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10◆蒼介視点

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神殿の奥に進むと、広い場所にでた。

床には魔法陣みたいな模様があり、まるで召喚の儀式でもできそうな神々しい場所に感じる。

不思議な場所だなと思っていたら、いきなり光りの鎖が俺に向かって伸びてきて、俺は魔法陣の真ん中に宙に浮くように手足を拘束されてしまった。

「えっ、何事!?」

ビックリして周りをみると、いつの間にか守護者達に囲まれていた。

「やっとだな」

「やっと会えるんですね!」

「やっとやっと!」

「あぁ、やっと再開だ」

「ふふ、やっとです」

「「「「「姫」」」」」

「え………?」

何故か喜ぶ彼らが、俺に手を向ける。

その手にはそれぞれの属性の光が集まっていて、まるでこれから俺を攻撃するかのようだ。

「あ、あの……俺を攻撃するわけじゃない…よね?」

「………」

誰も俺の問に答えない。

まるでそれが答えのように。

「や…いやっ……やめて!」

「姫、目覚めの時だ。この深淵を宿す火を貴女に返そう」

「長かった……あの日からこの時を待っていた。この深淵の水を貴女に返そう」

「姫、僕達と一緒に復讐をしようね!この深淵の風を貴女に返そう」

「姫を早くこの手に抱きたい。この深淵の土を貴女に返そう」

「あぁ、私達の悲願がついに叶う。この深淵の雷を貴女に返そう」

光が強まり、それを彼らは俺に向けて一斉に放った。

「「「「「覚醒!我らの主・深淵の姫!!」」」」」

「あああああっ!!」

彼らの魔法攻撃が俺の身体を貫く。

わけがわからないまま、俺は死んだ。



いや、正確には死んだと思ったの間違いだった。

何故なら、俺は生きていたからだ。

なんか、前世の記憶みたいなもの思い出したんだけど………。

俺は前世、別の次元で深淵の姫と呼ばれる女の子だった。

俺が守護者達にされたのは覚醒の儀だろう。

守護者は深淵の姫の力を割って作られていて、彼らはその力を姫に返して、封印されている姫を覚醒めさせようとしたのだ。

………だが、守護者達にとって俺が俺のまま生き残ることは想定外だったらしい。

「何故!?」

「あれ、姫にならない……?」

「どうして蒼介のまま!」

「………身体だけ女体化したとか……なさそうだね」

「これは何かの試練なのでしょうか」

「………」

女の子の深淵の姫を期待してたのに、男の子の俺でなんかごめん。

………俺、どうやら前世思い出しただけみたい。

そもそも、姫は守護者のことをもしもの時に姫を覚醒させる鍵にする気はなかったんだ。

なのに彼らは覚醒の儀をした。

そういうことができると気づいたのはたぶん守護者達だろう。

でも姫は守護者を作った当時、家族がほしかっただけなんだよなぁ。

なんか、めちゃくちゃ姫の覚醒を期待されていたみたいだからとても気まずいよ。
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