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17◆執事二人

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夜、監禁状態だったから僕は大人しく部屋でエスターとマリウスを待っていた。

そしたら、夕食を持ってきたのは知らない二人の男性だったんだ。

……服装が執事っぽいけど、執事なのかな?

『はじめまして、ヒジリ君。今日からヒジリ君のお世話を任されたアイレンとヒスイです。エスターとマリウスではないと不安かもしれませんが、大人の事情というものなのですみません。けれど、あの二人が来れなくなるわけではないので、そこは安心してくださいね!』

「?」

何を言っているのか相変わらずわからない。

言語の壁よ……。

『アイレンさん、ヒジリ君言葉わからないって言われてたでしょう?まずは名前を覚えてもらうことが先ですよ!』

「……」

僕は、エスターとマリウスに優しくされて、二人を好きになったけれど、だからといって他の人も好きになったわけではない。

つまり、僕はこの二人のことを警戒していた。

今の僕は、エスターとマリウスが僕を生かそうとするから生きているんだ。

だから、僕に何するかわからない他人からは逃げないと。

だって、僕に何してもいいのはエスターとマリウスで、知らない他人じゃないから……。



ジリジリと僕はベッドの上で後退して、二人から距離をとった。

『あ、あれ?なんか……ヒジリ君、俺達を警戒してないですか?』

『知らない人だから怖がっているのかな……大丈夫ですよ!私達怖くないですよ!』

「……」

困ったような表情の人は、青い短髪で青い瞳のヤンチャそうな美人。

例えるなら……喧嘩とかしたら負け無しで勝ちそうで、物語なら族の総長とかやってそう。

元気に何か語りかけてくる人は、黒髪を後ろでお団子にしているからたぶん長いんだろうな。

金色の瞳をしていておっとりした雰囲気の美人。

おっとりしているような雰囲気のわりには、とても元気な人っぽい。

……この世界、美人とかイケメンとかしかいないのかな?

僕の醜さが際立つね……。



『すごく警戒している。……アイレンさん、どうしましょう』

『子供の警戒を緩める方法は古来より一つ。一緒にお歌を歌って仲良くなるんですよ!』

『え、俺音痴なのに歌えと?』

『私と一緒なら怖くない!』

『ええ……』

そして二人は、何故か歌い出した。

理由はわからない。

でも、黒髪の人はすごく歌が上手いみたいだ。

青髪の人は……うん。

何も言わないことが優しさってこともあるよね。



そうして約一曲(たぶん)聴き終わり、にっこりされたんだけど、僕はどんな反応をするべきなんだろう。

『歌った意味なかったんじゃ……』

『あれぇ?』

よくわからないけど、青髪の人がぐったりと弱っているのだけはよくわかったよ。
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