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9◆レヴィ視点
しおりを挟む翌朝。
ざまぁの前に体力つけた方がいいということで、いきなり殴り込みには行かない。
魔剣を使い慣れるための練習だってあるしね。
セルフィに中庭に案内してもらって、胸元の紋章から魔剣を引き抜いた。
パアッと光った紋章から魔剣がシュンッと飛び出して、僕の手に握られる様子をみていたセルフィが何故かはしゃいでいたのが不思議だったよ。
「僕、剣術は未経験だけど、魔剣がそんな僕をサポートする。そんな感じがします」
「では、私がお相手をしてみましょう。剣の嗜みはありますが、あまり強くないからお手頃ですよ」
「よろしくお願いします」
そうして、僕はセルフィと模擬戦をすることに……。
……ちなみに、ユリウスは現在お仕事中だよ。
剣を交える衝撃が、体力がろくにない僕の身体に響く。
筋肉はいつも鉄球を持ち上げていたから多少はあるんだ。
「レヴィ様、大丈夫ですか?休みますか?」
「大丈夫です。続けてください」
魔剣をどう扱えばいいか、まるで魔剣が僕に教えるみたいにイメージできる。
軽く振るうだけでいい。
それだけで、僕が望む威力で力を発揮できるようだ。
「セルフィ、ボタンを一つ狙ってもいいですか?」
「ふふ、一つと言わずに全裸にしてもいいんですよ?」
「……いえ、それは遠慮します」
力の使い方がわかってきた僕は魔剣で狙いを定めて、ピンポイントでセルフィのボタンを一つ切り飛ばしてみせた。
「あん!♡」
「……セルフィ、何故セクシーな声を出すんですか……?あと、ボタンすみません」
「何故と聞かれたらサキュバスだからとお答えします。ボタンはすぐつけられるから大丈夫ですよ」
セルフィはニコリと微笑むと裁縫セットを素早く取り出し、目にも止まらぬ早さでボタンをつけ終わってしまう。
あれ、裁縫って魔法だったかな?
思わず何事もなかったみたいに元通りになったボタンを凝視してしまったのは仕方ない。
「ところで、セルフィ」
「はい、なんでしょう?」
「あの木の陰でこちらを覗きながらヨダレを垂らす少女は何者でしょうか……」
「ふぎゃっ!?」
木の陰に隠れていた少女が、自分のことを言われていると気づいて変な声を出した。
そして、大人しく出てきたけど変なポーズをシャキンッ!とキメている。
こう、片目を片手で隠して、もう片方は腰に添えてるポーズだ。
「バレているなら仕方ない。私は深淵の使者ジルコルニア・エーデルワイス!世界を裏から支配する者なり」
「ユリウス陛下の妹君のジル・シルファ様です。絶賛中二病で思春期の乙女なので、本名に不満を持ちほぼ偽名の名前を名乗ってます」
ちなみに、魔族の王族はシルファが家名だからユリウスもシルファである。
ついでに、セルフィはリリンが家名らしい。
僕のは……ドブにでも落ちてると思うよ。
「あっあっ、やめてバラさないで!?」
「王族が偽名名乗っていいんですか?」
「ダメなんですけどね……はぁ………」
「あっあっあっ、可哀想なモノをみる目で私をみないで!?」
セルフィになんともいえないような視線を食らったジルは、涙目でわたわたと慌てふためく。
すごく小動物っぽいけど、頭に立派な雄牛のような角が生えていた。
立派過ぎてなんか重そうと思ったのは心に秘めていよう。
……とりあえず、僕は温かい眼差しでジルが落ち着くのを待っていることにしたのだった。
ざまぁの前に体力つけた方がいいということで、いきなり殴り込みには行かない。
魔剣を使い慣れるための練習だってあるしね。
セルフィに中庭に案内してもらって、胸元の紋章から魔剣を引き抜いた。
パアッと光った紋章から魔剣がシュンッと飛び出して、僕の手に握られる様子をみていたセルフィが何故かはしゃいでいたのが不思議だったよ。
「僕、剣術は未経験だけど、魔剣がそんな僕をサポートする。そんな感じがします」
「では、私がお相手をしてみましょう。剣の嗜みはありますが、あまり強くないからお手頃ですよ」
「よろしくお願いします」
そうして、僕はセルフィと模擬戦をすることに……。
……ちなみに、ユリウスは現在お仕事中だよ。
剣を交える衝撃が、体力がろくにない僕の身体に響く。
筋肉はいつも鉄球を持ち上げていたから多少はあるんだ。
「レヴィ様、大丈夫ですか?休みますか?」
「大丈夫です。続けてください」
魔剣をどう扱えばいいか、まるで魔剣が僕に教えるみたいにイメージできる。
軽く振るうだけでいい。
それだけで、僕が望む威力で力を発揮できるようだ。
「セルフィ、ボタンを一つ狙ってもいいですか?」
「ふふ、一つと言わずに全裸にしてもいいんですよ?」
「……いえ、それは遠慮します」
力の使い方がわかってきた僕は魔剣で狙いを定めて、ピンポイントでセルフィのボタンを一つ切り飛ばしてみせた。
「あん!♡」
「……セルフィ、何故セクシーな声を出すんですか……?あと、ボタンすみません」
「何故と聞かれたらサキュバスだからとお答えします。ボタンはすぐつけられるから大丈夫ですよ」
セルフィはニコリと微笑むと裁縫セットを素早く取り出し、目にも止まらぬ早さでボタンをつけ終わってしまう。
あれ、裁縫って魔法だったかな?
思わず何事もなかったみたいに元通りになったボタンを凝視してしまったのは仕方ない。
「ところで、セルフィ」
「はい、なんでしょう?」
「あの木の陰でこちらを覗きながらヨダレを垂らす少女は何者でしょうか……」
「ふぎゃっ!?」
木の陰に隠れていた少女が、自分のことを言われていると気づいて変な声を出した。
そして、大人しく出てきたけど変なポーズをシャキンッ!とキメている。
こう、片目を片手で隠して、もう片方は腰に添えてるポーズだ。
「バレているなら仕方ない。私は深淵の使者ジルコルニア・エーデルワイス!世界を裏から支配する者なり」
「ユリウス陛下の妹君のジル・シルファ様です。絶賛中二病で思春期の乙女なので、本名に不満を持ちほぼ偽名の名前を名乗ってます」
ちなみに、魔族の王族はシルファが家名だからユリウスもシルファである。
ついでに、セルフィはリリンが家名らしい。
僕のは……ドブにでも落ちてると思うよ。
「あっあっ、やめてバラさないで!?」
「王族が偽名名乗っていいんですか?」
「ダメなんですけどね……はぁ………」
「あっあっあっ、可哀想なモノをみる目で私をみないで!?」
セルフィになんともいえないような視線を食らったジルは、涙目でわたわたと慌てふためく。
すごく小動物っぽいけど、頭に立派な雄牛のような角が生えていた。
立派過ぎてなんか重そうと思ったのは心に秘めていよう。
……とりあえず、僕は温かい眼差しでジルが落ち着くのを待っていることにしたのだった。
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