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11◆マリク視点

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「マリク、もうここには来ないでくれ」

何か思いつめている様子のカリスは、突然俺にそう言った。

「なんでだ?」

「もう来ないでほしいからだよ」

冷たい言葉で突き放されるけれど、俺はカリスのことが好きだから、来ないでなんて言われても納得できない。

そんな言葉でカリスから離れることはできない。

告白するタイミングを伺っていたが、そろそろ言う時なんだろうな。

ということで、俺はカリスに告白を【ガンガン行こうぜ!】的な感じですることにした。

「カリス、俺はカリスのことが好きだ」

「………え?」

「好きだ!」

「あ、はい」

「付き合ってくれるのか!?」

「はぁ………え!?」

「ありがとう!カリスのこと大切にするからな!」

「ちょ!!」

この告白方法だが、勢いで断らせないのがコツだと父に聞いたことがあるんだ。

父は母に告白する時、絶対に恋人にするためにそれはもうガンガン行ったとか………話が脱線したな。

困惑するカリスを抱きしめると、恥ずかしそうに赤面してカリスは俺を殴ってしまう。

照れ屋さんなんだな。

「おまっ!おまっ!」

「おまる?」

「お前!!俺は付き合うなんて言ってない!」

「はいって言ったろ」

「そういう意味のはいじゃない!コントかよ!」

「俺の何が不満なんだ」

威嚇する猫のようなカリスは、少し俯いて俺から距離をとった。

そして、俺をみつめたと思うとボソッと呟く。

「俺は……俺はもうすぐ人殺しになる。だから、俺に恋するのはやめろ。犯罪者なんて愛せないだろ?」

「人殺し?」

「俺は友達を……初恋の人を殺すかもしれない。まだ可能性だけど、きっと殺すと思う。………あの子を許せないんだ」

悲しそうなカリスが、まるで捨てられた猫みたいにみえる。

カリスは、本当は俺に止めてほしいんじゃないだろうか?

じゃなかったら、何故そんなことを探偵の俺に言うんだ。

本当は、その友達を殺したくないんだろう。

「カリス、殺してもその恨みは晴れない。カリスがずっと後悔するだけだ。だから、ちゃんと後悔しないやり方を考えよう。俺も一緒に考えるから」

「マリク………」

カリスの瞳が揺れて涙を流す。

そして、カリスは教えてくれた。

カリスの正体を………。
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