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36◆失敗【暗殺者視点】
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暗殺ギルドからたぬき公爵と裏で呼ばれている奴から依頼されたのは、魔王の伴侶の暗殺だった。
まだ結婚式をしていないから、その顔を知る者は少ない人物。
俺は暗殺のプロだから、はっきりいって楽な仕事だと思う。
……え、俺の名前?
暗殺者に名前を聞くのはタブーだが、通り名は白百合の毒た。
……え、なんで白百合なのかって?
俺の見た目が白百合のようなおっとり美人だからだな。
綺麗な薔薇に棘があるように、綺麗な白百合には毒がある。
暗殺にも種類はあるが、俺の得意なやり方はやはり睡眠中の暗殺だ。
無防備なところをさっと殺って立ち去る。
最高にクールじゃないか?
まぁ、それはともかく。
今夜さっそく行ってみようと思う。
深夜、俺はターゲットのアデルの部屋に侵入を成功させた。
まったく、暗殺を少しは警戒しているようではあったが、天井がガラ空きじゃないか。
なんて甘ちゃんな警備なんだろう。
そう思いながら、俺はアデルのいるだろうベッドに近寄り……。
「にゃ~ん」
(ん、猫を飼ってるのか?)
猫の鳴き声に、一瞬足を止めてそちらをみようとした。
すると、俺は狼に噛みつかれて窓をぶっ壊して投げ捨てられたのだった。
なんかあの魔物聞いたことあるな……なんであんなの飼ってるんだよ。
落ちながらそんなことを思ったけど、とりあえず回復魔法使ってから転移で部屋に戻ってやった。
プロの暗殺者を舐めるなよ魔物風情が!
部屋に戻って即魔物に睡眠魔法をかけてやる。
ぐっすり眠る魔物に安心しながらベッドに近寄った。
「……おっふ」
俺ほどではなくとも、アデルとやらはなかなかの美しさだった。
思わず呻くが、仕事は仕事だからな。
俺は毒の付着したナイフを取り出して、ベッドに乗り上げようと……乗り上げようと……。
ベッドに結界があって乗り上げられなかった。
なるほど、そういう警備なんだな。
結界をペタペタ触ってみるが、ベッドを囲むみたいにベッドは守られているようだ。
だが、俺は結界解除の魔法だってお手の物。
暗殺のプロはこの程度では失敗しないのだ。
ということで、結界解除の魔法を発動してみた。
すると、凄まじい電流が俺の身体に流れて目を見開く。
「っ!!」
まさか、結界解除をするとトラップ発動なんて二重の守りをしているとは驚きだ。
やるな、俺の心臓が止まりかけたじゃないか……。
しかも、結界は解除できていなかった。
……なんてこった。
天使みたいな寝顔してなかなかのやり手だと認識した俺は、ちょっと作戦の練り直しをしようと振り向いた。
「ひっ!?」
俺の背後にいつからソレはいたのかわからない。
真っ黒の人型のナニカは、ゆらゆら揺れながら俺に手を伸ばしてきたんだ。
「ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙……」
「きゃあーーーっ!!」
俺は悲鳴をあげて、窓から飛び降りて転移&ダッシュで全力で逃げてしまった……。
あ、あれは一体なんだったのか……。ガクガクプルプル。
闇の精霊の独り言。
「ちょっと悪霊のモノマネしただけなのに、光のような速さで逃げていったね」
ちなみに、ノアールの悪霊モノマネのクオリティはルナティック級だったりする。
まだ結婚式をしていないから、その顔を知る者は少ない人物。
俺は暗殺のプロだから、はっきりいって楽な仕事だと思う。
……え、俺の名前?
暗殺者に名前を聞くのはタブーだが、通り名は白百合の毒た。
……え、なんで白百合なのかって?
俺の見た目が白百合のようなおっとり美人だからだな。
綺麗な薔薇に棘があるように、綺麗な白百合には毒がある。
暗殺にも種類はあるが、俺の得意なやり方はやはり睡眠中の暗殺だ。
無防備なところをさっと殺って立ち去る。
最高にクールじゃないか?
まぁ、それはともかく。
今夜さっそく行ってみようと思う。
深夜、俺はターゲットのアデルの部屋に侵入を成功させた。
まったく、暗殺を少しは警戒しているようではあったが、天井がガラ空きじゃないか。
なんて甘ちゃんな警備なんだろう。
そう思いながら、俺はアデルのいるだろうベッドに近寄り……。
「にゃ~ん」
(ん、猫を飼ってるのか?)
猫の鳴き声に、一瞬足を止めてそちらをみようとした。
すると、俺は狼に噛みつかれて窓をぶっ壊して投げ捨てられたのだった。
なんかあの魔物聞いたことあるな……なんであんなの飼ってるんだよ。
落ちながらそんなことを思ったけど、とりあえず回復魔法使ってから転移で部屋に戻ってやった。
プロの暗殺者を舐めるなよ魔物風情が!
部屋に戻って即魔物に睡眠魔法をかけてやる。
ぐっすり眠る魔物に安心しながらベッドに近寄った。
「……おっふ」
俺ほどではなくとも、アデルとやらはなかなかの美しさだった。
思わず呻くが、仕事は仕事だからな。
俺は毒の付着したナイフを取り出して、ベッドに乗り上げようと……乗り上げようと……。
ベッドに結界があって乗り上げられなかった。
なるほど、そういう警備なんだな。
結界をペタペタ触ってみるが、ベッドを囲むみたいにベッドは守られているようだ。
だが、俺は結界解除の魔法だってお手の物。
暗殺のプロはこの程度では失敗しないのだ。
ということで、結界解除の魔法を発動してみた。
すると、凄まじい電流が俺の身体に流れて目を見開く。
「っ!!」
まさか、結界解除をするとトラップ発動なんて二重の守りをしているとは驚きだ。
やるな、俺の心臓が止まりかけたじゃないか……。
しかも、結界は解除できていなかった。
……なんてこった。
天使みたいな寝顔してなかなかのやり手だと認識した俺は、ちょっと作戦の練り直しをしようと振り向いた。
「ひっ!?」
俺の背後にいつからソレはいたのかわからない。
真っ黒の人型のナニカは、ゆらゆら揺れながら俺に手を伸ばしてきたんだ。
「ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙……」
「きゃあーーーっ!!」
俺は悲鳴をあげて、窓から飛び降りて転移&ダッシュで全力で逃げてしまった……。
あ、あれは一体なんだったのか……。ガクガクプルプル。
闇の精霊の独り言。
「ちょっと悪霊のモノマネしただけなのに、光のような速さで逃げていったね」
ちなみに、ノアールの悪霊モノマネのクオリティはルナティック級だったりする。
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