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11◆要視点
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俺がダンジョン内で蒼介を尾行している時に、蒼介は謎の扉を開けて中に消えた。
チャンネルは不自然な形で切れてしまい、俺は焦って扉を開けようと走り寄る。
それは開かなくて、俺はこじ開けようと躍起になって扉に体当たりやら魔法攻撃やらとあの手この手をしていたんだ。
だが、急に扉は勝手に開いた。
まるで、入れと言われているようだった。
中に入ると、なんか打ちひしがれて蹲る守護者と困惑して立ち尽くす蒼介がいる。
「蒼介!」
「あ……要!」
「無事か!?」
「ちょっと前世思い出したけど無事だよ」
「いや、どゆこと!?」
聞いたはいいけど、実は俺もこの神殿をみてからたぶん蒼介と同じ前世思い出している。
同じといっても蒼介のいう深淵の姫じゃなくて、その恋人だった人間の勇者の前世だ。
毎日みる夢で、俺が殺す彼女が言う言葉には続きがあるのを俺は思い出した。
『貴方にならいいの。貴方だから、私はこの選択を選んだのよ。……きっと、またいつか会えるわ。その時は、どうか………』
その続きは、『また、愛し合いましょう』だ。
「………要、俺達前世恋人だったんだな」
「実は、小さい頃から蒼介が好きだった!付き合ってくれ!」
「今言う!?」
驚く蒼介。
だが、その顔は満更でもなさそうで………。
「俺も要のこと好きだよ。よろしくね」
「蒼介!」
カップルになってお互いに照れている俺達の隣りでは、未だに守護者達が打ちひしがれている。
「姫はあの忌々しい勇者を恨んでは……」
「いないよ?」
「ガーン!!」
「人間に復讐をしたいとは思っている……よね……?」
「いないよ」
「ガーン!!」
………可哀想なほどショックを受ける彼らに、もはや脅威は感じない。
それ以降、彼らはダンジョン内でテイムした魔物を預かる預かり屋さんを運営している。
もう自分達が求めていた深淵の姫は戻ってこないのだと、諦めざるを得なかったからだ。
何故預かり屋をすることになったかといえば、そういう求人があったからやってみようと思ったからだそうだ。
今は蒼介がダンジョンに来たら顔見せるだけで満足らしい。
………アイツら、毎回俺に威嚇してくるけどな。
俺は今、蒼介と一緒にダンチューバーをしている。
所謂、カップルチャンネルという形でね!
完
★
読んでくれてありがとうございました。
チャンネルは不自然な形で切れてしまい、俺は焦って扉を開けようと走り寄る。
それは開かなくて、俺はこじ開けようと躍起になって扉に体当たりやら魔法攻撃やらとあの手この手をしていたんだ。
だが、急に扉は勝手に開いた。
まるで、入れと言われているようだった。
中に入ると、なんか打ちひしがれて蹲る守護者と困惑して立ち尽くす蒼介がいる。
「蒼介!」
「あ……要!」
「無事か!?」
「ちょっと前世思い出したけど無事だよ」
「いや、どゆこと!?」
聞いたはいいけど、実は俺もこの神殿をみてからたぶん蒼介と同じ前世思い出している。
同じといっても蒼介のいう深淵の姫じゃなくて、その恋人だった人間の勇者の前世だ。
毎日みる夢で、俺が殺す彼女が言う言葉には続きがあるのを俺は思い出した。
『貴方にならいいの。貴方だから、私はこの選択を選んだのよ。……きっと、またいつか会えるわ。その時は、どうか………』
その続きは、『また、愛し合いましょう』だ。
「………要、俺達前世恋人だったんだな」
「実は、小さい頃から蒼介が好きだった!付き合ってくれ!」
「今言う!?」
驚く蒼介。
だが、その顔は満更でもなさそうで………。
「俺も要のこと好きだよ。よろしくね」
「蒼介!」
カップルになってお互いに照れている俺達の隣りでは、未だに守護者達が打ちひしがれている。
「姫はあの忌々しい勇者を恨んでは……」
「いないよ?」
「ガーン!!」
「人間に復讐をしたいとは思っている……よね……?」
「いないよ」
「ガーン!!」
………可哀想なほどショックを受ける彼らに、もはや脅威は感じない。
それ以降、彼らはダンジョン内でテイムした魔物を預かる預かり屋さんを運営している。
もう自分達が求めていた深淵の姫は戻ってこないのだと、諦めざるを得なかったからだ。
何故預かり屋をすることになったかといえば、そういう求人があったからやってみようと思ったからだそうだ。
今は蒼介がダンジョンに来たら顔見せるだけで満足らしい。
………アイツら、毎回俺に威嚇してくるけどな。
俺は今、蒼介と一緒にダンチューバーをしている。
所謂、カップルチャンネルという形でね!
完
★
読んでくれてありがとうございました。
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