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番外編1

フェンリルもハロウィンする!

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この村では、子供のためのイベントとしてハロウィンを楽しんでいた。

フェンリルは長命な種族なので、こうして人間のしているイベントをやったりしている。

「「「トリック・オア・トリート!」」」

三つ子のシモン、カミル、エリックも例外ではなく、人間がしているらしいハロウィンをエンジョイ中である。

仮装は、バジルとクロムの力作である吸血鬼だ。

ちなみに素材は森にあるものだったりする。

可愛いから怖くないけど、牙は元々自前のフェンリルの牙があるから完成度は高めだ。

フェンリルのモフモフ耳と尻尾もあるので、いろいろと可愛い仕上がりの三つ子になった。

「シモン、カミル、エリック。ハッピーハロウィン!ママとパパの作ったお菓子だよ」

元人間で今はフェンリルの神になった三つ子のママであるバジルは、今日のためにルディガーと仲良く作ったお菓子を三つ子に渡す。

「ママ!ありがとう!」

「わぁーい!お菓子お菓子!」

「パパと一緒に作ったの!?これは貴重なお菓子に違いない」

三つ子は嬉しそうにお菓子を抱えて、今度はクロムの家に向かった。



クロムの家には、魔女の仮装をしているクロムの息子ランスがもじもじとスカートを押さえて耳と尻尾を垂れさせていた。

だから、思わず三つ子の胸にズキュンと甘い痺れが突き抜けて、頭の中がある一言でいっぱいになってしまう。

「「「可愛い………!!」」」

「まさか、スカートがこんなに恥ずかしいなんて思ってなかったよ」

曰く、スカートなるものを穿いてみたかったランスは、魔女の仮装をすることに決めたらしい。

しかし、当日である今日着てみたら、スカートの丈の長さが太ももの真ん中ぐらいだったために、みえちゃいそうで恥ずかしくなったそうだ。

まだ幼いランスにとって、ランスのランスがこんにちはするのは恥ずかしいことなのである。

ルディガーも幼少期はこんなピュアピュアな時期があったのだろうか………?

「ランス、可愛いね」

「ランス、抱きしめていい?」

「ねぇねぇランス、チュウしていい?」

「………やめてね」

グイグイ迫る三つ子は、流石ルディガーの血を引く子供なだけあって積極的だ。

しかし、ランスもランスで冷静にお断りしている。

そんな息子達を、保護者の二組の夫婦が微笑ましい気持ちで眺めていた。
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