4 / 9
3◆セトはよく誘拐される
しおりを挟む
この国の王太子であるセトは、甘いものが大好きな攻略対象だ。
セト関連のシナリオは甘いものが深く関わる。
セトには護衛騎士グランと護衛魔術師サフランという側近がいて、二人も攻略対象だ。
プレゼントに甘いものを渡せば好感度が急激に上がって攻略しやすく、プレイヤー達からはチョロセトと密かに言われているらしい。
推しがセトのプレイヤーのセーブデータで仕事をした。
終わった後にこのゲームの主人公セインが、天使の無垢な微笑みを一瞬で真顔にしているのはいつものことだ。
セインのオンオフの切り替えはいつみてもちょっと怖い………。
セインとサフランと三人でおやつを食べていると、慌てた様子のグランがやってきた。
あぁ、この流れはきっと………。
「セトがまたお菓子で誘拐された!」
やはり、またセトがモブ達に誘拐されたようだ。
「今回の犯人は?」
「保険医だ!今日のおやつはマドレーヌなのに、フィナンシェをチラつかせられて………。早くセトを回収しないと、セトが食事を食べられくなるから一緒に迎えにいくぞ!!」
「仕方ないな」
どんなに好きでも甘いものは嗜好品。
食事が食べられないことになるわけにはいかないのだ。
だから、皆で保険室に向かうのだった。
この世界には、制作者が作ったシナリオ以外に事件は起きない。
けれど、平和だからこそ起きる事件というものも存在するものだ。
甘いものを与えれば幼子のように可愛くなるセトは、モブ達の母性的なものを刺激している。
だからこそ、こうして誘拐が起きるのだ。
放っておくとモブ達はセトに甘いものを与えたいだけ与えるので、セトがご飯を食べられなくなるという事態に陥る。
だから、早く回収しないといけない。
だが、セトは甘いものの前では満足するまで自力では離れないのだ。
無理矢理回収するには人数がいるのである。
だからグランは僕達を呼びにきた。
結局、セトはフィナンシェを腹五分目ぐらいまで食べたらしい。
マドレーヌは残念ながらお預けになったから、セトは泣いてしまった。
「マドレーヌ食べたい……ローレン、マドレーヌ食べたい………」
「……っ!………ダメ」
「ふえぇっ!!」
………夜ご飯よりもマドレーヌを食べたいとセトは言ったけれど、それは全員で却下したよ。
落ち込むセトを励ますために、僕はセトの尻を揉む。
頭を撫でるよりも、背中をさするよりも、何故か尻を揉む方が嬉しそうなのなんでなんだろうね。
そして一緒のベッドで寝たら、セトはマドレーヌへの未練を翌日に引きずることはなかった。
良きかな良きかな。
セト関連のシナリオは甘いものが深く関わる。
セトには護衛騎士グランと護衛魔術師サフランという側近がいて、二人も攻略対象だ。
プレゼントに甘いものを渡せば好感度が急激に上がって攻略しやすく、プレイヤー達からはチョロセトと密かに言われているらしい。
推しがセトのプレイヤーのセーブデータで仕事をした。
終わった後にこのゲームの主人公セインが、天使の無垢な微笑みを一瞬で真顔にしているのはいつものことだ。
セインのオンオフの切り替えはいつみてもちょっと怖い………。
セインとサフランと三人でおやつを食べていると、慌てた様子のグランがやってきた。
あぁ、この流れはきっと………。
「セトがまたお菓子で誘拐された!」
やはり、またセトがモブ達に誘拐されたようだ。
「今回の犯人は?」
「保険医だ!今日のおやつはマドレーヌなのに、フィナンシェをチラつかせられて………。早くセトを回収しないと、セトが食事を食べられくなるから一緒に迎えにいくぞ!!」
「仕方ないな」
どんなに好きでも甘いものは嗜好品。
食事が食べられないことになるわけにはいかないのだ。
だから、皆で保険室に向かうのだった。
この世界には、制作者が作ったシナリオ以外に事件は起きない。
けれど、平和だからこそ起きる事件というものも存在するものだ。
甘いものを与えれば幼子のように可愛くなるセトは、モブ達の母性的なものを刺激している。
だからこそ、こうして誘拐が起きるのだ。
放っておくとモブ達はセトに甘いものを与えたいだけ与えるので、セトがご飯を食べられなくなるという事態に陥る。
だから、早く回収しないといけない。
だが、セトは甘いものの前では満足するまで自力では離れないのだ。
無理矢理回収するには人数がいるのである。
だからグランは僕達を呼びにきた。
結局、セトはフィナンシェを腹五分目ぐらいまで食べたらしい。
マドレーヌは残念ながらお預けになったから、セトは泣いてしまった。
「マドレーヌ食べたい……ローレン、マドレーヌ食べたい………」
「……っ!………ダメ」
「ふえぇっ!!」
………夜ご飯よりもマドレーヌを食べたいとセトは言ったけれど、それは全員で却下したよ。
落ち込むセトを励ますために、僕はセトの尻を揉む。
頭を撫でるよりも、背中をさするよりも、何故か尻を揉む方が嬉しそうなのなんでなんだろうね。
そして一緒のベッドで寝たら、セトはマドレーヌへの未練を翌日に引きずることはなかった。
良きかな良きかな。
30
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
つまりは相思相愛
nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。
限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。
とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。
最初からR表現です、ご注意ください。
イケメンの後輩にめちゃめちゃお願いされて、一回だけやってしまったら、大変なことになってしまった話
ゆなな
BL
タイトルどおり熱烈に年下に口説かれるお話。Twitterに載せていたものに加筆しました。Twitter→@yuna_org
好きだと伝えたい!!
えの
BL
俺には大好きな人がいる!毎日「好き」と告白してるのに、全然相手にしてもらえない!!でも、気にしない。最初からこの恋が実るとは思ってない。せめて別れが来るその日まで…。好きだと伝えたい。
同室のアイツが俺のシャワータイムを侵略してくるんだが
カシナシ
BL
聞いてくれ。
騎士科学年一位のアイツと、二位の俺は同じ部屋。これまでトラブルなく同居人として、良きライバルとして切磋琢磨してきたのに。
最近のアイツ、俺のシャワー中に絶対入ってくるんだ。しかも振り向けば目も合う。それとなく先に用を済ませるよう言ったり対策もしてみたが、何も効かない。
とうとう直接指摘することにしたけど……?
距離の詰め方おかしい攻め × 女の子が好きなはず?の受け
短編ラブコメです。ふわふわにライトです。
頭空っぽにしてお楽しみください。
禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる