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20◆勇者、おっきくなっちゃった……

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一方、サイモン達はしっかり武装して少数精鋭で人間の城にやってきた。

サイモンはムチで攻撃する前衛、ジルベールはバフとかデバフでサポートする後衛、エイデンは魔法で攻撃する後衛ともしものための保護者枠。

「エイデンは来なくても良かったんじゃ……」

「王の自覚ないんですか?」

「お前らなぁ………」

エイデンは、二人が暴走したら止めたり、交渉が必要になったらしたり、どうしようもない問題が起きてしまったならば………城を爆破したりするという意味で保護者枠なのである。

「早くユリアスを助けるんだろ。文句言ってないで乗り込むぞ!」

というわけで、サイモンのムチが敵をバッタバッタと薙ぎ倒す。

エイデンも魔法でドッカンドッカンと絶好調だ。

ジルベールのバフで最強状態の二人は、人間の王を打ち倒すために玉座の間に向かった。



玉座の間。

そこには、玉座に座るグランと美しい青年がいた。

何か揉めているのか、青年はグランに聖なる力を感じるロッドを向けている。

「強欲に取り憑かれし王よ!使命により、世を滅ぼさんとする邪を僕が打ち清める!」

「これはこれは……王である私に随分な態度ですね。少し貴方には躾が必要なようです。黒薔薇、来なさい」

「仰せのままに。陛下」

メロウが、その場にスッと音もなく現れる。

その姿はやっぱり黒いドレスで貴婦人な雰囲気を醸し出すが、青年より骨格が男らしい。

「お取り込み中?」

「謀反かな?」

「なんかわかんないけど、俺達チャンスじゃね?あの青年に加勢しようぜ!」

「「賛成!」」

サイモン達がヒソヒソと三人で話していると、こちらに気づいたらしき青年が振り向いた。

その青年はサイモン達をみて目を見開く。

「あっ!サイ、ジル、なんでここにいるの!?あと、エイお兄さんも」

「「あるぇ?」」

「って、俺はついでかよ!?……あるぇ?」

青年がサイモン達を、ユリアスと同じ呼び名で呼んだ。

ちなみに、エイデンは【えいおにいしゃん】と呼ばれていたのだ。

そして青年は、例えるならユリアスを大人にしたらこうなりそうな、そんな顔をしている。

ちょっと信じられないが、まさかと三人も目を見開いて青年をみた。

「「「ユリアス?」」」

「………僕、おっきくなっちゃった。お願い、僕を嫌わないで」

青年は……いや、ユリアスは涙目になる。

急に姿が変わってしまい、皆に嫌われないか不安なのだ。

しかし。

「ぐふっ!?」

「ごほっ!!」

「がはっ!?」

「あっ……」

………やはり、大きくなってもユリアスはユリアスだった。

サイモンとジルベールとエイデンは、ちょっと威力が上がったユリアスの魅力に吐血して倒れてしまう。

戦闘に参加する前に戦闘不能になってしまって、後にちょっと自身の不甲斐なさを感じる三人なのだった。
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