聖騎士なのに悪魔に惚れてしまったから、聖騎士辞めて押しかけてみた

後編◆ニコル視点

それは突然だった。

いきなり部屋の中にルネは現れて、俺に対して挨拶をしてきたんだ。

ちなみに、その時の俺は部屋の中でゴロゴロと寛いでいた。



「ニコル、愛している！私を抱いてほしい」

「ぎゃー！？誰ーーーっ！？」

俺が叫んでしまうのは仕方ないことだろう。

だって、いきなり部屋の中に知らない人が現れたら誰だってびっくりするだろ？

俺が尻尾を内股に挟んでプルプル震えていると、相手は礼儀正しく座り、俺に三指ついて頭を下げてきた。

………結婚の申し込みかよ。

内心そうツッコミを入れておく。

「私はルネ・フランシス。元聖騎士の23歳だ。ニコルを愛している。抱いてくれ」

「お断りだ侵入者」

「大丈夫、私は童貞処女だ」

「何が大丈夫なのかわかんねぇよ」

俺は冷ややかな眼差しをルネに向けた。



平穏とは、ある日突然壊れてしまうものなんだって今日ほど実感したことはない。

猫達がルネを離さないから、渋々ルネをここに住まわせることになった。

無理にルネを引き離そうものなら、俺が猫達に愛想を尽かされかねないくらい猫達がルネに懐いているんだ。

いつの間にそんなに………！？

あぁ、俺のにゃんにゃんハーレムがぁ………！！

でも、ルネが作ったキャットタワーにあんなにはしゃいで、なんて可愛いんだろうか。

………俺が前に買ったキャットタワーは最近飽きたって猫達に言われていたんだよな。

「ニコル、私の作ったキャットタワーはどうだ？」

「悔しいけれど、最高みたいだな」

「料理や掃除洗濯の腕もそこそこ自信あるぞ♡」

「クソっ！猫達のハートだけじゃなく、俺の胃袋まで掴む気か！！」

少し悪態をついたものの、いざルネの作った食事を食べてみるととても美味しくて、あっさりと俺の胃袋を掴まれてしまった。

なんだこのトロトロオムライスは、店出せるレベルじゃないか！

オニオンスープもポテサラもめちゃくちゃ美味しい！

それに、デザートのチーズケーキも濃厚でたまらない。

舌触りが滑らかで、何度も食べたくなるぐらい美味しい！

「やべぇ、嫁にほしい」

「不束者だが、よろしくお願い致します。婚姻届ならここにあるぞ。私の欄は記入済だ」

「展開が早い！？」



こうして、俺に嫁ができたんだ。

俺達、とても幸せに夫婦してるよ。