僕の運命の番は魔王。闇堕ち主人公は勇者だったようだけど祖国にざまぁを決意する

ミクリ21 (新)

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16◆ジル視点

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私は泣きながらセルフィの部屋の窓からダイナミックお邪魔しますをした。

つまり、窓から部屋に入ったということね。

……何故なら、セルフィの部屋の窓が開いていたからよ。

「うわああん!セルフィもん~!」

「どうしたんですジルた君」

「私、私……ああああん!!」

大泣き中でまともに会話ができない私に、セルフィは黙って甘いクッキーとココアを用意する。

優しさに泣き止みながら、私は自棄食い自棄飲みみたいにもぐもぐごくごくと飲み食いをした。

……そして噎せてゲッホゲホと咳き込んでしまった。

セルフィが慌てて私の背中を撫でてくれて、落ち着いてきたからポツポツとシトリン様のことを話したの。

「なるほど……じゃあ、拳で語れば良かったのでは?」

「私、一応王族だからシトリン様より強いわ……」

仕方ないなとセルフィは保護者的なサムシングで相談を聞いてくれて少し元気が出た。



「あ、シトリン様近くに来てますね」

「気配探知ね。私、あわせる顔がないよ」

「では、ジル様は隠れていてください」

「……わかった」

そして私は、タンスの中に隠れた。

ん?この箱は何かしら?

つい気になって、いけないことなんだけど中をみてしまった私は、何も見なかったことにした。

だって私は、セルフィのパンドラボックスオトナの玩具箱を発見してしまったようだから……。

わ、私にはまだ早すぎる世界だったわ……。



私を探して走り回っていたらしいシトリン様をセルフィは回収して部屋に戻ってきた。

「ジル様、シトリン様はジル様の恋心にちゃんと気づけたらしいですよ。話聞きます?」

「ジル、そこにいるの?」

「え、私隠れた意味あった?」

タンスの扉の向こうから二人が声をかけてくる。

だから私は大人しくタンスから出たの。

……心做しか、パンドラボックスから離れられて安心しているわ。

「さっきはごめんねジル。ジルのこと、妹みたいにしか思ったことなかったけど、こんな僕で良かったら付き合ってくれ」

「シトリン様!はい、喜んで!シトリン様にちゃんと女の子としてみてもらえるように、今は妹でも私頑張るから大丈夫よ!」

「ジル……ありがとう」

シトリン様は穏やかに笑ってくれた。

なんだかんだで、シトリン様と付き合えて嬉しい。

これがきっと棚ぼたってやつなんだわ!

さっきは口論したけど、すぐに仲直りできて良かったと私も安心したよ。



「私、お兄様には負けないわ。深淵を背負うのはこの私よ!」

「うーん、ジルにとっての深淵がわからない」

「なんかかっこいいから言ってるの。深い意味はないのよ。……そして、それを自分で説明すると自分自身が深いダメージを心に負うものでもあるのよ」

「え、あ、ごめん……?」

私の中二病はシトリン様には理解が難しいらしいけど、それでもシトリン様は私を理解しようとしてくれている。

そんな優しいシトリン様が大好きよ。
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