ブラック王国軍から脱退した召喚士、前世の記憶が蘇り現代兵器も召喚出来るようになりました

登龍乃月

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「なにぃ!? デートぉ!?」
「は、はい……」

 一日の現場が終わり、事務所に帰ってきた時にチーフにミーニャの事を相談してみた。

「俺ぁオーガだから獣人のことにゃあんま詳しくねぇんだけどなぁ。で、くぁいいんか?」
「くぁいい?」
「可愛いってことだよ」
「あー……どうですかね……」
「んだよはっきりしろって」
「まぁ、可愛いと思います。俺の中では」
「ほーう! そり良かったじゃねぇか。どんな子なんだ?」

 何だか相談する相手を間違えた気もするけれど、聞いてしまった手前、色々とミーニャの容姿を伝え、抱いた感情を伝えてみる。

「ふむふむ……明るい元気な子か……で? どうなんだこっちの方は」
「んなっ!」

 チーフは自分の胸の前に手をやり、山の形を作る。
 おっぱいの話をしているんだろう。
 間違いない。

「どうなんだよ? お?」
「そ、それは……その……それなりに……」
「かー! おめぇさんもしっかり見てるじゃねぇか! いやはや参った! やっぱり男だねぇこのこのう」
「ちょっ、やめ、やめて下さいよぉ!」

 チーフが俺の脇腹をくすぐり、けたけたと笑う。
 あぁ、やっぱり聞くんじゃなかった……。

 〇

「あらぁ? 獣人ちゃんとぉ?」
「はい。カルデイオールさんなら良いアドバイス貰えるかなって思いまして……」

 チーフとの話を早々に切り上げた俺は同じ女性でまともそうなカルディオールに助言を求めた。

「曲がり角でばったり抱き合って落としたイヤリングを届けたら偶然再会……ロマンチックじゃないのさぁ」

 カルディオールは忙しそうに書類作業に追われていたが、俺をみるなり手を止めて話を聞いてくれた。
 悪戯っぽい笑みが実に妖艶でちょっとドキドキしてしまう。

「明日食事に誘われたんですけど……城の中ですよね?」
「それはその子じゃないから何とも言えないわねぇ。食事処は何も城の中だけじゃないけど……その時間から街に向かうのも違うわねぇ」
「そりゃそうですけど……」
「知ってるー? 四階のテラスって実はお食事もできるのよぉ」
「そうなんですか……」

 正直城の構造は理解したけど、何がどこにあってどこで何が出来るというのはまだ少ししか分かってない。
 四階のテラスは行った事のないエリアなので迷わないか心配だ。
 魔王城は地下三階から地上十二階まであるので、全部を把握するのは至難の技だ。
 ちなみにクレアがよくいる玉座の間は六階部分に配置されている。

「そ、恋人達の秘密のスポット……その日その時だけのスペシャルメニュー、ブレイブとアストレアが二人だけの為に腕を振るう。テラスから見える街の明かりと星の明かり、二つのコントラストが二人の距離を縮めていって……んーまっ!」
「なんですかそのんーまっって」

 カルディオールは自分の体を思い切り抱きしめて口を尖らせた。

「何って……キスよ?」
「な、なるほど……」
「あらん? クロードったら耳まで赤くなっちゃって……ドキドキしているなら私と一緒に汗、流しちゃう?」
「う……はい。そうします……」
 にやりと笑うカルディオールの妖艶な雰囲気につられてしまい、つい二つ返事でオーケーを出してしまった。
 現場終わりでヘロヘロだというのをすっかり忘れていた結果。

 この後めちゃくちゃ筋トレした。
 次の日はちゃめちゃ筋肉痛になった。
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