上 下
9 / 17

9◆自称婚約者現れる

しおりを挟む
数日が過ぎたある日、目の前に変な女の子が道を塞ぐように現れた。

オオアリクイの威嚇のポーズを何故かしているドレス姿の女の子が、目を吊り上げて俺を睨みつける。

「貴様、調子に乗るなですわ!」

「……誰ですか」

いきなり調子に乗るなと言われても、何のことか俺にはわからない。

あと、誰だこの人。

俺が困惑していると、女の子は俺を見下すように鼻で笑った。

「この私を知らないなんて、不敬で愚かな雑魚人形ですわね!雑ー魚、雑ー魚!」

「……」

やたら雑魚雑魚とからかってくる女の子に、俺はそういえばと思い出す。

メスガキ文化というのを聞いたことがある。

生意気な女性のことだったと思うけれど、俺にはよくわからない文化だ。

印象的なのは、何故か雑魚雑魚と言いたくなる人種ということかな。

「聞いて驚きなさい!私の尊い名前を教えてあげるわ!」

「いえ、結構です」

今忙しいので。

「聞きなさいよ!私はミレイユ、リューレン様の婚約者よ!さぁ、驚きなさい!」

構ってちゃんか。

「……わ、わぁ、おったまげー!」

渋々俺は驚いてみせた。

「………何か期待してた反応と違う」

何故かしょんぼりしているミレイユ。

言われた通りに驚いたのに解せないな。

とりあえず、今仕事の途中だったりするのでもういいだろうか?

ポーションを他の部所に運んでいるところなのだ。

俺は、しょんぼりしているミレイユを放っていくことにした。



薬品開発部にて。

「ミレイユ様?あぁ、自称婚約者の令嬢ね」

「自称?」

モリノ曰く、ミレイユは婚約者ではないらしい。

昔一度だけ婚約者候補にはなったらしいが、リューレンの全力拒否でその話はすぐになくなったそうだ。

しかしミレイユは完全にリューレンに惚れていて、自分はリューレンの婚約者と言いふらしているそうな………。

モリノと会話をしていると、開発部にアマギが速歩きでやってきた。

「ジゼル君、ミレイユ様に会ったと聞きました。これを肌見離さず持っていてください」

「これは?」

「防犯ブザーです。発動すると………ヤバいことが起きます」

「ヤバいことってなんですか!?」

「めちゃくちゃヤっバいことです」

俺はアマギに防犯ブザーを渡された。

紐を引っ張るタイプらしいけど、発動したらどうなるんだ。

ヤバいって何!?

防犯ブザーって大きな音を出す物って認識だけど、違うんだろうか。

俺は発動する機会がこないことを祈るのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バイト先のお客さんに電車で痴漢され続けてたDDの話

ルシーアンナ
BL
イケメンなのに痴漢常習な攻めと、戸惑いながらも無抵抗な受け。 大学生×大学生

変態お父さんに騙されて育ったけれど幸せです❤︎

Sara
BL
純粋でちょっぴりおバカな可愛い男の子が、実父から間違った性教育を受けて、えっちなお嫁さんにさせられてしまう話。

目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。 彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。 ……あ。 音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。 しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。 やばい、どうしよう。

ご主人様に調教される僕

猫又ササ
BL
借金のカタに買われた男の子がご主人様に調教されます。 調教 玩具 排泄管理 射精管理 等 なんでも許せる人向け

EDEN ―孕ませ―

豆たん
BL
目覚めた所は、地獄(エデン)だった―――。 平凡な大学生だった主人公が、拉致監禁され、不特定多数の男にひたすら孕ませられるお話です。 【ご注意】 ※この物語の世界には、「男子」と呼ばれる妊娠可能な少数の男性が存在しますが、オメガバースのような発情期・フェロモンなどはありません。女性の妊娠・出産とは全く異なるサイクル・仕組みになっており、作者の都合のいいように作られた独自の世界観による、倫理観ゼロのフィクションです。その点ご了承の上お読み下さい。 ※近親・出産シーンあり。女性蔑視のような発言が出る箇所があります。気になる方はお読みにならないことをお勧め致します。 ※前半はほとんどがエロシーンです。

咳が苦しくておしっこが言えなかった同居人

こじらせた処女
BL
 過労が祟った菖(あやめ)は、風邪をひいてしまった。症状の中で咳が最もひどく、夜も寝苦しくて起きてしまうほど。 それなのに、元々がリモートワークだったこともあってか、休むことはせず、ベッドの上でパソコンを叩いていた。それに怒った同居人の楓(かえで)はその日一日有給を取り、菖を監視する。咳が止まらない菖にホットレモンを作ったり、背中をさすったりと献身的な世話のお陰で一度長い眠りにつくことができた。 しかし、1時間ほどで目を覚ましてしまう。それは水分をたくさんとったことによる尿意なのだが、咳のせいでなかなか言うことが出来ず、限界に近づいていき…?

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...