龍神様は大事な宝玉を昔無くしたらしい。その大事な宝玉、オートマタの俺の心臓なんですけど!?

ミクリ21 (新)

文字の大きさ
上 下
9 / 17

9◆自称婚約者現れる

しおりを挟む
数日が過ぎたある日、目の前に変な女の子が道を塞ぐように現れた。

オオアリクイの威嚇のポーズを何故かしているドレス姿の女の子が、目を吊り上げて俺を睨みつける。

「貴様、調子に乗るなですわ!」

「……誰ですか」

いきなり調子に乗るなと言われても、何のことか俺にはわからない。

あと、誰だこの人。

俺が困惑していると、女の子は俺を見下すように鼻で笑った。

「この私を知らないなんて、不敬で愚かな雑魚人形ですわね!雑ー魚、雑ー魚!」

「……」

やたら雑魚雑魚とからかってくる女の子に、俺はそういえばと思い出す。

メスガキ文化というのを聞いたことがある。

生意気な女性のことだったと思うけれど、俺にはよくわからない文化だ。

印象的なのは、何故か雑魚雑魚と言いたくなる人種ということかな。

「聞いて驚きなさい!私の尊い名前を教えてあげるわ!」

「いえ、結構です」

今忙しいので。

「聞きなさいよ!私はミレイユ、リューレン様の婚約者よ!さぁ、驚きなさい!」

構ってちゃんか。

「……わ、わぁ、おったまげー!」

渋々俺は驚いてみせた。

「………何か期待してた反応と違う」

何故かしょんぼりしているミレイユ。

言われた通りに驚いたのに解せないな。

とりあえず、今仕事の途中だったりするのでもういいだろうか?

ポーションを他の部所に運んでいるところなのだ。

俺は、しょんぼりしているミレイユを放っていくことにした。



薬品開発部にて。

「ミレイユ様?あぁ、自称婚約者の令嬢ね」

「自称?」

モリノ曰く、ミレイユは婚約者ではないらしい。

昔一度だけ婚約者候補にはなったらしいが、リューレンの全力拒否でその話はすぐになくなったそうだ。

しかしミレイユは完全にリューレンに惚れていて、自分はリューレンの婚約者と言いふらしているそうな………。

モリノと会話をしていると、開発部にアマギが速歩きでやってきた。

「ジゼル君、ミレイユ様に会ったと聞きました。これを肌見離さず持っていてください」

「これは?」

「防犯ブザーです。発動すると………ヤバいことが起きます」

「ヤバいことってなんですか!?」

「めちゃくちゃヤっバいことです」

俺はアマギに防犯ブザーを渡された。

紐を引っ張るタイプらしいけど、発動したらどうなるんだ。

ヤバいって何!?

防犯ブザーって大きな音を出す物って認識だけど、違うんだろうか。

俺は発動する機会がこないことを祈るのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】悪役令嬢の復讐(改)全6話

325号室の住人
BL
初出 2021/10/08 2022/11/02 改稿、再投稿 わたくしマデリーンは18歳の誕生日の今日、2歳年上の第2王子から婚姻式をブッチされました。 「お前は国外追放だ!!」 と、花嫁衣装のまま国境の森に追放。 良いですわ。そちらがその気なら……… 悪役令嬢が国外追放に決まった時、友人達はプランBで、動き出した。

【完】姉の仇討ちのハズだったのに(改)全7話

325号室の住人
BL
姉が婚約破棄された。 僕は、姉の仇討ちのつもりで姉の元婚約者に会いに行ったのに…… 初出 2021/10/27 2023/12/31 お直し投稿 以前投稿したことのあるBLのお話です。 完結→非公開→公開 のため、以前お気に入り登録していただいた方々がそのままお気に入り登録状態になってしまっております。 紛らわしく、申し訳ありません。

あいつと俺

むちむちボディ
BL
若デブ同士の物語です。

できる執事はご主人様とヤれる執事でもある

ミクリ21 (新)
BL
執事×ご主人様。

君と秘密の部屋

325号室の住人
BL
☆全3話 完結致しました。 「いつから知っていたの?」 今、廊下の突き当りにある第3書庫準備室で僕を壁ドンしてる1歳年上の先輩は、乙女ゲームの攻略対象者の1人だ。 対して僕はただのモブ。 この世界があのゲームの舞台であると知ってしまった僕は、この第3書庫準備室の片隅でこっそりと2次創作のBLを書いていた。 それが、この目の前の人に、主人公のモデルが彼であるとバレてしまったのだ。 筆頭攻略対象者第2王子✕モブヲタ腐男子

龍神様の神使

石動なつめ
BL
顔にある花の痣のせいで、忌み子として疎まれて育った雪花は、ある日父から龍神の生贄となるように命じられる。 しかし当の龍神は雪花を喰らおうとせず「うちで働け」と連れ帰ってくれる事となった。 そこで雪花は彼の神使である蛇の妖・立待と出会う。彼から優しく接される内に雪花の心の傷は癒えて行き、お互いにだんだんと惹かれ合うのだが――。 ※少々際どいかな、という内容・描写のある話につきましては、タイトルに「*」をつけております。

処理中です...