上 下
22 / 54
本編◆第一章

22◆バジル視点

しおりを挟む
あれから長い年月が過ぎて、今の僕には子供がいる。

可愛いフェンリルの子供で、もちろんルディガーさんの子供だ。

名前はシモン、カミル、エリック。

男しかいない村だから、なんとなくそんな予感はしていたけど、男同士でも子供ができるとは………。

夫婦になった後に、僕はポンポコと男の子の三つ子を生んだんだよ。

息子達はルディガーさんにそっくりで、ルディガーさんの子供時代をみてるみたいな気持ちになる。

つまり、めちゃくちゃ可愛いということだ!

そんな息子達は、クロムさんの息子ランス君とお友達。

クロムさんは、村のフェンリルに告白されて付き合った後に夫婦になって、旦那さん似の息子を生んだ。

よく一緒に子供に好まれるお菓子作りを頑張っている。

今でもルディガーさんの右腕してるから、僕はクロムさんをすごいなって尊敬しているよ。



「パパー!お魚捕まえたー!」

「パパー!僕のお魚逃げたー!」

「ママー!花束作ったからあげるね!」

湖で、ルディガーさんはシモンとカミルに魚の捕まえ方をレクチャーしている。

シモンは魚を捕まえるの上手みたいだけど、カミルは何故か捕まえては逃げられるを繰り返しているみたいだ。ファイト!

エリックは魚を捕まえるのに興味がないのか、さっきから花を摘んでいるなと思ってたら、花束をプレゼントしてくれた。

綺麗な可愛らしい花束で、嬉しくて僕はエリックの頭を撫で撫でしたよ。



穏やかな日常を幸せに過ごす。

人間の僕はどうしてもフェンリルほど長くは生きられないけれど、それでも……いつまでもいつまでもルディガーさんと息子達と一緒に生きていたい。

………この村で、僕だけが年々歳を感じていく。

ルディガーさんに出会った頃は、まだ成人したばかりだった。

子供を生んだのは20代半ばだった。

息子達は可愛くて、そしてまだ幼い。

………けれど、僕の年齢は今年で40歳。

フェンリルはとても長生きで、成長もゆっくりなんだってルディガーさんは言っていた。

きっと僕は、息子達の大人になった姿はみられないんだろうな。

それでも………思い出をいっぱい作ろうね。

いつかきてしまうお別れの日に、笑ってお別れするために………。



第一章◆完



読んでくれてありがとうございました!

ここからは、番外編を書くのでお楽しみに!
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

みなしご白虎が獣人異世界でしあわせになるまで

キザキ ケイ
BL
親を亡くしたアルビノの小さなトラは、異世界へ渡った────…… 気がつくと知らない場所にいた真っ白な子トラのタビトは、子ライオンのレグルスと出会い、彼が「獣人」であることを知る。 獣人はケモノとヒト両方の姿を持っていて、でも獣人は恐ろしい人間とは違うらしい。 故郷に帰りたいけれど、方法が分からず途方に暮れるタビトは、レグルスとふれあい、傷ついた心を癒やされながら共に成長していく。 しかし、珍しい見た目のタビトを狙うものが現れて────?

運命のつがいと初恋

鈴本ちか
BL
三田村陽向は幼稚園で働いていたのだが、Ωであることで園に負担をかけてしまい退職を決意する。今後を考えているとき、中学の同級生と再会して……

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

あなたを追いかけて【完結】

華周夏
BL
小さい頃カルガモの群れを見て、ずっと、一緒に居ようと誓ったアキと祥介。アキと祥ちゃんはずっと一緒。 いつしか秋彦、祥介と呼ぶようになっても。 けれど、秋彦はいつも教室の羊だった。祥介には言えない。 言いたくない。秋彦のプライド。 そんなある日、同じ図書委員の下級生、谷崎と秋彦が出会う……。

俺とシロ

マネキネコ
ファンタジー
【完結済】(全面改稿いたしました) 俺とシロの異世界物語 『大好きなご主人様、最後まで守ってあげたかった』 ゲンが飼っていた犬のシロ。生涯を終えてからはゲンの守護霊の一位(いちい)として彼をずっと傍で見守っていた。そんなある日、ゲンは交通事故に遭い亡くなってしまう。そうして、悔いを残したまま役目を終えてしまったシロ。その無垢(むく)で穢(けが)れのない魂を異世界の女神はそっと見つめていた。『聖獣フェンリル』として申し分のない魂。ぜひ、スカウトしようとシロの魂を自分の世界へ呼び寄せた。そして、女神からフェンリルへと転生するようにお願いされたシロであったが。それならば、転生に応じる条件として元の飼い主であったゲンも一緒に転生させて欲しいと女神に願い出たのだった。この世界でなら、また会える、また共に生きていける。そして、『今度こそは、ぜったい最後まで守り抜くんだ!』 シロは決意を固めるのであった。  シロは大好きなご主人様と一緒に、異世界でどんな活躍をしていくのか?

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

悩ましき騎士団長のひとりごと

きりか
BL
アシュリー王国、最強と云われる騎士団長イザーク・ケリーが、文官リュカを伴侶として得て、幸せな日々を過ごしていた。ある日、仕事の為に、騎士団に詰めることとなったリュカ。最愛の傍に居たいがため、団長の仮眠室で、副団長アルマン・マルーンを相手に飲み比べを始め…。 ヤマもタニもない、単に、イザークがやたらとアルマンに絡んで、最後は、リュカに怒られるだけの話しです。 『悩める文官のひとりごと』の攻視点です。 ムーンライト様にも掲載しております。 よろしくお願いします。

処理中です...