15 / 73
15 各部署のお話
しおりを挟む
食堂で三日間の勤務を終え、今日は大地のゴリアテがいる緑化推進部でのお仕事だ。
今日も花壇の世話をして水をあげて、というサイクルかと思えばどうやら違うようだ。
「今日から本格的に指導を行う」
「はい」
「緑化推進部の基本的な仕事として、草花や樹木の世話があるのはこの前やったな」
「はい」
「クロードにはこれから魔王城敷地内にある植物の名前を全て覚えてもらう」
「……まじですか」
「まじだ」
「ちなみに何種類ほどあるのですか……?」
「なに、たったの二百ほどだ。さして多くない」
「二百ですか。それなら覚えられそうです」
「うむ、目録や用途、管理に必要な事はこのマニュアルに書いてある。時間を見つけて読み進めていくといい。掛け持ちは大変だろうが、なるべく早く覚えてくれると嬉しい」
「わかりました。頑張ります」
「無理はするなよ? 睡眠時間はきっちり取り、食事もしっかりとだ」
「心得ています」
「では仕事に取り掛かろう」
一日目はこの前周った花壇や生垣などを再度巡っていき、より細かい説明がされていった。
俺はそれを逐一メモに書き殴っていく。
どうやら魔王城敷地内に植えられている植物はほぼ全て侵入者用の対人トラップなんだそうだ。
可愛らしい寄せ植えの花壇は幻惑効果のある花々だったり、大きな多肉植物は人を飲み込む食人植物だったりする。
樹木は生きた木、ツリーマンが植えられていて触手のような蔓が侵入者を絡めとって絞め殺してしまう。
夜になればマンドラゴラやキラートマト、ポイズンエッグプラントなどの植物系モンスターが徘徊。
実に様々な品種が植えられているために、土の配合やら肥料やらもそれぞれ違ってくる。
ここらへんは王国にいた時にやっていた、個体別に作るブレンドフードに似た所があるので案外すんなり覚えられそうだ。
それにどれも俺一人でやる仕事じゃないし、他のスタッフさんと協力してやっていけるから全然苦じゃない。
けど慣れないとトラップに引っかかったり、食人植物に頭をかぷっとやられたりするらしいので、注意が必要だな……。
研修期間のような三日間の勤務を終え、次は闇のカルディオールの職場だ。
色々な所から回ってくる書類を捌いたり、経費精算に人事異動書類、有給発行などなど。
息が詰まってきたらジムでトレーニングしてリフレッシュも出来るので座りっぱなしということもない。
コーヒーは飲み放題だし。
失礼かもしれないが、もしかしたら一番楽な仕事なのではとすら思う。
スタッフは日頃トレーニングに励んでいるせいなのかみんなマッチョだし、マッチョな魔族がペンを握ってカリカリと書類作業をしているのはどこか微笑ましい。
ゴリアテと同じく最初の三日間は研修のような説明と簡単な書類作成などをやらされた。
繁忙期になると書類の量が倍になるらしいけど、魔王城の繁忙期って一体何がどうなったら繁忙期になるのだろう、とは思った。
今日も花壇の世話をして水をあげて、というサイクルかと思えばどうやら違うようだ。
「今日から本格的に指導を行う」
「はい」
「緑化推進部の基本的な仕事として、草花や樹木の世話があるのはこの前やったな」
「はい」
「クロードにはこれから魔王城敷地内にある植物の名前を全て覚えてもらう」
「……まじですか」
「まじだ」
「ちなみに何種類ほどあるのですか……?」
「なに、たったの二百ほどだ。さして多くない」
「二百ですか。それなら覚えられそうです」
「うむ、目録や用途、管理に必要な事はこのマニュアルに書いてある。時間を見つけて読み進めていくといい。掛け持ちは大変だろうが、なるべく早く覚えてくれると嬉しい」
「わかりました。頑張ります」
「無理はするなよ? 睡眠時間はきっちり取り、食事もしっかりとだ」
「心得ています」
「では仕事に取り掛かろう」
一日目はこの前周った花壇や生垣などを再度巡っていき、より細かい説明がされていった。
俺はそれを逐一メモに書き殴っていく。
どうやら魔王城敷地内に植えられている植物はほぼ全て侵入者用の対人トラップなんだそうだ。
可愛らしい寄せ植えの花壇は幻惑効果のある花々だったり、大きな多肉植物は人を飲み込む食人植物だったりする。
樹木は生きた木、ツリーマンが植えられていて触手のような蔓が侵入者を絡めとって絞め殺してしまう。
夜になればマンドラゴラやキラートマト、ポイズンエッグプラントなどの植物系モンスターが徘徊。
実に様々な品種が植えられているために、土の配合やら肥料やらもそれぞれ違ってくる。
ここらへんは王国にいた時にやっていた、個体別に作るブレンドフードに似た所があるので案外すんなり覚えられそうだ。
それにどれも俺一人でやる仕事じゃないし、他のスタッフさんと協力してやっていけるから全然苦じゃない。
けど慣れないとトラップに引っかかったり、食人植物に頭をかぷっとやられたりするらしいので、注意が必要だな……。
研修期間のような三日間の勤務を終え、次は闇のカルディオールの職場だ。
色々な所から回ってくる書類を捌いたり、経費精算に人事異動書類、有給発行などなど。
息が詰まってきたらジムでトレーニングしてリフレッシュも出来るので座りっぱなしということもない。
コーヒーは飲み放題だし。
失礼かもしれないが、もしかしたら一番楽な仕事なのではとすら思う。
スタッフは日頃トレーニングに励んでいるせいなのかみんなマッチョだし、マッチョな魔族がペンを握ってカリカリと書類作業をしているのはどこか微笑ましい。
ゴリアテと同じく最初の三日間は研修のような説明と簡単な書類作成などをやらされた。
繁忙期になると書類の量が倍になるらしいけど、魔王城の繁忙期って一体何がどうなったら繁忙期になるのだろう、とは思った。
2
お気に入りに追加
3,534
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最後に言い残した事は
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
どうして、こんな事になったんだろう……
断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。
本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。
「最後に、言い残した事はあるか?」
かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。
※ファンタジーです。ややグロ表現注意。
※「小説家になろう」にも掲載。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
精霊のお仕事
ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
【完結】
オレは前世の記憶を思い出した。
あの世で、ダメじゃん。
でもそこにいたのは地球で慣れ親しんだ神様。神様のおかげで復活がなったが…今世の記憶が飛んでいた。
まあ、オレを拾ってくれたのはいい人達だしオレは彼等と家族になって新しい人生を生きる。
ときどき神様の依頼があったり。
わけのわからん敵が出てきたりする。
たまには人間を蹂躙したりもする。?
まあいいか。
結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」
「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」
「ま、まってくださ……!」
「誰が待つかよバーーーーーカ!」
「そっちは危な……っあ」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~
名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」
「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」
「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」
「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」
「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」
「くっ……」
問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。
彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。
さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。
「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」
「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」
「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」
拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。
これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる