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第三章おまけ

答え合わせ ☆

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「なぁ~シルク~。」

西の砂漠の国を出て歩いていると、歯切れ悪く主が話しかけてきた。

「どうしたの?主?」

「だからさ~。」

何だかもじもじしている。
何だろう?

「……俺が寝てる間に、マジでどこまでした!?」

顔を少し赤らめ、主は真剣に聞いてきた。
俺は思わず吹き出した。
まだ気にしてたんだ?この人。
思わずにんまりと笑う。

「……教えない。」

「頼む!教えてくれ!気になって落ち着かない!!」

「だ~め!主は一生、悶々としてて!!」

「何でだよ!!うわああぁぁ~っ!!」

頭を抱えて叫ぶ主を、俺はニコニコと見守った。

ごめんね、主。
これだけは絶対に教えられない。

俺だけの大切な思い出として、墓場まで持っていくから……。








死んだようにぐったりするオーナーを背負い、俺は小さな村の宿にいた。
俺のお金だとベッド1つの小さな部屋しか借りられなかったけど、そんな事はどうでも良かった。
とにかくオーナーをちゃんとしたところに寝かせたかった。

「……………。」

オーナーの体は冷たく血の気もない。
血で魔術を使うって言ってたから、血が奪われたんだと思った。
医療施設に運んで見てもらった方がいいのかもしれないが、お金が足りない。
主の荷物も町を出る前にとってきたけど、そこからお金を出すのはなんか嫌だった。

とにかくできることをしよう。
俺は宿の人に頼んで、砂糖と塩と蜂蜜と果物を分けてもらった。
それらでオーナーに飲ませる水を作る。
村にいた頃、倒れた人にこれを飲ませて様子を見ていたのを思い出したからだ。
コップを片手にオーナーに近づく。
コップから飲ませようとしたけれど駄目だった。

「…………………。」

大丈夫、これはキスじゃない。
俺はそう自分に言い聞かせて、中身を口に含んだ。
意識のないオーナーに口移しで飲ませる。
良かった、飲んでくれた。
俺はコップが空になるまでそれを続けた。
気のせいか、少し顔色が良くなった気がする。

抱き起こしていた体を寝かせ、頬を撫でる。
体が冷たくて凄く怖かった。
オーナーに着せていた上着を脱がせる。
あそこに突っ込んできた上半身裸の状態になる。

その胸板を指でなぞる。
ムラッとした。

俺は懸命にそれを頭から追いやり、自分も服を脱いだ。
下まで脱ぐと自制心が効かなくなりそうだったので脱がなかった。

やましい気持ちはありません!
やましい気持ちはありません!
やましい気持ちはありません!

そう心の中で三回唱えてから、オーナーの冷たくなった体に自分の肌を重ねた。
体温を奪われ、寒くなる。
薄っぺらい毛布を隙間がないようにかけ直した。

きっとオーナーと肌を合わせて抱き締めるなんて事は、金輪際ないだろう。

できるだけ密着出来るように、多くの面積がオーナーを感じられるように、体を動かし、抱き締めた。
足を絡めるように押さえる。

「……………………。」

俺はぐっと目を閉じて、歯を噛み締めた。

……拷問だ。

なんて拷問なんだろう?
惚れた男と1つのベッドで肌を重ねているのに、相手は意識がなくて手も出せない。
なのに自分の体はどんどん熱を持ってくる。

「あ~オーナー、美味しそう……。」

脱がせてみればそれなりにしっかり筋肉がついていて、胸板だってちゃんとある。
顔を押し付けてそれを味わう。
汗の匂いが微かにして、無意識に肌を舐めた。

「……っ!!」

はっとする。
意識のない相手に、自分は何をしているのか!?
慌てて気を引き締める。

「…………………。」

しかし、無意識とはいえ一度やってしまうと止めとが効かない。
ムラムラと体は熱を持てあまし、もぞもぞと体を動かす。

ちょっとくらい、いいんじゃないか?
どうせ目覚めても覚えてないんだし……。

頭の中で悪魔が囁く。

指をオーナーの体に這わす。
熱い吐息が漏れた。

この人が好きだ。

そう思った。
恋人がいるなんて関係ない。
この人が欲しい。
体の隅々まで、この人を感じたい。
叶うなら、腹の奥で味わいたい。

俺はぎゅっと目を綴じだ。

駄目だ。
そんなことをしては駄目だ。

自分を信じて意識のない体を預けてくれたんだ。
その信頼を裏切ったら駄目だ。

でもそう思えば思うほど、欲望は増していく。

耐えられなかった。

「ごめんなさい……オーナー……もう、2度としないから……許して……。」

俺は体を起こし、ズボンと下着を脱いだ。
生まれたままの姿で、オーナーの腰に跨がる。

はぁ、と息を吐き出す。

「ごめんね……俺、オーナーが思ってるほど……いい子じゃないよ……?」

全面的に自分を信頼するオーナー。
でも俺はそれを裏切って、こんなこともできてしまうグズなんだよ……?

それでもまだ、俺を信じてくれる?

背徳感に震える。
竿はもう、期待に張りつめ濡れていた。
指を口に入れて濡らす。
馬乗りの状態で穴をまさぐった。

「………あっ……あ…んっ……。」

入り込む自分の指にぞくぞくした。
腰が自然に揺れた。
あぁ、この人に貫かれて、激しく突き上げて欲しい。
我を忘れるくらい、めちゃくちゃにして欲しい。
頭の中でそれを想像しながら、指を激しく動かす。
正直、指なんかじゃ足りないが仕方がない。

「んっ…んっ…んんんっ!!」

声をあげないように堪えると、それもまた、ぞくぞくさせた。
してはいけないことをしている。
絶対に誰にもバレてはいけないことをしている。
その思いが、背徳感が脳を貫いた。

「あっ!………あぁっ…んんんんっ…!!」

がくがくと体を痙攣させ、俺は果てた。
飛び散った欲望が、オーナーの体を飾っていた。
火照りが治まり、ぼんやりとそれを見つめる。

あ~あ、やっちゃった。
バレないだろうけど、ちょっと反省する。

急いでそれを拭き取って、裸のままごろんとオーナーの横に寝転ぶ。
な~んにもこの人は知らないんだよな~。
俺がどれだけ本気だったかも、凄くセックスしたかった事も。

「今だけだから、大目にみてね、オーナー?誓いを立てたら、絶対もう、こんなことも出来なくなっちゃうから……。」

オーナーが目覚めたら、俺は誓いを立てる。
信頼という名のオーナーの愛に答えるために。

あなたを俺の絶対君主に選びます。
生涯違えることのない、1度だけの誓いをあなたに……。

「ある意味、恋人以上だよね?一方的だけど?」

俺はクスッと笑って、眠り続けるオーナーに抱きついた。
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