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6◆誠は家出青年だった

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「坊ちゃま!!」

「椿!?」

「!?」

ある日、the執事って感じの青年がやってきた。

誠に向かって坊ちゃまとか言ってるけど、もしかして誠ってお金持ちの家の子なのかな?

「坊ちゃま、探したんですよ。どれだけ心配したと思ってるんですか?さぁ、帰りますよ」

「お断りだ。あんな家には二度と帰らない。俺はこのままここで宗一郎さんと結婚するんだ」

「坊ちゃま!我が儘は程々になさいませ。旦那様はお怒りなんですよ!」

「あんなハゲ親父は頭のハゲのことだけ心配してればいいんだ。俺のことはほっといてくれ!!」

「坊ちゃま!!」

これってもしかして、所謂お家騒動というやつだろうか?

言い争う二人の傍らでちょっとワクワクしている私だ。

そうしていると、私と青年の目があった。

そして、私は青年から呪い殺されそうなほど睨まれてしまう。

「坊ちゃまを誑かしたのは貴様か!」

「やめろ椿!宗一郎さんはヤクザのボスなんだぞ!?しかも俺の恋人なんだから無礼を働くな」

「とりあえず、お茶出すから座って話そうか」

というわけで、お茶を出すために私はキッチンに戻る。

ついでにケーキも出すことにした。

甘いものはストレスを軽減するからね!



「なるほど、家出というわけか」

誠は由緒正しき家の子で、父親に意に染まない婚約をさせられそうになって家出したらしい。

椿という青年は、幼少期から誠の執事をしながら一緒に育った仲だと紹介された。

誠がダンジョンにいたのは、椿にみつからないようにしたかったかららしい。

で、ダンジョンの奥へ奥へと行ったら死にかけたというわけだ。

………誠、バカなの?

私はつい呆れてしまったよ。

その後も、私に惚れたのもあってここに居座ったと。

「誠、自分の父親もまともに説得できない人がヤクザのボスと結婚できると思う?」

「宗一郎さん」

「一度帰って、ちゃんと説得してきなさい。拳で」

「「拳で!?」」

「世の中、暴力が全てを解決することはあるんだよ」

「バイオレンス………」

二人は驚いているけど、ヤクザは拳も交渉手段の一つだから普通のことなんだよ。

私を好きならこちら側になる覚悟を私のために決めてよね?ニッコリ!



こうして、誠は一度帰宅することが決まったのだった。
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