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本編◆第一章

11◆ルディガー視点

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森の中の湖にバジルを連れてきた。

「わぁ!綺麗ですね!」

「水浴びもできて、魚もとれる湖だ。ここの魚はとても美味しいよ」

魚はこの湖で、肉は森の魔物で、果実や野菜は森のいろんなところに自生している。

シュヴァの森とは、フェンリルのためのフェンリルによる快適な森なのだ。

人間にとっても快適だから、バジルにとっても快適なはず。

「水浴び……!僕、水浴び好きなんです。特に、プカプカ浮いてるのが好きなんですよ」

「じゃあ、水浴びするか?」

「します!」

水浴びが余程好きなのか、バサッと浴衣を脱いだバジルが咄嗟に下半身を隠してしまった。チッ!

「忘れてました。下着なかったんですよね………」

「生まれたままの姿で共に濡れようじゃないか。すでに温泉で見せ合った仲だろう?」

「それはそれ、これはこれですよ」

私もバサッと浴衣を脱いで、臨戦態勢の下半身を堂々と曝す。

何故臨戦態勢なのかだって?

バジルといやらしいことがしたいからだ。

「ルディガーさん、その見苦しいブツを鎮めてください」

「バジルが触ってくれたら、私のコレは大人しくなる」

「………触ったらですか。じゃあ、往復ビンタで良ければ触りましょう」

「待って!?往復ビンタって、私のイチモツに!?私はMじゃないぞ!!」

バジルが往復ビンタの構えをするから、私は咄嗟にフェンリルになって往復ビンタを回避した。

バジル……手強い可愛子ちゃんだな!

そんなところも私は好きだぞ♡



その後、バジルは水面にプカプカ浮いて気持ち良さそうにしていた。

綺麗な程にプカプカ浮いていて、念のために私も湖の中でバジルの側にいる。

バジルがもしも溺れても、瞬時に助けるつもりだ。

………ちなみに、私は今犬かき中だ。

微妙に足のつかないところだからな。

「バジル、これ以上進むと危な……っ!!」

「え!?」

湖の中央に突如ザバーンッ!と上空から落ちて水飛沫をあげて現れたアイツが、私達を視界に入れるとこっちに迫ってくる。

「やほやほ!ルディの兄たんのカルロスだよぉ♡君がルディのハニー?可愛いね!ルディにやっと春がきたって風の精霊のたよりで知って、兄たん来ちゃったよぉ!よろぴく♡」

「帰れ愚兄」

「お、おう………」

私の兄カルロスは、はぐれフェンリルである。

人間の世界に強い興味を持ち、森を飛び出して人間の世界を旅し続ける変わり者。

昔から兄のテンションはあんな感じで、私は兄が苦手なのだ。

どのぐらい苦手かというと、嫌いではないけれど関わりたくはないって感じているぐらいかな。

滅多に帰ってこない兄なのだが、何故上空から落ちてきたんだろうか………。

「ふっふっふっ、その顔は何故上空からって顔だにゃ?正解は、兄たんは空を飛べるようになったからだよぉ!すごいよね?すごいでしょ?………着地はド下手だけどね!あはは♡」

「「なるほど」」

いつか兄がやらかして死ぬんじゃないかと、私はちょっと不安になった。
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