39 / 50
39◆白百合には毒がある【フラメル視点
しおりを挟む
俺は暗い路地裏を歩いていた。
「おい」
物陰から俺に話しかけてきた黒いローブの男に俺は振り向いてやる。
どうやら、相手は俺の同業者のようだな。
「お前、依頼に失敗したんだって?珍しいな」
「口もきいたことない相手を嘲笑いにきたのか?お前暇なんだな」
俺は相手を見下すように吐き捨てた。
だが、相手は楽しそうに笑う。
「いやいや、嘲笑う気なんてねぇよ。ただ、俺が今回の依頼に協力してやろうと思ったんだ」
「協力?」
「あぁ、その代わり……俺にお前が抱かれるのが条件……ぐぁっ!!」
ガシッ!ガンッ!!
ふざけた言葉が聞こえてきたから、思わず相手の首を掴んで壁に押し付けてしまった俺はきっと悪くないだろう。
苦しそうな相手に、俺は凍えそうな冷たい声で囁いた。
「お前は俺の通り名を知っているか?白百合の毒って言うんだ。俺は綺麗だろう?まるで白百合のように。でもな、俺の白百合には毒がある。思わず触れたら、死んでしまっても仕方ない。だからな、俺が言いたいこと、わかるか?……お前は死ぬってことだ」
空いている方の手で毒付きナイフを取り出し、相手の胸に刺して心臓を貫く。
返り血を浴びないように結界を張ってからナイフを抜いて、浄化魔法でナイフと身体の汚れを綺麗にした。
毒は即死するタイプのものだから、相手はもう死んでいる。
俺は何事もなかったように、また歩き出したのだった。
暗殺者というのは裏の顔。
表の顔は家庭教師だ。
裏と表で口調も一人称も性格もガラッと変えている。
もはや二重人格と突っ込めるレベルだが、プロの暗殺者なんだから使い分けるのなんて当たり前だ。
穏やかな性格を演じているが、素の性格は暗殺者の時のクールな方だ。
暗殺者の時は顔隠してるけど、同業者だとふとした時なんかに顔をみられることはある。
さっきのアホもどっかで俺の顔みたんだな。
殺しを仕事にしてるんだから、怒らせたら殺されるって思わなかったのか?
あぁ、だからアホなのか……。
「フラメル先生、よろしくお願いします」
「はい。それでは、まずは歴史から……」
昨日、ラグナロクとデートを楽しんだアデルに優しく微笑み、今日の授業を始める。
まさか、俺が自分の命を狙っているなんて、夢にも思わないだろうな。
俺はアデルの笑顔に思うことはない。
俺の心は凍ってるからな。
殺しに対する罪悪感なんてものは、とうの昔に捨て去った。
だから、真面目に授業を受けるアデルを殺すことを俺は躊躇わない。
まだ依頼には期限が残っているから、必ず暗殺を成功させてやる。
「おい」
物陰から俺に話しかけてきた黒いローブの男に俺は振り向いてやる。
どうやら、相手は俺の同業者のようだな。
「お前、依頼に失敗したんだって?珍しいな」
「口もきいたことない相手を嘲笑いにきたのか?お前暇なんだな」
俺は相手を見下すように吐き捨てた。
だが、相手は楽しそうに笑う。
「いやいや、嘲笑う気なんてねぇよ。ただ、俺が今回の依頼に協力してやろうと思ったんだ」
「協力?」
「あぁ、その代わり……俺にお前が抱かれるのが条件……ぐぁっ!!」
ガシッ!ガンッ!!
ふざけた言葉が聞こえてきたから、思わず相手の首を掴んで壁に押し付けてしまった俺はきっと悪くないだろう。
苦しそうな相手に、俺は凍えそうな冷たい声で囁いた。
「お前は俺の通り名を知っているか?白百合の毒って言うんだ。俺は綺麗だろう?まるで白百合のように。でもな、俺の白百合には毒がある。思わず触れたら、死んでしまっても仕方ない。だからな、俺が言いたいこと、わかるか?……お前は死ぬってことだ」
空いている方の手で毒付きナイフを取り出し、相手の胸に刺して心臓を貫く。
返り血を浴びないように結界を張ってからナイフを抜いて、浄化魔法でナイフと身体の汚れを綺麗にした。
毒は即死するタイプのものだから、相手はもう死んでいる。
俺は何事もなかったように、また歩き出したのだった。
暗殺者というのは裏の顔。
表の顔は家庭教師だ。
裏と表で口調も一人称も性格もガラッと変えている。
もはや二重人格と突っ込めるレベルだが、プロの暗殺者なんだから使い分けるのなんて当たり前だ。
穏やかな性格を演じているが、素の性格は暗殺者の時のクールな方だ。
暗殺者の時は顔隠してるけど、同業者だとふとした時なんかに顔をみられることはある。
さっきのアホもどっかで俺の顔みたんだな。
殺しを仕事にしてるんだから、怒らせたら殺されるって思わなかったのか?
あぁ、だからアホなのか……。
「フラメル先生、よろしくお願いします」
「はい。それでは、まずは歴史から……」
昨日、ラグナロクとデートを楽しんだアデルに優しく微笑み、今日の授業を始める。
まさか、俺が自分の命を狙っているなんて、夢にも思わないだろうな。
俺はアデルの笑顔に思うことはない。
俺の心は凍ってるからな。
殺しに対する罪悪感なんてものは、とうの昔に捨て去った。
だから、真面目に授業を受けるアデルを殺すことを俺は躊躇わない。
まだ依頼には期限が残っているから、必ず暗殺を成功させてやる。
122
お気に入りに追加
281
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
釣った魚、逃した魚
円玉
BL
瘴気や魔獣の発生に対応するため定期的に行われる召喚の儀で、浄化と治癒の力を持つ神子として召喚された三倉貴史。
王の寵愛を受け後宮に迎え入れられたかに見えたが、後宮入りした後は「釣った魚」状態。
王には放置され、妃達には嫌がらせを受け、使用人達にも蔑ろにされる中、何とか穏便に後宮を去ろうとするが放置していながら縛り付けようとする王。
護衛騎士マクミランと共に逃亡計画を練る。
騎士×神子 攻目線
一見、神子が腹黒そうにみえるかもだけど、実際には全く悪くないです。
どうしても文字数が多くなってしまう癖が有るので『一話2500文字以下!』を目標にした練習作として書いてきたもの。
ムーンライト様でもアップしています。
俺の体に無数の噛み跡。何度も言うが俺はαだからな?!いくら噛んでも、番にはなれないんだぜ?!
汀
BL
背も小さくて、オメガのようにフェロモンを振りまいてしまうアルファの睟。そんな特異体質のせいで、馬鹿なアルファに体を噛まれまくるある日、クラス委員の落合が………!!
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。
【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。
※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる