともがいた。
そんなシルクが可愛くて、ウィルはそっと頭を撫でた。

「おめでとう、シルク。」

「うん……。ありがと。」

シルクは体を起こして、ぎゅっとウィルにハグをした。
ウィルもぎゅっとハグを返す。

「そういうウィルはどうなの?」

「どうって言われても……。」

「進展は?」

「ええ……いや…別に……。」

ウィルは赤くなって視線を反らせた。
ニヤリ、とシルクは笑う。

「白状しなよ!ウィル!」

「うわっ!!やめろ!シルク!……やっ…くすぐったい……!!」

「言わないともっとするよ~?」

「やっ…駄目…っ!シルク!やめてっ!くすぐったいっ!!」

「なら言う?」

「……別に進展はないんだけど…。」

「けど?」

「し……白無垢……なら、着てもいいかな……って思ってる……。」

「白無垢って何?」

「サークの国の花嫁衣装の着物……。」

赤くなりながらそう答えたウィルに、シルクはきょとんとした。

「急だね?結婚はするけどお嫁さんはやだって言ってたのに。」

「着物を、着せてもらったんだ……。」

「うん。」

「それで……その後……脱がし方を教えるって言って……その……。」

「主に脱がされて、エッチしたわけね?」

「うん…で……その時、サークが凄くて……何かもう……訳わからなくて……。」

「めちゃくちゃにされたんだ~。いいな~。」

「いいな…って……!?」

「何されたの!?」

「よくわからないよ!訳がわからなかったんだから!ただ、もう……凄くて……ぐちゃぐちゃになってるところで……結婚しようって凄く求められて……白無垢着てよって言われて……うん…て……。」

「言っちゃったのね?思わず。」

「あああぁっ!!俺も軽率だったと思うよ!?でもあの状況で!惚れた男に!あんなに激しく求められたら!うん、て言っちゃうよっ!!誰だってっ!!」

「惚だされたわけだ。エッチ凄すぎて。」

「どうしよう!シルク~!!俺、軽率な男だと思われたかもしれない~!!」

「ええ!?そんな事、思ってないよ!?多分!?むしろしてやったりって思ってるよ、主なら!!」

「そうかな……?エッチすれば何でも言うこときく馬鹿だとか、淫らなヤツだと思われてないかな?俺、結構、最中にワケわからなくなるから……。」

「………どんだけ凄いの!?主って!?ちんこたたない癖に!!」

「だって、あいつ……知識だけは無駄にあるから……。」

「マニアックなプレイとか強要されてない!?ウィル!?大丈夫!?」

「わかんない……。ぐちゃぐちゃになると、何されてるか、わかんないから……。」

「うわ~!!どうしよう!代わってあげたいっ!!」

「えっ!?」

「何かそのマニアックなプレイを強要される立場になってみたいっ!!ぐちゃぐちゃになっても!さらにめちゃくちゃにされてみたい!!」

「シルク!?落ち着いてっ!!」

「いいな~!!ギルのエッチも凄いけど!テクでぐちゃぐちゃにされるのもいいよね~!!」

「そうかな~?」

「それにさ、なんだかんだ言って、ウィル。主にぐちゃぐちゃにされるの好きでしょ?」

「それは……。」

「ウィルって意外に調教されたいタイプだったんだ~。素質はあるな~とは思ったけど。」

「はっ!?調教っ!?そんなのされてないっ!!」

「なら……ソフトSM?」

「違うからっ!!」

「いいな~。今度、どんな技使うか教えて!!」

「わからないよ……そんなの……。」

「ええ~?何か思い出せるものとかないの!?」

「………………潮吹き。」

「え!?マジ!?」

「一回騙されてさせられた。もうしない。」

「どうやるの!?」

「だからよくわからないんだよ!でも、何かイッた後、先を執拗に刺激された。嫌って言っても、怖いって言ってもやめてくれなくて……それで……。」

「ふ~ん……。なるほど~。」

「……シルク、やってみようとか思ってる!?」

「うん。昔やらされた事はあったけど、どうやるのか知らなかったから。今度、ギルと挑戦してみるね~。」

「え!?ええ!?」

「楽しみ~!!」

シルクは性に対して開放的だ。
知っていたが、自分が嫌だったプレイを楽しそうにやってみようと言われると、妙な気分になる。

あれって、そこまで変態的な事じゃなかったのか?
確かにサークは単に気持ちよくしてくれようとしていただけだし……。
行き過ぎたやり方だと思ったけど、そこまででもないのか?
意外とみんなやってるような事なのか??

「ウィルもまたやってみれば?きっと気持ちいいよ~。」

「う~ん、考えておく。」

にこにことシルクに言われ、ウィルは流されてそう答えた。
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