ヤクザの若頭、異世界で小汚い犬を拾ったらフェンリルだった

4◆親切な……ハードゲイな歌姫

拓真とレンはあれから移動して、町をみつけた。

レンはフェンリルに戻っているから、町が変態に驚くことはない。

町の人々は冒険者が多く服装は様々で、明らかに拓真の知る文化ではないから拓真は困惑した。

そして薄々日本じゃない気はしていたが、やっと確信を持って日本じゃないとわかる。

だが、外国でもなさそうな町に首を傾げる。

拓真にとって幸いなのは、皆武器を持っているから拓真がバールを持っていても不思議がられないということだ。

ただ、珍しい武器だなとは思われているようだが………。

「これからどないしよか………」

「ヘイボーイ！どうしたんだい？」

「ん？……っ！？」

困っている拓真に声をかける親切な人が現れたんだが、その人はとても驚く姿をしていた。

その見た目はまさしく、あの腰フリが有名なハードゲイな芸人のような見た目をしている。

唯一違うところをあげるならば、金髪の長髪なところだろうか？

股間のもっこりがちょっと気になる無害そうだけどなんか怖い男の人が、拓真に笑顔でフレンドリーに話しかけてきた。

「ボーイ見ない顔だね！新入りだろ？俺が助けてやるから何でも相談しな」

「……あ、ありがとう。助かるわぁ。右も左もわからんで困っとったんやわ。俺は拓真や」

なんだかノリが外国の映画に出てくる俳優ぐらいフレンドリーな人だなと拓真は思う。

ちょっと引きつつも、相手の親切を拓真は受け入れることにした。

「俺は歌姫ガンヴォルトだ。よし！じゃあ酒でも奢ろう。酒場にレッツゴー！」

「歌姫！？」

自称歌姫(！？)のガンヴォルトに酒場に案内されて、拓真とレンは飲食を奢ってもらった。



そして、拓真は自分の置かれた状況をやっと理解した。

ここは日本ではなく地球ですらない。

所謂異世界というやつで、この異世界にはたまに違う世界の存在が落ちてくるらしい。

つまり、拓真はこの世界にたまたま落ちてしまったというわけだ。

そしてこの世界の名前はシャンバルといい、この町はヤーンという。

ガンヴォルトは冒険者だそうだ。

ガンヴォルトの言った歌姫とは、戦闘でのジョブで歌って敵を攻撃するやつらしい………まさかジャイア○的なやつだろうか？

このジョブは男でもなれるが、男でも歌姫は歌姫らしい。

ガンヴォルトは仲良くなった証にと腰フリダンスを披露して、拓真とレンを歓迎してくれた。

………だがその姿はまさに、ハードゲイで有名なあの人のようだった。



お金がないという拓真にガンヴォルトは、冒険者になればいいというアドバイスをくれた。

そして拓真はガンヴォルトのススメもあり、冒険者にレンと共になるのだった。