夫婦喧嘩したのでダンジョンで生活してみたら思いの外快適だった

37◆飴と鞭は飴が大切なポイントらしいです

朝、すっきりとした目覚めを迎えました。

しかし、何故か部屋の窓が破壊されていたんです。

私が眠っている間に何かあったんでしょうか？

「ねぇ、ジュール。何か知りませんか？」

「にゃ？」

「……ノアールさん、知りませんか？」

「真夜中に不審者がきたようで、ジュールが窓から投げ捨てました」

「まぁ！ジュール、窓から物を投げ捨てたら危ないですよ」

「にゃ……」

しょんぼりしてしまったジュール。

「でも、不審者から守ってくれてありがとうございます！」

「にゃ～！」

きっと不審者から眠っていた私を守りたかったのですよね。

だってジュールは賢くて優しい私の友達、それぐらいちゃんとわかりますよ。

「ちなみに僕は悪霊のモノマネで戻ってきた不審者を追い返しましたよ！」

「ノアールさんも守ってくれてありがとうございます！」

本棚の影から黒い手を伸ばして挙手をするノアールさん。

とりあえず、私は魔法で窓を綺麗に直しましたよ。

魔法って便利ですね！



今日から家庭教師が来ることになっています。

魔王様の伴侶たるもの、教育は大切ですからね。

コンコン。

「はい、お入りください」

「失礼します。僕はフラメル・アシュリーといいます。今日からアデル様の家庭教師を任されました。よろしくお願いします」

「アデルです。よろしくお願いしますね」

フラメルさんはびっくりするほどの綺麗な男の人で、種族はドラゴニアという竜人らしいです。

ちなみに、魔族は尻尾が弱点故に魔法でしまってる方もいるそうですが、フラメルさんはあえて出してるみたいですね。

フラメルさんは、まるで白百合のようなおっとり美人で見惚れてしまいます。

「ふふ、僕に見惚れては陛下が妬いてしまわれますよ？」

「あっ、すみません……お恥ずかしい」

「いえ、大丈夫です」

穏やかなフラメルさんと少しお茶をしました。

明日からの勉強が楽しみですね！



さて、今日はいきなりですがラグとデートに行きます。

実は、先日ラグは張り切って仕事をして翌日にデートに行こうとしてました。

しかし、緊急の仕事によりしばらく缶詰めが決定してしまい、トレヴァーさんの監視の下頑張っていました。

流石に食事の時だけは解放されてましたが、食事が終わるとトレヴァーさんに執務室へとドナドナされて行くのです。

やっとその仕事が終わったらしく、ラグが血走った目で今からデートに行くぞと私を押し倒す勢いで言ってきて、トレヴァーさんに頭叩かれてました。

「落ち着け馬鹿ラグ」

「俺様頑張ったよな！？もういいよな！ご褒美くれよ！！」

「アデル様、躾には飴と鞭といいます。大切なポイントは飴ですよ」

躾……。

トレヴァーさんはユニークな方ですよね。

まぁとにかく、ラグがあまりにも今から行くと譲りませんでした。



今の時刻は午後2時。

「アデルアデル！おすすめのカフェがあるから、3時のおやつにそこ行こうぜ！あ、でもアデルが行きたがってた神殿に先に行ったら時間が……」

「先にカフェで休みましょう。ラグはいっぱいお仕事して疲れているんですから、甘いもの食べて疲れを癒しましょうね」

「アデル……！」

「飴と鞭の飴って、そういう意味ですよね！」

「……どうなんだろな」

こうして、私達はデートに出かけたのでした。