上 下
1 / 17

1◆オートマタの俺

しおりを挟む
オートマタとは、人間みたいに考えたり喋ったり動く人工的に作られた人形だ。

作成者によっては限りなく人間そっくりに作られている。

俺の名前はジゼルといって、見た目は少年ぐらいかな。

色白の肌に、白い短髪に、赤と黄色のオッドアイ。

だいぶ昔に作られたんだけれど、俺を作ったマスターは少し前にその息を止めてしまったんだ。

俺が作られた時は、マスターはまだ20歳そこそこの若い人だったのに、90歳になったマスターは穏やかに亡くなってしまった。

残された俺は、ただ1人止まることもできずに動き続けるしかない。



「こんにちは、少しいいだろうか?」

「こんにちは、旅の方。買い物ですか?」

俺はマスターがいなくなった後、マスターから教わったポーション作りの知識で一人暮らしをしていた。

マスターのいない家はとても寂しいけれど、それでも俺は、ここを離れるということを選べなかったから。

こうしてたまにポーションを買う人のお陰で、一人でも生活できている。

俺はかなり人間に近くできてるから、生きるために食事が必要なんだ。

なくても生きられるけど、空腹の辛さというやつを感じるのが辛いからな……質素なものでいいから食べときたい。

「買い物ではないが、オススメがあれば買おう」

「ありがとうございます!買い物ではないって、では違うご要件でしたか?」

「あぁ、探し物をな」

ローブのフードを深く被る男は、俺の顎をいきなり顎グイしたと思ったら、至近距離で瞳をみつめてきて………。

って、いきなり何すんだ!?

思わず赤くなってしまったじゃないか!!

「旅の方、いきなり何を……」

赤と黄色のオッドアイが俺をみつめる。

その瞳は、なんだか見覚えがある気がした。

そう、俺の瞳と同じ色のオッドアイだ。

「みつけた」

「え?」

男の白い長髪がゆらりと揺れる。

「私は龍神リューレン、その昔大事な宝玉を無くしてしまったんだ。龍神の宝玉は魂の一部。やっとみつけた」

「宝玉……って、まさか……」

「お前の中にある」

俺の心臓には、とある宝玉が使われている。

それは、マスターがたまたま拾った宝玉だったらしい。

膨大な力を宿す宝玉は、俺というオートマタの性能をグッと上げて、より人間に近くすることができた。

つまり、どういうことかというと。

俺から宝玉を抜き取れば、俺は機能を停止する。

人間的にいうと、死ぬということだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

黄色い水仙を君に贈る

えんがわ
BL
────────── 「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」 「ああ、そうだな」 「っ……ばいばい……」 俺は……ただっ…… 「うわああああああああ!」 君に愛して欲しかっただけなのに……

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

フルチン魔王と雄っぱい勇者

ミクリ21
BL
フルチンの魔王と、雄っぱいが素晴らしい勇者の話。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

処理中です...