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しおりを挟む「喜んでいいのか分かりませんけれど……ありがとうごさいます」
「俺の情報は開示したぞ。これでパートナーとして成立したわけだな?」
「はい。第一段階はクリアですわね」
「何!? その言い方ではまるで第二、第三段階があるような口ぶりではいか!」
「順序があります、とお伝えしましたでしょう?」
「確かにそうだな! 気が急いてしまった! 許せ!」
私は話の中で人間は信頼と義理を重んじ、愛を尊ぶ生き物だという事をお伝えしました、
悪魔にも愛はあるらしいのだけど、人間が想う愛とはだいぶ掛け離れているようです。
「秘宝を盗んだ犯人も悪魔なのでしょう? であれば気配などで追えるのでは?」
「俺もこちらに来るまではそう思っていたよ。だが……ヤツの気配はドリアム王国という国でパタリと途切れていたのだ。所々に残滓はあるが見つけられない。完全に手詰まりというやつだよ」
「ドリアム王国……でもなぜおじ様に残滓が……」
「知らん。ん? おいお前、ちょっとこっちへ来い」
「がっ……! 何を……!」
カスケードが指をくいっと曲げた瞬間、私の体は硬直して宙に浮き、そのままふわふわと漂いながらカスケードの前に辿り着く。
全身が何かに締め付けられているように苦しく、浅い呼吸を繰り返す私。
カスケードはそんな私の顔に鼻を寄せ、頬、唇、耳、髪とスライドさせていき、スンスンと匂いを嗅ぎ出した。
一通り匂いを嗅ぎ終えると、カスケードは私をベッドの上に放り投げた。
「微力過ぎて気付かなかったが……お前からも僅かにだが残滓を感じるぞ」
「ゲホッ! ゲホッ! 乱暴な扱いはよして下さいまし……ゴホッ……」
「俺としては軽く摘んだくらいなのだが……人間は予想外に脆いのだな。すまない、許せ」
「こ、今後は、やめてくださいましね」
「うむ。善処しよう」
今の私はネグリジェ一枚であり、ベッドに投げ出されて異性に一度も見せたことの無いようなあられもない姿を晒している。
ベッドの上にある薄がけを震える手で手繰り寄せて体を包み、居ずまいを正して口を開いた。
相手は悪魔なのだから、恥じらいも何も無いとは思ってもやはり恥ずかしいモノは恥ずかしい。
カスケードは今までの男とは違い、あられもない姿を見ても眉根一つ動かさず私の瞳を射抜いてくる。
きっと人間の肢体に興味が無いのだろう。
あったとしたら……今頃手篭めにされていてもおかしくない。
「ふう……それで……私から秘宝の残滓を感じるというのは?」
「お前は盗人と会っている、という事だ」
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