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3◆蒼介視点
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戦いは、残酷に俺を追い詰めようとする。
ファイアオークが俺に炎を放ち俺はそれをなんとか躱すが、当たっていないにも関わらずあまりの熱さに火傷をしてしまう。
「うぐっ!」
こちらから攻撃をしようとしても、相手はそうやって俺に攻撃をさせようとはしない。
まともに攻撃できないまま熱さで呼吸も苦しく感じていた。
身体のいろんなところが火傷で負傷する。
直撃を避けているのに、もう俺の身体はボロボロだった。
『蒼ちゃん逃げるんだ!』
『アイツ、トドメ刺す気だ!?』
『クソっ!救援はまだかよ!』
ファイアオークは、足をやられた俺にさっきまでよりも強い炎を放とうとしている。
あぁ、俺、ダメかもしれない………。
情けないことに、俺は負けを覚悟してしまっていた。
ひよっ子の俺ではやはりダメだった。
諦めかけている俺に最後の一撃が放たれる。
………逃げられない。
やられた足が動かない。
まさか配信初日で死ぬなんて………。
俺は、迫る炎をみつめるしかできなかった。
「姫!!」
「………ぇ」
俺の虚ろな瞳に、その人は突然現れたようにみえた。
まるで水の精霊のように美しく青い光を纏う人が、目の前で俺を守っている。
その人は青い結界を張り、炎を消してしまった。
「姫、この無礼者は私にお任せください。深淵の水の守護者ダリアが始末します」
ダリアと名乗る美しい人は、水魔法が得意なのかファイアオークを圧倒していた。
あっという間にダリアはファイアオークを倒すと、俺を魔法で全回復してくれた。
「あ、どこも痛くない………」
「あぁ、姫……助けにくるのが遅れて申し訳ございません」
ダリアは悲しげに俺の手を取り、手の甲にキスをする。
たぶん、俺が女の子だったらドキドキしたかも………。
でも、俺ははっきりと言わなくてはいけない。
「助けてくれて、ありがとうございます。でも俺、姫じゃないです。男です!たぶん人違いですよ!?」
「大丈夫、人違いじゃないですよ?私達の姫」
「私……達?」
ニッコリ笑顔のダリアの発言を不思議に思っていると、この場に誰かが向かってくる足音が聞こえてきた。
たぶん、誰かが通報して救援がきたんだろう。
「おや、邪魔がきたので私は去ります。姫、また会いましょうね」
「え?」
目の前で手を振るダリアは、スッとその場から消えた。
………転移魔法だろうか?
その後、俺は救援にきた人達に保護されてダンジョンを脱出した。
両親には心配されて、申し訳なく思ったよ。
ちなみに、この日の配信はプチバズったらしい。
ファイアオークが俺に炎を放ち俺はそれをなんとか躱すが、当たっていないにも関わらずあまりの熱さに火傷をしてしまう。
「うぐっ!」
こちらから攻撃をしようとしても、相手はそうやって俺に攻撃をさせようとはしない。
まともに攻撃できないまま熱さで呼吸も苦しく感じていた。
身体のいろんなところが火傷で負傷する。
直撃を避けているのに、もう俺の身体はボロボロだった。
『蒼ちゃん逃げるんだ!』
『アイツ、トドメ刺す気だ!?』
『クソっ!救援はまだかよ!』
ファイアオークは、足をやられた俺にさっきまでよりも強い炎を放とうとしている。
あぁ、俺、ダメかもしれない………。
情けないことに、俺は負けを覚悟してしまっていた。
ひよっ子の俺ではやはりダメだった。
諦めかけている俺に最後の一撃が放たれる。
………逃げられない。
やられた足が動かない。
まさか配信初日で死ぬなんて………。
俺は、迫る炎をみつめるしかできなかった。
「姫!!」
「………ぇ」
俺の虚ろな瞳に、その人は突然現れたようにみえた。
まるで水の精霊のように美しく青い光を纏う人が、目の前で俺を守っている。
その人は青い結界を張り、炎を消してしまった。
「姫、この無礼者は私にお任せください。深淵の水の守護者ダリアが始末します」
ダリアと名乗る美しい人は、水魔法が得意なのかファイアオークを圧倒していた。
あっという間にダリアはファイアオークを倒すと、俺を魔法で全回復してくれた。
「あ、どこも痛くない………」
「あぁ、姫……助けにくるのが遅れて申し訳ございません」
ダリアは悲しげに俺の手を取り、手の甲にキスをする。
たぶん、俺が女の子だったらドキドキしたかも………。
でも、俺ははっきりと言わなくてはいけない。
「助けてくれて、ありがとうございます。でも俺、姫じゃないです。男です!たぶん人違いですよ!?」
「大丈夫、人違いじゃないですよ?私達の姫」
「私……達?」
ニッコリ笑顔のダリアの発言を不思議に思っていると、この場に誰かが向かってくる足音が聞こえてきた。
たぶん、誰かが通報して救援がきたんだろう。
「おや、邪魔がきたので私は去ります。姫、また会いましょうね」
「え?」
目の前で手を振るダリアは、スッとその場から消えた。
………転移魔法だろうか?
その後、俺は救援にきた人達に保護されてダンジョンを脱出した。
両親には心配されて、申し訳なく思ったよ。
ちなみに、この日の配信はプチバズったらしい。
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