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上◆うまい話には裏がある

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ここに二人のインキュバスがいる。

ガチムチのラーズに細マッチョのプリムラだ。

彼らは、美味しいゴハン(人間の精力)が得られなくて困っていた。

二人は所謂落ちこぼれというやつで、まともにゴハンが得られない。

はっきり言うと、人間に逃げられるから得られないのだ。

二人共イケメンなのだが、何故かいつも失敗する。

だから、落ちこぼれ同士で組むことにしているのだ。

「ラーズ、またダメだったな」

「あぁ、プリムラ……腹減ったな………」

二人はため息を吐くしかなかった。



そんな二人はある日、住処の森の中で明らかに困っている人間の少年に出会った。

「お、おいみろよラーズ!人間だぞ!」

「何、ゴハンだと!?プリムラ、これはチャンスに違いない!」

「だよな!」

二人は目をギラギラと光らせる。

人間=ゴハンな彼らは、困り果てる人間を放っておくなんて選択肢はあり得なかった。

だから、保護をすることに決めたのだ。

まぁ、保護という名の拉致監禁なのだが、バレないようにヤル気である。

そしてお食事コース………早い話が自分達専用のエッチして精力をもらうペットにする気なのだ。

腹ペコの二人は、この人間を絶対逃さないつもりで話しかけた。

「やぁ!何かお困りかな?」

「俺達に君を助けさせてよ!」

「実は僕、異世界転移したみたいで帰る家がないんです。それで困ってます」

「それは大変だ!じゃあ、俺達の家にくるといいよ!」

「そうだよ!歓迎するよ!」

「いいんですか!ありがとうございます!」

何も知らない保護された人間は、なんて親切な人達なんだと涙目で感動していた。

二人の腹積もりを知ったら、きっと感動を返せと叩いていたことだろう。

「あの、僕はまことっていいます。マコちゃんって呼んでください」

「俺はラーズだ」

「俺はプリムラだよ」

サラッとマコちゃんが異世界転移者だと暴露しているが、この世界は異世界転移やら転生やらがしょっちゅうある世界だから、二人はあまり気にならなかった。

なんなら、二人の知り合いに何人か異世界転移者と転生者がいるぐらいだ。

ちなみに、皆何かしらの特別な能力があるらしい。

恐らくマコちゃんにもあるだろうが、能力がある可能性を二人はマコちゃんに言わないつもりだ。

………逃げられたら困るから。

こうして、マコちゃんは二人についていってしまった。

監禁されるなんて夢にも思わないままに………。



「ところで、二人って何の種族なんですか?」

「インキュバスだよ」

「なるほど!初めてみました!」

羊みたいな角とコウモリみたいな羽と先っぽがハート型の尻尾、それがインキュバスの特徴である。

マコちゃんは無警戒にまじまじみつめて、無邪気に微笑むのだった。
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