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40◆愛していました(フラン視点
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貴方を愛していた。
アナタという偽りを、植え付けられた偽りのアイでアイしていた。
本物の愛を忘れさせられていた僕に、アナタはアナタの都合のいいアイで僕を支配した。
彼らは空間の切れ目から、アナタを討伐するために行ってしまった。
まだ身体が消えないのは、きっとアナタの自惚れや自信が余裕を生んでいるからだろう。
自分が強いという、神よりも強いという、揺らがない絶対的自信。
それがあるから、アナタを討伐に向かう彼らを待っているんだろう。
ヒジリ君を喰らうため、最後の美食を今か今かと待っているんだろう。
使い捨ての僕を使って……。
使い終わるまでの残り少ない時間が僕の寿命。
……あぁ、ほら、僕の手足が消えていく。
所詮はただの幻影だから……。
……それを、貴方は理解しているから泣きそうな顔をしている。
「……フラン、共に散ろう」
「……まったく、貴方という方は仕方ないですね」
神としての力を全てエスターとマリウスに授けてしまった貴方は、その存在が神としてもう保たない。
神としての力は特別なのだ。
失えば神ではなくなる。
……その大切な力を、全て授けてしまった。
神ではなくなったら、カルマ様は世界から消える。
……それを、僕は理解している。
ねぇ、新しい神は、もうみつけてるんだよね?
なら、一緒に逝こう。
……もしも僕達にも来世があるなら、人間になりたいね。
恋愛ができる人間に……。
あぁ、でも、魂が砕けている上にほとんど喰われている僕は来世なんてないかもしれない。
……だから、もしも貴方に来世があるなら、どうか僕のことなんて忘れてね。
思い出したらダメだからね?
その方が、きっと貴方は幸せだから……。
だけど、もう本当に最期だから、だったら……許されるかな?
「ねぇ、カルマ様」
「なんだ」
「……愛していました」
「……私も愛していた」
「ねぇ、カルマ様」
「なんだ」
「……最期に、キスがしてみたいです」
「……」
触れ合う唇。
絵本の王子様とお姫様のキスのような、甘いキス。
……それが、別れの合図。
カルマ様は光が散るように、僕は闇が散るように、互いは世界から消えてしまうのだった。
アナタという偽りを、植え付けられた偽りのアイでアイしていた。
本物の愛を忘れさせられていた僕に、アナタはアナタの都合のいいアイで僕を支配した。
彼らは空間の切れ目から、アナタを討伐するために行ってしまった。
まだ身体が消えないのは、きっとアナタの自惚れや自信が余裕を生んでいるからだろう。
自分が強いという、神よりも強いという、揺らがない絶対的自信。
それがあるから、アナタを討伐に向かう彼らを待っているんだろう。
ヒジリ君を喰らうため、最後の美食を今か今かと待っているんだろう。
使い捨ての僕を使って……。
使い終わるまでの残り少ない時間が僕の寿命。
……あぁ、ほら、僕の手足が消えていく。
所詮はただの幻影だから……。
……それを、貴方は理解しているから泣きそうな顔をしている。
「……フラン、共に散ろう」
「……まったく、貴方という方は仕方ないですね」
神としての力を全てエスターとマリウスに授けてしまった貴方は、その存在が神としてもう保たない。
神としての力は特別なのだ。
失えば神ではなくなる。
……その大切な力を、全て授けてしまった。
神ではなくなったら、カルマ様は世界から消える。
……それを、僕は理解している。
ねぇ、新しい神は、もうみつけてるんだよね?
なら、一緒に逝こう。
……もしも僕達にも来世があるなら、人間になりたいね。
恋愛ができる人間に……。
あぁ、でも、魂が砕けている上にほとんど喰われている僕は来世なんてないかもしれない。
……だから、もしも貴方に来世があるなら、どうか僕のことなんて忘れてね。
思い出したらダメだからね?
その方が、きっと貴方は幸せだから……。
だけど、もう本当に最期だから、だったら……許されるかな?
「ねぇ、カルマ様」
「なんだ」
「……愛していました」
「……私も愛していた」
「ねぇ、カルマ様」
「なんだ」
「……最期に、キスがしてみたいです」
「……」
触れ合う唇。
絵本の王子様とお姫様のキスのような、甘いキス。
……それが、別れの合図。
カルマ様は光が散るように、僕は闇が散るように、互いは世界から消えてしまうのだった。
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