上 下
27 / 50

27◆魔王vs父親【ラグナロク視点

しおりを挟む
「クリア伯爵家当主ロイド、そう簡単には倒されんぞ!!」

「ついに最後……必ず俺様が勝つ!!」

アデルの父親ロイドは剣を構えて、覇気みたいなオーラを滾らせている。

俺様も双剣を構えて、アデルを愛する気持ちをオーラにしてみせた。

もうすでに、オーラ同士の戦いは始まっているのだ。

「これで最後です。お二方、準備はよろしいですね?それでは……始め!」

父親は筋肉をムキッ!として剣を振りかぶる。

貴族らしい品のある剣筋だが、冒険者のような荒々しい剣筋も使いこなしているようだ。

「冒険者をしたことがあるのか?」

「当主になる前に少しね。私も若かったから!」

「今でも現役だろ!」

「褒めても何も出ないぞ!」

ガキンガキンと重い一撃を何度も受け止める。

そして父親は、真剣な眼差しで想いを語った。

「私は、もう間違いたくはない。私のせいでアデルが傷つき、いなくなったことをどう悔やめばいいのかもわからない。だから、二度とアデルを不幸にしないように手元にずっといさせることにした。だが、アデルが愛してる者と引き離すのは、それはそれでアデルを悲しませるだろう。だから、私はこの戦いを挑んだ。本気でアデルを愛してるなら、守る覚悟を、愛を、私を倒すことで信じさせてくれ。アデルを幸せにすると、私に刻み誓ってくれ!!」

「あぁ!信じさせてやる!誓ってやる!俺様は、アデルを未来永劫愛し続けるってな!」

強い一撃を連続で俺様はぶつけて、父親はそれを受け止めているが衝撃波までは防げてなくて着実にダメージを負っていく。

そして、会心の一撃が父親を吹っ飛ばした。

「ぬおぉーーーっ!ぐぁっ!!」

ゴンッ!

吹っ飛んだ父親は、その勢いで木に頭をぶつけてしまい気絶してしまった……。

「勝者、ラグナロク様!」

「よっしゃーーーっ!!」

俺様は勝利の雄叫びをあげて、アデルの下まで走ると抱きしめて勝利の喜びを分かち合う。

「ラグ、おめでとうございます!でもこんなに怪我をして……痛かったですよね」

そう言って、アデルは魔法で俺様の怪我を全部治して、ボロボロになった衣類も元の綺麗な服に直してくれた。

「アデル、ありがとうな!」

「ラグも、私のためにありがとうごさいました」



「見事だったよ。ラグナロク君、アデルを頼むぞ。不幸にしたらわかっているだろうな?」

「もちろんだぜ義父殿!」

目を覚ました父親と握手を交わして、男の約束をする。

カイザーもエレインも母親も、俺様を認めてくれたようで最初の不穏さはもう感じなかった。

今夜は俺様の歓迎会とか、アデルが帰ってきた祝いだとかで宴会だそうだ。

「家のシェフのご飯はとても美味しいですから、楽しみにしてくださいね!」

「アデルの笑顔で白米三杯はイケるぜ」

「パンも美味しいですよ」

アデルはパンの方が好きなのかな?

「肉も食えよ」

カイザーは肉をすすめてきた。

「魚も食べてくださいね」

エレインは魚をすすめてきた。

「あら、野菜も食べないと栄養が偏るわよ」

母親はなんか母親らしいすすめだな。

「デザートも食えよ」

父親はまさかのデザートをすすめてきた。

……もしかして、皆それぞれ好きなものをすすめてきたのかな?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい

雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。 延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

紹介なんてされたくありません!

mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。 けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。 断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

好きか?嫌いか?

秋元智也
BL
ある日、女子に振られてやけくそになって自分の運命の相手を 怪しげな老婆に占ってもらう。 そこで身近にいると宣言されて、虹色の玉を渡された。 眺めていると、後ろからぶつけられ慌てて掴むつもりが飲み込んでしまう。 翌朝、目覚めると触れた人の心の声が聞こえるようになっていた! クラスでいつもつっかかってくる奴の声を悪戯するつもりで聞いてみると なんと…!! そして、運命の人とは…!?

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

【完結】足手まといの俺が「史上最強パーティを離脱したい」と言い出したら、なぜか国の至宝と呼ばれる剣聖とその親友の大魔道士に囲い込まれる話

.mizutama.
BL
※完結しました!ありがとうございます! 「もう潮時だろう? いい加減に目を覚ませ! お前はあの二人に遊ばれているだけなんだ!」  勇敢な冒険者を目指すティト・アスティは、魔法学園の下男として働きながら、いつか難攻不落と言われる国内最大のダンジョン攻略の旅に出ることを夢見ていた。  そんなある日、魔法学園の最上級生で国の至宝とよばれる最強の魔剣士・ファビオが、その親友の魔導士・オルランドとともに、ダンジョン攻略のための旅に出るための仲間の選定を行うことになった。  皆が固唾を飲んで見守る中、どんなめぐりあわせかそこにたまたま居合わせただけのティトが、ファビオにパーティのメンバーとして指名されてしまった。    半ば強引にパーティに引き入れられ冒険の旅へ出る羽目になったティトだったが、行く先々での嘲笑や嫉妬、嫌がらせ、そして己の力のなさに絶望し、ついにはファビオとオルランドにパーティ離脱を申し出る。  ――だが、ファビオとオルランドの反応は、ティトの予想だにしなかったものだった……。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ タイトルそのまま。ありがちな設定と展開。タイプの違う美形攻め二人×鈍感庶民受け 溺愛系を目指しています! ※注1 一対一嗜好の方には激しくオススメできない内容です!! ※注2 作者は基本的に総受け・総愛されを好む人間です。固定カプにこだわりがある方には不向きです。 作者の歪んだ嗜好そのままに書かれる物語です。ご理解の上、閲覧ください。 複数攻め・総受けが好きな人のために書きました! 同じ嗜好の人を求めています!!

処理中です...