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41◆魔王、嫁のピンチを知る【ラグナロク視点

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トレヴァーに見張られながら、アデルとイチャつきたい欲望を堪えて、俺様は真面目に仕事をしていた。

「うぁー!アデルとイチャつきたい!」

だが、机に積まれたたくさんの書類の山という地獄を前に、思わず叫ばずにはいられない。

今の俺様には、アデルの愛というオアシスが必要なんだ。

……しかし、トレヴァーはニッコリと微笑む。

「これが終わるまでお預けです」

「うがーっ!」

「ラグナロク様大変です大変です大変ですーーー!!」

「んなーっ!?」

そんな俺様の下からノアールが慌てた様子で出てきたんだ。

……だがノアールよ、いくら慌てていても俺様の仕事机の下から出てくるのはやめてくれ。

なんか、傍から見たらまるで如何わしいことを俺様がお前にさせていたみたいじゃないか。

ほら、そういうシチュエーションのAVってあるだろ?

恋人に机の下でご奉仕してもらうやつ……べ、別にそういうのが好きなわけじゃないからな!?

とにかく、そんな場所から出てきたノアールには後でオハナシをすることにして……。



「どうしたんだ?ノアールはアデルを守ってるはずだろう。アデルに何かあったのか?」

ノアールはアデルを見守る役目があるはずなのに、コイツは何故ここにいるのか。

俺様が聞いたらノアールはちょっと泣きそうになりながら俺様に縋り付いてきた。

「ラグナロク様の自称恋人令嬢マリアンヌに連れて行かれました!」

「何だとっ!?」

マリアンヌとは、レイル公爵家の令嬢で、俺様を恋人だと勝手に思っている勘違いストーカーだ。

……ちなみに、メデューサ族であるレイル公爵家は男女関係なく髪の毛がヘビになるので、皆ロングのストレートヘアーだったりするぞ。

「護衛のシルベスターはどうしたんだ!!」

「現在、シルベスターはマリアンヌによって石にされていて、アデル様はシルベスターの命を人質にとられ、マリアンヌと決闘することを強要されたんです」

「……決闘?」

「どちらがラグナロク様に相応しいかわからせるとか言ってました」

「マリアンヌめ……いつか処せるレベルのやらかしをするとは思っていたが、アデルに手を出すとは……。よし、処刑一択だな!」

「気持ちはわかりますけど、決断早っ!?」

「アイツには今まで散々迷惑行為をされてな。何度捕まって牢屋に入っても、親が釈放金を払って牢屋からその日の内に出てくるんだ。アイツは騎士や牢番の間では、密かに【フェニックス令嬢】って呼ばれてるんだぜ。メデューサ族なのにフェニックス……アイツは何度も蘇るって意味の皮肉だよ」

「えぇ……」

ノアールは俺様の話を聞いて、ややドン引きしていた。



「トレヴァー、緊急だから行っていいよな?」

「仕方ないですね。お供しますよ」

「よしノアール、アデルの居場所はわかるか?」

「はい!分身体を置いてきたから大丈夫です。案内しますね!」

こうして、急遽俺様達はアデル救出に向かう。

アデルが簡単にあんな奴に殺られるとは思わないが、俺様の可愛い嫁がピンチなんだから急がないとな。

それにしても、俺様の可愛い嫁……俺様の可愛い嫁……!

あぁ、いい響きだなぁ。

……アデル、絶対に俺様が助けるから無事でいてくれよ。
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