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この日、アイリの婚約者である王子マイケルはやらかした。

王族主催のダンスパーティーで、浮気相手ナージャを片腕に抱きながら、まるで勝者のようなニヤニヤ顔でアイリに宣言した。

「アイリ、君を婚約破棄する!」

「あ~ん!マイケル様かっこいい~!」

周りがざわざわする中、ナージャは目をハートにして相の手を打つようにマイケルを褒め称えた。

マイケルは自分に酔いしれて、婚約破棄を突き付ける俺かっこいいと思いながら、何故かイナ○ウアーをお披露目する。

マイケルは有頂天になりすぎると、たまにイナ○ウアーするクセがあるのだ。

ちなみに、皆からマイケルうざいと思われていたりする。

「まぁ、マイケル様……何故婚約破棄するのですか?」

おっとりと、でも微かにビックリしているアイリはマイケルに問いかけた。

マイケルの姿勢が仁王立ちに戻る。

「アイリにはわからないだろうな。ナージャは俺にジャストフィットするんだ」

胸を張るマイケルに、アイリは首を傾げて考えてみた。

アイリにはわからないジャストフィットとは………?

「ジャストフィット………?まぁ!まさか、まだ未婚なのに合体を!?婚約者がいる身で!?破廉恥ですわ!!」

「そんな意味じゃないわーーー!?あと、合体とか淑女が言うな!!」

「では、まさかナージャ様のお胸とマイケル様の手がジャストフィットだと!?やっぱり破廉恥ですわ!!ケダモノ!!」

「だから違う!!下ネタから離れろ!!」

「ちなみに、全て冗談ですわよ」

周りが等しくずっこけた。

マイケルもナージャも例外なくずっこけた。

アイリは一人穏やかにオホホと笑っている。

「それはさておき」

「おい!?」

「浮気する殿方など私もお断りですわ。婚約破棄は受け入れますが、マイケル様の有責なので覚悟なさいませ」

「慰謝料なんか痛くも痒くもない!」

「あ~ん!マイケル様素敵~!」

「なんなら、アイリは側室ぐらいにならしてやってもいいんだぞ?」

「いや~ん!マイケル様私だけをみて~!」

「俺はナージャだけを愛してる」

「きゃ~ん!マイケル様私も愛してる~!」

ナージャはよくこうやって叫んでから何か言うので、ナージャも周りからうざいと思われていた。

しかし、マイケルとナージャはいつも二人の世界にどっぷり浸かっているから、周りからうざいと思われていることに気づかないのだ。

ここでアイリはマイケルに爆弾発言を投げつけることにした。
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