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二章 旅立ちの日
52.ハンターという職業
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「な!」
「まったく……いきなり何を」
するんですか、と僕が言おうとした時だった。
「てんめぇ何してやがる!」
という聞きなれない男の怒号とドスッという音と共に、僕に馬乗りになっていた男の体がくの字になってすっ飛んでいった。
そして目の前を通過していく何者かの脚部。
どうやら馬乗りの男は、別突如現れた別の男の蹴りによって吹っ飛んだようだった。
「君! 大丈夫!?」
と、さらに聞きなれない女性の声が耳元で聞こえ、僕は静かに抱き起された。
「え、あ、あぁ、はい。大丈夫です」
「よかった。何があったの?」
「彼が急に襲い掛かって来たんです」
「そうなのね」
女性の声と共に、ふわりといい香りが鼻をくすぐる。
僕の知る神官服とは違うが、神職に似たローブを着た女性だった。
「怪我はない?」
「はい」
「チ、駄目だ。逃げられた。あの身のこなし、ただのチンピラじゃなさそうだ」
「おつかれさま。こっちは大丈夫そうよ」
「そーかい! 災難だったなぁ坊主」
男がすっ飛んでいった方向から、軽装備を来た髭面の男が頭を掻きながら歩いてきた。
「あの、あなた達は?」
男女の服装や持ち物から、ある程度予想は出来るけれど一応聞いてみる。
「私はワッフル、ウィザードよ。こっちのガサツそうなのがバラン」
「だっはっは! ガサツそうなバランだ! よろしくな坊主!」
「ガイアスと申します」
バランと名乗った男は軽装鎧を着込み、腰には長剣が挿してある。
装備の上からでも分かる筋肉は素晴らしく、男として羨望の目を向けるに値する身体だ。
近距離戦闘を得意とする軽戦士と、中遠距離戦を得意とするウィザードか。
「君は……見た感じ同業って感じでもないわね」
ワッフルと名乗ったウィザードは、僕を立ち上がらせてからそう言った。
正面からまじまじと見ると、ワッフルのローブは身体の線がはっきり出るくらいぴっちりしたデザインであり、足元から大腿部にかけて大きなスリットが入っていた。
ちょっとエッチだ。むふ。
僕は鼻の下が伸びそうになるのを必死で堪え、いたって紳士的に口を開いた。
「はい、僕はただの旅人です。同業、と言うと?」
「俺達はハンターでな。ハンターギルドからの依頼でこの街に来てるんだ。なぁ坊主、ここに来るまでに変な魔物とか見なかったか?」
「いえ、見てません。ハンターの方々だったのですね」
ハンターギルド。
商人ギルドや薬師ギルド、職人ギルドなど数あるギルドの内の一つ、魔物の討伐や狩猟、採集やダンジョン攻略を目的とした武闘派ギルド。
そこに所属する者達はハンターと呼ばれており、クラスの高い者の戦闘力は一騎当千とも言われるらしい。
まぁダンジョン攻略とか、魔物の討伐なんてのは僕にはさらさら関係無い事なんだけれど。
危険度の高い依頼ほど報酬も高いらしいけど、命を削ってお金を稼ぐなんてのは僕には合わないだろうし、きっと向いてない。
なんてったって僕はヘタレだからな。
「まったく……いきなり何を」
するんですか、と僕が言おうとした時だった。
「てんめぇ何してやがる!」
という聞きなれない男の怒号とドスッという音と共に、僕に馬乗りになっていた男の体がくの字になってすっ飛んでいった。
そして目の前を通過していく何者かの脚部。
どうやら馬乗りの男は、別突如現れた別の男の蹴りによって吹っ飛んだようだった。
「君! 大丈夫!?」
と、さらに聞きなれない女性の声が耳元で聞こえ、僕は静かに抱き起された。
「え、あ、あぁ、はい。大丈夫です」
「よかった。何があったの?」
「彼が急に襲い掛かって来たんです」
「そうなのね」
女性の声と共に、ふわりといい香りが鼻をくすぐる。
僕の知る神官服とは違うが、神職に似たローブを着た女性だった。
「怪我はない?」
「はい」
「チ、駄目だ。逃げられた。あの身のこなし、ただのチンピラじゃなさそうだ」
「おつかれさま。こっちは大丈夫そうよ」
「そーかい! 災難だったなぁ坊主」
男がすっ飛んでいった方向から、軽装備を来た髭面の男が頭を掻きながら歩いてきた。
「あの、あなた達は?」
男女の服装や持ち物から、ある程度予想は出来るけれど一応聞いてみる。
「私はワッフル、ウィザードよ。こっちのガサツそうなのがバラン」
「だっはっは! ガサツそうなバランだ! よろしくな坊主!」
「ガイアスと申します」
バランと名乗った男は軽装鎧を着込み、腰には長剣が挿してある。
装備の上からでも分かる筋肉は素晴らしく、男として羨望の目を向けるに値する身体だ。
近距離戦闘を得意とする軽戦士と、中遠距離戦を得意とするウィザードか。
「君は……見た感じ同業って感じでもないわね」
ワッフルと名乗ったウィザードは、僕を立ち上がらせてからそう言った。
正面からまじまじと見ると、ワッフルのローブは身体の線がはっきり出るくらいぴっちりしたデザインであり、足元から大腿部にかけて大きなスリットが入っていた。
ちょっとエッチだ。むふ。
僕は鼻の下が伸びそうになるのを必死で堪え、いたって紳士的に口を開いた。
「はい、僕はただの旅人です。同業、と言うと?」
「俺達はハンターでな。ハンターギルドからの依頼でこの街に来てるんだ。なぁ坊主、ここに来るまでに変な魔物とか見なかったか?」
「いえ、見てません。ハンターの方々だったのですね」
ハンターギルド。
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そこに所属する者達はハンターと呼ばれており、クラスの高い者の戦闘力は一騎当千とも言われるらしい。
まぁダンジョン攻略とか、魔物の討伐なんてのは僕にはさらさら関係無い事なんだけれど。
危険度の高い依頼ほど報酬も高いらしいけど、命を削ってお金を稼ぐなんてのは僕には合わないだろうし、きっと向いてない。
なんてったって僕はヘタレだからな。
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