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48◆神子のお怒り【味方視点
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ラグナロクは山小屋の中の気配を探るが、中には誰の反応もなかった。
扉を蹴破っても、それはただの山小屋である。
「……はっ!それで隠せたつもりか?」
ラグナロクが手に魔法で竜巻を起こすと、それを山小屋に投げ放つ。
竜巻はみるみる大きくなりながら山小屋を吹っ飛ばしてしまった。
そして、地下室の入り口を隠していた魔道具も一緒に吹っ飛ばしてしまったのだ。
あらわになった地下室に、我先にとジュールが飛び出そうとするがそれをノアールが止める。
「ジュール、今はラグナロク様を先に行かせましょう。グランは僕達に対してまた対策しているかもしれませんから」
「にゃ~……」
突入できない悔しさにしょんぼりしているジュール。
そんなジュールを撫でるノアールだって悔しい気持ちは同じだった。
「俺様に任せろ。グランを引き摺り出した後はお前らの好きにしていいからな」
そう言ったラグナロクは、階段を降りていった。
地下室では、グランがベッドに寝かせたアデルにうっとりとしていた。
「この奴隷の首輪、きっと似合うよ」
そう言って、手に持つ禍々しい黒い首輪をアデルにつけようとしている。
睡眠薬の効果でまだ夢の中なアデルは、迫る危機を回避できない……はずだった。
「……痴れ者が!!」
「うわっ!?」
急に目をカッと開いたアデルが、グランを鬼のような形相で睨みつけて怒鳴る。
そのことにびっくりしたグランは、一気に壁際まで飛び退いてしまった。
「な、何故?まだ睡眠薬が効いているはずなのに……」
起き上がるアデルをみつめながら、グランは内心焦っていた。
「好意を持つまでなら我も目を瞑ったことだろう。しかし、我が身を奴隷堕ちさせようとはなんと恥知らずなことか!」
「え?え?アデルきゅん……?」
「許さん!我が罰をくらえ!はーーーっ!」
「んぎゃーーーっ!?」
グランは、アデルの放った神聖な力で発動させた雷……という罰を全身に浴びて、あんなに計画して実行した誘拐なのに、アデルに倒されてしまったのだった。
そんなことを知らないラグナロクは、今地下室の扉の前にいる。
「おい、グラン開けろ。いるのはわかってんだよ!」
借金取りのように扉を足でガンガン蹴っているラグナロクは、とても怖い表情なので良い子の皆にはみせられないよ!
グランに対する怒りやら殺意やらが迸るラグナロク。
だが、扉は意外にもすんなり開けられた。
そこに立っていたのは……。
「アデル!無事だったんだな!……ん?お前、アデル……か?」
誘拐されたアデルが、当たり前のように扉を開ける。
扉はグランの魔力でしか開かない設定ではあったが、気絶中のグランの魔力をアデルが上手く利用して開けたのである。
「ラグナロクよ、我が身の救出にきたのだな。感謝する」
「お前は誰だ」
「わからぬか?」
「……神子?」
「ふふ。ラグナロクよ、後のことは任せたぞ」
そう言ったアデルは、ラグナロクの胸に飛び込むように意識を失ったのであった。
扉を蹴破っても、それはただの山小屋である。
「……はっ!それで隠せたつもりか?」
ラグナロクが手に魔法で竜巻を起こすと、それを山小屋に投げ放つ。
竜巻はみるみる大きくなりながら山小屋を吹っ飛ばしてしまった。
そして、地下室の入り口を隠していた魔道具も一緒に吹っ飛ばしてしまったのだ。
あらわになった地下室に、我先にとジュールが飛び出そうとするがそれをノアールが止める。
「ジュール、今はラグナロク様を先に行かせましょう。グランは僕達に対してまた対策しているかもしれませんから」
「にゃ~……」
突入できない悔しさにしょんぼりしているジュール。
そんなジュールを撫でるノアールだって悔しい気持ちは同じだった。
「俺様に任せろ。グランを引き摺り出した後はお前らの好きにしていいからな」
そう言ったラグナロクは、階段を降りていった。
地下室では、グランがベッドに寝かせたアデルにうっとりとしていた。
「この奴隷の首輪、きっと似合うよ」
そう言って、手に持つ禍々しい黒い首輪をアデルにつけようとしている。
睡眠薬の効果でまだ夢の中なアデルは、迫る危機を回避できない……はずだった。
「……痴れ者が!!」
「うわっ!?」
急に目をカッと開いたアデルが、グランを鬼のような形相で睨みつけて怒鳴る。
そのことにびっくりしたグランは、一気に壁際まで飛び退いてしまった。
「な、何故?まだ睡眠薬が効いているはずなのに……」
起き上がるアデルをみつめながら、グランは内心焦っていた。
「好意を持つまでなら我も目を瞑ったことだろう。しかし、我が身を奴隷堕ちさせようとはなんと恥知らずなことか!」
「え?え?アデルきゅん……?」
「許さん!我が罰をくらえ!はーーーっ!」
「んぎゃーーーっ!?」
グランは、アデルの放った神聖な力で発動させた雷……という罰を全身に浴びて、あんなに計画して実行した誘拐なのに、アデルに倒されてしまったのだった。
そんなことを知らないラグナロクは、今地下室の扉の前にいる。
「おい、グラン開けろ。いるのはわかってんだよ!」
借金取りのように扉を足でガンガン蹴っているラグナロクは、とても怖い表情なので良い子の皆にはみせられないよ!
グランに対する怒りやら殺意やらが迸るラグナロク。
だが、扉は意外にもすんなり開けられた。
そこに立っていたのは……。
「アデル!無事だったんだな!……ん?お前、アデル……か?」
誘拐されたアデルが、当たり前のように扉を開ける。
扉はグランの魔力でしか開かない設定ではあったが、気絶中のグランの魔力をアデルが上手く利用して開けたのである。
「ラグナロクよ、我が身の救出にきたのだな。感謝する」
「お前は誰だ」
「わからぬか?」
「……神子?」
「ふふ。ラグナロクよ、後のことは任せたぞ」
そう言ったアデルは、ラグナロクの胸に飛び込むように意識を失ったのであった。
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