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3◆カリス視点
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《今宵、ロンタナ伯爵夫人の【魅せるネックレス】を頂きに参ります。byパンナコッタ》
今日の獲物はロンタナ伯爵夫人が持つ魔道具。
ネックレスみたいな見た目してるけど、ジャンルは装飾品ではない。
どういう魔道具かというと、使用者の想い人を魅了して両想いになるようにできる魔道具だ。
ちなみに父様はこれを没作品として仕舞っていた。
たとえ没作品でも父様の魔道具は返してもらう。
俺は女装をして身も心もパンナコッタになりきった。
「よーし!今夜も頑張って獲物をゲットよ♡」
転移魔術で伯爵の屋敷にレッツ・ゴー!
「ええい!忌々しいこそ泥ね。私のネックレスを狙うなんて!!」
伯爵夫人はさっきから扇をバキバキ折っていて、隣で伯爵がオロオロしている。
伯爵の瞳はちゃんと自我があるようで、魅了されて添い遂げているわけじゃないようだ。
これならネックレスを奪った後に二人が離縁…なんてことにはならないだろう。(たぶん)
俺は今、メイドに紛れて夫人の近くて紅茶を入れている。
メイドの顔なんてよく覚えてないもんだよな。
そこに、俺をつけ狙う(追いかけ回す)探偵がやってきた。
チッ。
お前どこにでもいるけど、他の案件の仕事もしろよな!
「奥様、パンナコッタはもうこの屋敷内にいます」
「なんですって!?」
なんでわかるんだよ!?
この探偵マリクは、野生の勘みたいなものが鋭いのかしょっちゅう俺をみつけだせている。
はっきり言って迷惑だな。
「奥様、そのメイドが怪しいのですが……」
「え!?」
「チッ」
バレてしまったので、夫人の首からネックレスを引っ張り奪った。
「きゃー!」
「待て!パンナコッタ!」
「待たないわよ♡」
俺は魔術で室内に濃い霧を発生させて、召喚魔術でスライムを出す。
スライムが警備も探偵も夫人も伯爵も皆を足止めしてくれて、俺は三階の窓から外に飛び出した。
追いつかれる前に転移魔術でおさらばさ!
「パンナコッタ!!」
「じゃあね~♡」
俺は帰宅すると異空間収納に魔道具と女装セットをしまう。
この異空間収納は俺のオリジナル魔術だ。
だから使えるのは俺しかいないし、そういう魔術の存在は知られていない。
男に戻った俺はいつもの平凡な自分になる。
魔術なんて初歩中の初歩がちょびっとだけしか使えないように演じて平民に紛れ込む。
俺がみつからないように、怪盗がみつからないようにそうするんだ。
今日の獲物はロンタナ伯爵夫人が持つ魔道具。
ネックレスみたいな見た目してるけど、ジャンルは装飾品ではない。
どういう魔道具かというと、使用者の想い人を魅了して両想いになるようにできる魔道具だ。
ちなみに父様はこれを没作品として仕舞っていた。
たとえ没作品でも父様の魔道具は返してもらう。
俺は女装をして身も心もパンナコッタになりきった。
「よーし!今夜も頑張って獲物をゲットよ♡」
転移魔術で伯爵の屋敷にレッツ・ゴー!
「ええい!忌々しいこそ泥ね。私のネックレスを狙うなんて!!」
伯爵夫人はさっきから扇をバキバキ折っていて、隣で伯爵がオロオロしている。
伯爵の瞳はちゃんと自我があるようで、魅了されて添い遂げているわけじゃないようだ。
これならネックレスを奪った後に二人が離縁…なんてことにはならないだろう。(たぶん)
俺は今、メイドに紛れて夫人の近くて紅茶を入れている。
メイドの顔なんてよく覚えてないもんだよな。
そこに、俺をつけ狙う(追いかけ回す)探偵がやってきた。
チッ。
お前どこにでもいるけど、他の案件の仕事もしろよな!
「奥様、パンナコッタはもうこの屋敷内にいます」
「なんですって!?」
なんでわかるんだよ!?
この探偵マリクは、野生の勘みたいなものが鋭いのかしょっちゅう俺をみつけだせている。
はっきり言って迷惑だな。
「奥様、そのメイドが怪しいのですが……」
「え!?」
「チッ」
バレてしまったので、夫人の首からネックレスを引っ張り奪った。
「きゃー!」
「待て!パンナコッタ!」
「待たないわよ♡」
俺は魔術で室内に濃い霧を発生させて、召喚魔術でスライムを出す。
スライムが警備も探偵も夫人も伯爵も皆を足止めしてくれて、俺は三階の窓から外に飛び出した。
追いつかれる前に転移魔術でおさらばさ!
「パンナコッタ!!」
「じゃあね~♡」
俺は帰宅すると異空間収納に魔道具と女装セットをしまう。
この異空間収納は俺のオリジナル魔術だ。
だから使えるのは俺しかいないし、そういう魔術の存在は知られていない。
男に戻った俺はいつもの平凡な自分になる。
魔術なんて初歩中の初歩がちょびっとだけしか使えないように演じて平民に紛れ込む。
俺がみつからないように、怪盗がみつからないようにそうするんだ。
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