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6◆真夜中の子守唄(エスター視点

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ヒジリを保護した日の真夜中。

ヒジリは結局その日何も食べなかった。

何がダメだったのかわからないが、今日は食べる気分になれなかったのだろうか?

それとも、ヒジリを奴隷として扱っていた鬼畜に何か躾をされているのか……。

もし明日も食べなかったら何か対策しなくてはな。

私はそんなことを考えながら、ヒジリの部屋に向かっていた。

理由は、ヒジリがちゃんと寝られているか確認するためだ。

安眠できていたらいいが、魘されたり眠れなかったりしたら大変だからな。

そう思ってヒジリの部屋に入る。

寝てる可能性を考えて静かにな。



「?」

ヒジリは、起きていた。

窓辺に立って外を眺めている。

眠れなかったんだなと思って、私はヒジリに声をかけようとしたのだが……。

ヒジリは、窓枠に手をついてそこから……。

身を乗り出した!?

「危ない!!」

急いで駆け寄り、落ちそうになる身体に抱きついて引っ張ることでヒジリを守る。

危うくヒジリが落ちるところだったが、何故ヒジリはあんなことをしたのかと疑問に思った。

ヒジリのいる客室は三階にあるので、ヒジリのようなか弱い子供なら落ちたら死ぬことも考えられるんだ。

寝ぼけているのかとも考えたが、ヒジリは私を不思議そうにみているので寝ぼけているわけではないのだろう。

「ヒジリ、何故あんなことをしようとした!落ちたら怪我では済まなかったかもしれないんだぞ!」

『どうして止めるの?もっと高い場所から落ちたら良かった?』

私はヒジリを叱ってしまったが、ヒジリには私が言っていることがわからない様子だ。。

ヒジリの言葉も私にはわからない。

……それは聞いたことのない言語だった。



私は、とりあえず今晩はヒジリの側にいることにした。

もしかしたらヒジリは、自分が保護されたことをわかっていないのかもしれない。

捕まっていると思って、逃げようとしたのかもしれない。

そう思った私は、ヒジリが安心できるように側で子守唄を歌ってやる。

ヒジリの手を繋いで、横になるヒジリの腹をポンポンとしながら寝かしつけるんだ。

ここは君に酷いことをする者も、酷いことを言う者もいないぞ。

だから、もう逃げなくていい。

安心していいんだ。

その気持ちを込めて、私はヒジリのために歌う。

『……綺麗な歌』

何かを呟いたヒジリは、スヤスヤと寝息をたてる。

そして、朝までヒジリは魘されたりすることなく眠った。

……ちなみに、私は一週間ぐらいなら寝なくても活動できるから大丈夫だ。
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