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12◆俺の夢(ラティス視点

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『マスター、猫を拾いました』

出会いは、俺がまだただの魔物で子供だった頃。

あの子は俺を猫だと思って家に連れ帰ったんだ。

額から角が生えているのに、コイツはバカなのかと思ったのが最初の印象。

『え、猫拾ったの?……って、ジゼルそれ雷炎黒豹ライエンコクヒョウの子供じゃないかな!?』

『猫です』

『猫科ではあるだろうけど、猫ではないよ。魔物だからね』

『………飼ってはダメですか?ちゃんとお世話します』

『えぇ……』

雷炎黒豹とは、雷と炎を操る黒豹の魔物だ。

魔物の脅威度はS~Fまであり、雷炎黒豹は成獣でAだ。

まぁ、まだ子供だった俺はせいぜいCだったけどな。

あの子は、俺を飼いたいとマスターとやらにお願いして、俺はしばらく飼われることになった。

殺ろうと思えばできたし、逃げようと思えばできたが、俺はしなかったんだ。

………あの子に、惹かれたから。

あの子はオートマタだった。

感情が未発達で、見た目に反して幼いあの子は俺を大切にしてくれた。

可愛いあの子と、ちょっと抜けてる感じがするマスターと、猫扱いの俺。

楽しい日々だったんだ。

………現実の残酷さに気付くまでは。

俺は日々成長して、マスターも人間として歳を重ねて……だが、あの子は成長しない。

オートマタだから、心が育っても身体は育たないんだ。

その先にある未来は………マスターとの死別。

きっとあの子は悲しむ。

きっと泣いてしまう。

それでも……あの子を大事にするマスターは、あの子に生きることを望むだろう。

………あの子がどれだけ孤独を感じてしまったとしても。

俺は、気付いてしまったから……。

その未来に気付いてしまったから、心に決めたんだ。

俺があの子と共に生きようと。

それは俺の夢になった。



夢を叶えるために、俺はあの子の下から去ってひたすらに強くなるために修行をしたんだ。

強くなっていく内に、いつの間にか俺は人化ができるようになり、ただの魔物から魔族に進化していた。

俺は、十分な力を手に入れたんだ。

だから、あの子を迎えに行ったんだ。

………でも、あの子はあの家にはいなかった。

あの子の匂いを辿ってみるが、やはりみつからない。

あの子はどこに行ったのか……そう思っていた。

バカな竜人の女が、居場所を教えてくれた上に案内までしてくれるらしい。

俺を利用する気なんだよな?

でも、本当はアンタが俺に利用されているのさ。

あの子の死を望むアンタだからな………利用し終わったら、遠慮なくアンタを処分するよ。



待っていてくれ……俺の愛する可愛いジゼル。
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