ここは何の店？ヤクザのボスが経営する猫カフェです

1◆ヤクザの営む猫カフェ

私は柳宗一郎やなぎ　そういちろう。

柳組というヤクザの家に生まれ、27歳の今ではボスとして組のトップを務めている。

そんな私だが、能力はテイマーでもあるんだ。

世界にはダンジョンがあるのが普通になった世の中、皆何かしらの能力を持っているのも普通になった。

ダンジョンが世界に現れ始めた頃は大変だったらしいけどね。

子供が生まれたら、能力検査をしておくのが必須の時代になったんだよ。

交通手段には転移が加わっていて、ギルドでお金を払えば一瞬で他国に行けてしまうんだ。

ギルドでは探索者カードという物が作れて、通帳やパスポートの代わりになったりもする。

まぁ、身分証みたいなものだからね。

そして、魔道具という物も作られるようになった。

翻訳魔道具も主流になったから言葉の壁もなくなっている。



私は猫カフェを個人的に営んでいる。

あくまで本業はヤクザだけどね。

店主はもちろん私で、たまに部下に手伝ってもらっているよ。

主に深夜に開店していて、よく来る客層は裏社会の人々かな。

癒やされるためにわざわざ他国から来る人もいるんだよ。

猫カフェは趣味にもなるし、あの子達の居場所にもなるから始めたんだ。

あの子達とは、キラーキャットのことだ。

猫は猫でも、ダンジョンで私がテイムしたキラーキャットなんだよ。

え、それじゃ猫カフェじゃなくてキラーキャットカフェじゃないかって？

そんなの語呂が悪いし、キラーキャットも猫科だから広く言えば猫カフェだよ。

その代わりに、店名は【ボスとキラーキャットの家】というのにしたから問題なしだね！

ちなみにキラーキャットとは、別名【殺し屋】と呼ばれるSランクの超危険な大型猫の魔物で、サイズは虎を想像してみよう。

メスは白オスは黒と決まっていて、長毛なタイプの見た目だ。

モッフモフなのがお客様に気に入られてるよ。



私がテイムしている6頭のキラーキャットが、店内で寛いでいる。

「皆、開店の時間だよ」

私が皆に呼びかけると、元気にグオーと返事をしてくれた。

皆いい子で、私の自慢の子達だよ。

おっと、お客様が来たようだ。

「いらっしゃい！猫カフェ【ボスとキラーキャットの家】にようこそ！ゆっくりしていってね」