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6◆リンレイ視点

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僕はリンレイ。

神シャルロ様に仕える下僕。

人は僕を、時に天使と呼び、時に悪魔と呼び、時に死神と呼ぶけれど、実際はどれでもない。

下僕は下僕、それ以下でもそれ以上でもない。

「リンレイ」

「はい、僕の愛しのシャルロ様」

愛しいシャルロ様が、不機嫌そうに僕を呼ぶ。

あぁ、シャルロ様は不機嫌でも最高に美しく可憐だね。

思わず踏まれたくなったよ。

「僕のオモチャが逃げちゃったから、連れ戻してきてよ」

「異世界に飛んだ勇者と魔王ですね」

シャルロ様が、勇者と魔王の殺し合いに盛り上がっている時、何故かその二人は異世界に行ってしまった。

ショックを受けたシャルロ様は、怒りで僕を何度も鞭打ちしてきて………僕は何度もイッたよ。

「そう。僕のオモチャのくせに、逃げるなんて生意気。許せないなー。躾してやんなきゃだよね?」

「シャルロ様の仰る通りです」

「だよねー!でさ、どの異世界かはもうわかってるから、早くしてよね」

「わかりました」

僕の愛しのシャルロ様。

貴方が望むなら、必ず勇者と魔王を連れて帰るよ。

でも………。

失敗したら、またお仕置きや八つ当たりを僕に向けてくれるかな?

卑しい僕は、シャルロ様にいじめられたくてわざと失敗しようかとちょっと考えてしまう。

まぁ、とりあえず指定された異世界に行くことにしようか。

僕は、シャルロ様が出した扉で異世界に向かった。



それにしても、異世界に行くには必ず神の力が必要だ。

つまり、シャルロ様は他の神に何故か嫌がらせをされたということになる。

まったく、シャルロ様の娯楽を妨害なんて、神でも万死に値する案件だ。

だが、神にも序列というものがあるから、犯人がシャルロ様より順位が高かったら手を出せない。

シャルロ様の娯楽を妨害した犯人は、順位の低い神であることを祈るばかりだ。
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