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本編◆第二章

10◆ルディガー視点

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「つまらないな。私の催眠が破られるなんて……」

玉座から立ち上がったエルミラーダは、不機嫌にそう言う。

私は、エルミラーダに対する怒りに全裸で震えていた。

このような屈辱を味わったんだ。

地獄というものをみせてやろうじゃないか!

「ルディ、アイツはきっと悪魔に操られているよ」

「何故いる愚兄」

「可愛いルディを助けに来たんだよ!キャピッ☆」

「そうか。それは感謝する。ありがとう。それで、悪魔とはなんだ?」

人間の世界を旅している兄だからこそ知る情報らしいが、そういう魔物がいるそうだ。

悪魔の存在を知らなかった私達ではわからなくても、兄は悪魔を知っているからこそ異臭に気づいたらしい。

………確かに、言われてみたら微かに臭いな。

「アハハ!そうか、俺の存在を見破れるとはな。バレているなら仕方ない」

そう言ったエルミラーダの身体から黒い靄が出て、それは人の姿に変わる。

エルミラーダは立っていられなかったのか、その場に座り込んで荒い呼吸をしていた。

「初めまして、俺はザン。催眠の悪魔だ」

不気味な笑顔のザンが挨拶するその後ろを、一瞬兄が走り抜ける。

兄よ、ザンがポカンと兄をみているんだが………。

兄はエルミラーダを抱きしめていて、どうやらザンの側から避難させたようだ。

「あ…貴方は………」

「ルディのお兄たんのカルロスだよぉ」

「カルロス……様♡」

操られていただけの被害者なら、エルミラーダに怒りをぶつけても仕方ないと理解しよう。

ザンが全面的に悪いということで、私達の報復対象はザン一択だ。

「はぁ、なんだかんだ言ってたけど、結局可愛い系の男が好みだったんだな」

ザンは、エルミラーダをみながら呆れのため息を吐いている。

エルミラーダはエルミラーダで、兄をうっとりとみつめていた。

その眼差しは、まさに恋に落ちている者の眼差しだったよ。



「悪魔ザン!ルディガーさんを拐った真犯人がお前なら、僕はお前を許しません!」

バジルも息子達もクロム達も、ザンに対しての怒りに尻尾の毛を逆立てていた。
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