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21◆魔王、ダンジョンに帰る【ラグナロク視点

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俺様はダンジョンの外に出た後、転移でラグナーのところまで行き、ラグナー達を始末しようと殺意に燃えていた。

居場所は気配探知で一発だぜ。

というか、嫌いな奴と名前が似てるのなんか嫌なんだが……。

俺様より少し遅れて、アデルも転移でここにやってきた。

「アデル!?」

アデルの登場に驚いたラグナーがアデルの名前を呼ぶが、アデルはその声には反応せずに俺様に向き合う。

「ソイツらを俺様が始末するのを見届けにきたのか?」

「いいえ。止めに来ました」

「アデル、お前俺をそんなに愛して……!!」

俺様に向き合うアデルに、ラグナーはちょっと嬉しそうにとち狂ったことを言う。

アデルがラグナーを愛してるから助けに来たと思ったのか?

俺様はアデルがラグナーを愛してないのは知っているし、アデルはラグナーの声にやはり反応なしである。

だからこそ思うことだが、ラグナーって虚しい男だな。

「私、あの人達の首なんてほしくありません。それに、ラグが手を汚すのなんて嫌です」

「あぁ!アデル、俺もお前を愛し」

「なので、殺るなら私が殺ります。首を取るより半殺しがベストだと私は思いますから」

「アデル、お前ぇーーーっ!?ぎゃあぁっ!!」

ラグナーは、糠喜びだとわかって怒りに叫ぶが、やはりアデルは反応なし。

そんな叫ぶラグナーに向かって、雷が落ちて追い討ちとなった。ざまぁ!

そしてラグナー達の方を向いたアデルは……。

「あ、いたんですか?」

キョトンと首を傾げるのだった。

「いやいや、絶対気づいてて無視してたよな?アデル、お前のせいでこっちは迷惑してるのに、離縁ももうしてるのに、お前って奴は俺達への感謝を全部仇で返して!」

アデルに奴隷のような扱いをしていた野郎がなんか言っている。

うるさいから黙らせたいぜ。

「……ふふ」

「何がおかしい!?」

「いえ、私は……ラグナー様達が怖かったんです。けれど、もう怖く感じないことが嬉しくて、つい……。私達、離縁しているんですね。ということは、お父様達もそれを知っているのでしょう」

「……むしろ、お前の家族に離縁しろって迫られたんだがな」

「そうですか。……では、もう私に恐れるものは何もありませんね。ラグナー様、離縁してくれたことを感謝して、彼は私が連れていきましょう。それで貴方達とはずっとさよならです」

アデルは俺様と手を繋ぐと、俺様に優しく微笑む。

キスしたくなるんだが、してもいいかな?

「お前、自分が神子だからって図に乗るなよ」

「神子?なんのことでしょう……」

「知らないのか?」

「身に覚えがありません」

「俺達は!神子のお前のせいで、毎日雷雲が晴れない上に雷雲に追いかけ回されて、仕事も趣味もできなくなって、王都にもいられなくなって、使用人も皆やめて、食べる物も言い値で買わないといけなくて、全部全部お前のせいなんだ!どうしてくれるんだ!?」

いや、アデルは悪くないだろ。

「……修行僧にでもなればよいのでは?」

「あの雷雲って神罰のやつだっけ?確かに真面目な修行僧にでもなれば、いつかは許されるかもな」

ラグナー達はうるさく喚いていたが、俺様とアデルはさっさと転移で移動することにした。

とりあえず、ダンジョンの前にでも行くかな。

……それにしても、神子ってなんのことだろう?
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